【2025年版】スマホ機種変(Android間)時の落とし穴

知財に関係ないガジェットの話です。最近、メインのスマホをPixel 7aからXiaomi 14T Proに変えました(Xiaomiはコスパ最強です)。

いつもそうですが、機種変時のデータ移行は何かなくしそうで怖いです。それでも、今はほとんどのデータはクラウドに保管されているので、昔よりは大部マシになりました。昔は、機種変のたびに、写真なくしたり会員カードのポイントなくしてたりしました。必ず何かなくすのは携帯の引越しも家の引越しも同じなんてことを言っている人もいました(デイリーポータルZの林雄司さんだっけな?)

ということで、動画、画像、メッセージ、メール、通話履歴あたりは、キャリア提供の移行ツールとクラウドで問題なく移行できます。それでも注意したい点がいくつかあります。

①LINE
これも、昔はトラブルの種でチャット履歴や画像をなくしたりしてましたが、最近は大部楽になりました。Yahoo!のプレミアム会員(自分はキャリアがソフトバンクなので自動的にプレミアム会員です)向けの移行ツールを使うと、チャット履歴や購入スタンプ等々全部漏れなく移行できます(最初からこういう風にしてくれや)。

②Suica
これは昔から要注意なのでよくわかっています。旧端末でいったんサーバに残高を預けて新端末で復旧すればすみます。他のFELICA系アプリも同様です。

③Authenticator(2段階認証)
これはちょっと盲点でした。最近は、セキュリティの観点から2段階認証はSMSではなく、スマホの専用アプリで表示されるワンタイムパスワード(OTP)を使うケースが増えました。これの引継ぎが必要ですが、少なくともMicrosoft Authenticatorでは、新端末での設定をするために旧端末のOTPが必要なので、その時点で旧端末を返却・リセットしていると詰みます。ログイン状態を維持に設定しておくとしばらくは問題なく使えていて、クッキーの有効期限が切れたタイミングでOTPを求められる可能性があるので特に要注意です。

④Google Mapのタイムライン
これも盲点です。Google Mapのタイムライン(過去の自分の行った場所の記録)は、プライバシーの観点からだと思いますがクラウドではなくデバイスに保存されるように仕様が変わっています。旧端末でバックアップを取って新端末でインポートするという作業を旧端末があるうちにやっておかないと昔のタイムラインが消えます。気にしない人もいると思いますが、後であの日はあそこに行ったなあなんてのが見られると楽しい気もするので自分は残しておきたい気がします。

⑤スマホ用電子証明書搭載サービス
スマホでマイナンバーカードの一部の機能を使えるようにするサービスです。自分は使ってないんで関係ないですが念のために書いておきます。証明書情報をスマホのSecure Elementに書き込むので機種変時は特別な操作が必要です。

あとあまり一般的な情報ではないですが、次回機種変時用の自分用備忘録として書いておきます。
自分はスケジュール管理にOutlookを使っています。これをAndroidの標準カレンダーアプリに同期する方法ですが、昔はExchangeサーバにログインしてどーしたこーしたというやっかいな操作が必要でした(機種変のたびにはまってました)。今は、Outlookのアプリをスマホにインストールして、Outlookアプリの設定でカレンダーの同期をオンにすると、標準カレンダーアプリの方でも、Outlookのカレンダー表示可能になりますので楽ちんです。いつもこれを忘れて苦労しています。

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審査請求の手続きミスにおける怖い事例

裁判所サイトの知財関連判決例、たまに、手続上のミス(期限徒過等)で却下された手続の救済に関する裁判が見られます。ほとんどの場合、どんなに理屈をこねても救済されることはありません。まあ、これは出願人または代理人の瑕疵なのでどうしようもないところです。

しかし、これはちょっとかわいそうではという判決がありました。時系列としては以下のようになります。

1.PCT(外国語国際出願)の日本国内移行

2.翻訳文提出前に(国内移行と同時に)審査請求

3.出願番号通知および(2の審査請求に対する)出願番号特定通知

4.翻訳文提出

5.国際出願日から3年経過

6.2で行った審査請求が手続却下され出願は審査請求未請求によりみなし取り下げ

ここで、6の手続却下を取り消すよう特許庁を訴えたが請求棄却となったという流れです。

翻訳文提出後でないと審査請求はできないのは特許法に明確に書いてあるので、手続上の瑕疵であることは間違いないですが、これって、2に対して早目に手続却下してくれれば気付いた話ですよね(この事例では2から6まで11カ月かかっています)。しかも、2の後に出願番号通知や2の手続に対する出願番号特定通知が出ているので、2の手続が滞りなく受理されたと代理人が誤解してもおかしくありません。審査請求期間が終わってから「実はあの(11カ月前の)審査請求は不適法だったので手続却下です」と言われても困ってしまいます(現在ではあれば回復手数料を払えば救済されますが)。特許法上は間違ってないですが、もう少し融通を利かせてくれても良いのではと思います。

私も大昔に外国語国際出願の国内処理基準時前に自発補正をしてしまった時がありますが、その時は特許庁の審査官から「この補正は却下になりますので、国内処理基準時後に出し直してください」と電話が来ました。判決文によれば、審査請求についても、同様に、不適法な手続きの場合、その旨を代理人に連絡するという「行政指導」があるそうですが、このケースについては特許庁はこの「行政指導」に従わなかったことになります(法律的義務ではないのでしょうがないですが)。

まあ代理人としてはこういうこともあるということで入念にも入念な確認が必要ということでしょう。

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特許更新料期限徒過の回復における注意点

弁理士職業賠償保険の事例として挙げられることが多い、特許更新料納付の期限徒過ですが、回復が可能になったのでだいぶ気が楽になりました(手数料が212,100円とバカ高