【速報】東京地裁判決ではサムスンの特許侵害を認めず(ただし、とりあえずの1件のみ)

東京地裁でも進行中のアップルvsサムスンの特許訴訟ですが、サムスンの特許侵害を認めないという判決が出たようです(ソース:NHKニュース)。

しかしながら、今回の判決で対象になった特許は「メディア・プレーヤー・コンテンツとコンピューターの情報を同期化(シンクロナイゼーション)する方法」(おそらく、特許第4695653号)(12/09/05:すみません、判決文が出ましたがこれではなく、第4204977号でした)だけです。

これ以外に、カリフォルニア地裁ではサムスンの侵害を認める評決が出た「バウンスバック特許」に対応する日本国内特許(特許第4743919号)についても東京地裁で争われているのですが、この特許に関する判断はそもそも今回の判決の範囲外だったようです(ソース:朝鮮日報)。

ということで、まだまだ先はわからないということです。

しかし、裁判間連情報がすぐにオープンになる米国と比較して、裁判所に行って資料閲覧するか実際に傍聴しないと詳細がわからない日本はちょっと困ったものですね。

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これがアップル対サムスン裁判で問題になった特許・意匠です

アップル対サムスンの「特許戦争」、重要なカリフォルニア連邦地裁においてサムスンにとっては厳しい評決が出てしまいましたが、具体的にアップルのどのような特許権(と意匠権)が侵害されたと陪審員に認定されたのか簡単に見ていきましょう。

この裁判で問題になっているのは3つの特許権と4つの意匠権です(なお、日本では特許(技術的アイデア)と意匠(工業デザイン)は別の概念ですが、米国ではどちらも”patent”と呼ばれますので、メディアの記事を読むときは注意が必要です。)

まず、見てわかりやすい意匠権の方から見ていきましょう(以下、意匠・特許番号のリンクはGoogle Patentへのリンクです。意匠の図面は代表的なもの1点だけを引用しています。)

D618,677 iPhoneの筐体デザインの一部(前面ガラス部分)の意匠(部分意匠)です。

cap1

D593,087  同じくiPhoneの筐体デザインの一部(前面枠部分)の意匠(部分意匠)です。

cap3

D604,305 iPhoneのアイコン配置のデザインです。

cap4

D504,889 iPadの筐体デザインの元になった意匠です。

cap2

次に特許権です。基本的に全部UIに関する特許です。ここでは概要のみご紹介します。時間があったら後日中身も解説するかもしれません。

7,469,381 通称、“bounce back”特許、リストを指でスクロールしていってリストの最後に達した時にスクロールが急に止まるのではなく、あたかも何かにぶつかって跳ね返ったかのように動作するというアイデアです。なくても何とかなりますが、あるとないとでエクスペリエンスに結構な影響がある特許だと思います。こういう動作をしないAndroidデバイスもあるようなので、サムスン独自の機能なのかもしれません(詳しい方教えてくださいな)。

7,844,915 通称、”pinch-and-zoom”特許、1本指でスクロールして2本指でズームするというアイデア。iPhone/iPadのエクスペリエンスにおいてきわめて重要な特許だと思います。

7,864,163 通称、”tap to zoom”特許、Safari等で実装されている特定のフレームを指でダブルタップすると拡大表示されるというアイデア(たぶん)(明細書読み込んでる時間がなくなってきたので後で確認します)。これもないとちょっと困るような気がします。

時間がなくなってきたので本日は以上です。後日、加筆修正するかもしれません。

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サムスン敗訴はAndroidの終わりの始まりなのか

#今朝は不正確なエントリーを書いてしまいどうもすみません、気を取り直して再度書きます。

今、世界各国で進行中のアップル対サムスンの知財権訴訟合戦の中でも最も重要度が高いと考えられているカリフォルニア州地裁の陪審員評決が出ました(参考記事)。

サムスンがアップルの特許権と意匠権をを侵害したとされ(具体的な特許権・意匠権の内容は本ブログで後日カバーする予定(12/08/27:書きました))、サムスンが主張していたサムスンの無線技術に関する特許権のアップルによる侵害は一切認められませんでした。結果として、サムスンには約10億ドルの損害賠償が命じられました(懲罰的賠償金を含む最終的な賠償額、サムスンに販売差止めが命じられるか否か等を含む最終判決はこれからです)。

サムスン全面敗訴と言ってよい内容だと思います(もちろん、上訴は行なわれるでしょうからこれで確定ではありませんが)。

サムスン側にとって最もショックだったのは、自社によるアップルの特許権・意匠権の侵害が認定されたことよりも、自社の特許権による反訴の効果がなかったことでしょう。アップルの特許侵害が認められればクロスライセンスによる和解というシナリオがあり得たからです。

ここで、意匠権については筐体のデザインの問題なので、サムスンがデザインを変更すればすむ話ですが(もちろん、過去の販売についての損害賠償の責はありますし、金型の変更は容易な話ではないと思いますが)、特許についてはサムスンの問題というよりもAndroid OSの設計にかかわるところもあるので、影響はサムスンだけではなくAndroid陣営すべてに及び得ます。もちろん、UIの設計を変更すれば回避できるケースは多いとは思いますが、今回の件と同様に過去の販売に対する損害賠償の問題はあります。

また、この分野のオーソリティのFOSSPatentによれば、アップルには今回敢えて訴訟の対象外とした特許権もあります。また、カリフォルニア州では別の裁判(今回の特許権よりも回避困難なようです)も進行中です。さらに、グーグルによるモトローラの特許権によるアップルへの起死回生攻撃もどうもあまりうまく行っていない感があります(たとえば、Bloombergの記事「アップルは無線技術関連のモトローラの特許侵害せず-ITC」)。要は、アップルにはまだまだ弾は残っていますが、Android陣営は「弓折れ矢尽きた」状態に近くなっています。

ということで、Android撤退とまではいかないでしょうが、サムスンを始めとするAndroid陣営はしばらく厳しい状況に置かれるでしょう。

この評決に対してサムスンの広報担当者が「特許制度はイノベーションを阻害している」というような趣旨のことを言ったようですが、サムスンは2011年米国特許取得件数第2位(1位はIBM)の企業ですし、グーグルもPageRankやAdWordsの特許を活用して成長してきた企業なので「ダブスタの遠吠え」でしかないと思います。

他社の知的財産権を尊重し、デザインのデッドコピーはせず、回避できるところは創意工夫で回避するという普通のメーカーであればどこでもやっていることをちゃんとやっていればこんなことにはならなかったのにというだけの話です。

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【夏休みネタ】仕事用PCアップグレードの四苦八苦

ここ数年間、仕事用のデスクトップPCは、Core 2 Quad Q6600を使ってて特に問題なかった(Aero切ってOfficeにしか使わないのであれば問題なし)のですが、ちょっと休んでいたDAWを再開したいこと、および、Windows標準の拡大鏡をスムーズに使いたいという理由によりアップグレードを行なうことにしました。

ところで、なぜ、Windowsの拡大鏡が必要かというと、画面の細かい操作(特にソフトシンセ)に便利だからです(老眼始まってる人におすすめです)。Windowsの拡大鏡をストレスなく使おうとと思うとそれなりのCPUとグラボが必要になります。

新マシンの構成は、iCore7 3770K、ASUS P8Z77-Pro、玄人志向 GF-GTX560TI-E1GHWGT7600、ADATA(PC3-12800) 4GB×2という価格.comでも売れ筋の定番的商品を選んでみました。

Windows再インストール後、最初は順調に稼働していたのですが、Chromeで表示エラー(目がバッテンのアイコン)が出るようになりました。そして、ファイル大量コピーなどのヘビーな処理をするとブルースクリーンが出ます。しかも、MEMORY_MANAGEMENTだとかPFN_LIST_CORRUPTとかのやばめのエラーコードです。オーバークロックのせいかと思って標準に戻しても同様。

こういう場合、最初に疑うのはメモリですね。ということで、Windows 標準のメモリ診断やmemtest86+を流して見ましたが問題ありません。

そうなると電源の容量不足かということで、電源ユニットを新調しました。が、駄目。

グラボ替えても、駄目。怪しいソフト全部アンインストールしても駄目。HDDの温度は問題なし。SATAケーブルを替えると、一瞬直ったように見えて「なーんだこんな問題だったのか」と思ってると(死亡フラグ)と、やっぱりしばらくしてBOD。仕事が少なめな夏休み期間でなかったら泣きたくなる状況でした。

もう万策尽き果てて、またメモリに照準を合わせて、メモリのデュアルチャネルを無効にするために、ソケットの位置を変えてみました。なんか直ったような気もするのですが、一晩通電しておくと翌朝にはBODになってます。しかし、メモリの動作を変えたことで現象が変わるということはやはりメモリなのかという目星がつきました。

ネットを調べてmemtest86+が通るようなケースでもメモリ容量フルに使って極悪ストレスをかけてエラーを発見できるというフリーウェアIntelBurnTestを入手し、流して見ました。そうすると案の定エラーがでます。メモリ1個はずすと出ません。はずしたメモリだけ挿入してテストするとエラーになります。ということで、メモリの1枚が不良品だったという何のことはない結論となりました。

まあ、結構な時間を使ってしまいましたが、やはりiCore7の環境は最高です。自分の場合、仕事、趣味合わせて1日10時間はPCの前にいるわけなので、ある程度投資しても十分元は取れます。それと、メモリが怪しいときは(memtest86+よりも)まずはIntelBurnTest、勉強になりました。

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「ラジオライフ」出版社の中の人が逮捕の件

ちょっとタイミング的に遅くなってしまいました(事件自体は7月17日の話)が、前回記事でBLACKCAS使用で警察に書類送検(場合によっては逮捕)の件について書いたのでその流れで書いておきましょう。

DVDリップソフト(アクセス制御解除機能付き)が付録についた書籍を販売したとして、「ラジオライフ」等でおなじみの三才ブックスの取締役らが不正競争防止法違反の疑いで逮捕されました(参照記事)。

不正競争防止法の改正により、アクセス制御回避を行なうソフトや機器を販売すると刑事罰の対象になることについてはこのブログでも以前に触れました(「12月1日からマジコン販売に刑事罰適用です」)。その時はマジコンについての話でしたが、アクセス制御回避という点ではマジコンもDVDリップソフトも同様なので、刑事罰に関しても同等の扱いがされます。

記事によると、三才ブックスの人は、権利者側から販売の自粛を求められていたようですが無視していたようです。刑事罰の対象となるという意味を理解していなかったのでしょうか、それとも、警察に逮捕されてもよいという覚悟の上だったのでしょうか。

なお、この問題となったムック持っている人が「レアもの」としてオークションに出品したりしてもアウトです。また、DVDリップソフトを売るだけではなく、ネットで配布しても同様です。

「でもネットではDVDリップソフトがまだ売られているではないか」という声も聞かれるかもしれません。たとえば、AnyDVDなんてソフトはまだ売ってますね。調べてみるとこのソフトを売っているSlySoftはカリブ海にあるアンティグア・バーブーダという小国にあります。入金処理はキプロスの会社が代行しているようです。たぶん、本拠地はアメリカかイギリスになどにある会社のトンネル会社なのでしょう。

では、こういうソフトを日本から買う行為はどうなのでしょうか?不正競争防止法では、販売や輸出だけでなく輸入の行為も規制対象になっています。

不正競争防止法2条1項11号(強調は栗原による)

他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、又は当該機能を有するプログラムを電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)

ということで、DVDリップソフトのパッケージを輸入したりすると税関で差し止められる可能性があります。ネット経由でダウンロード購入することが輸入にあたるかは微妙なところです。また、刑事罰の要件としてはさらに「不正の利益を得る目的で、又は営業上技術的制限手段を用いている者に損害を加える目的で」という条件が入ってます(21条2号4項)。

ということで、業者がDVDリップソフトのパッケージを販売目的で輸入したりすれば確実に刑事罰の対象になるでしょうが、個人が自分で使用するためにネットで購入するだけであれば大丈夫のようにも思えます(とは言え、警察がそう思ってくれるかどうかはわかりません)。また、10月以降は著作権法改正によってリップ行為そのものも違法になってしまいます(なお、さすがにこれは刑事罰の対象外)ので、ツールの入手行為の合法性を議論してもあまり意味がないですね。

手持ちのDVDをiPadにリップして旅行に持ってくなんていうのは誰でもやっていると思いますが、この道がふさがれてしまうのは困ったことです。しょうがないので、アナログキャプチャーボードでも買おうかと思いますw。

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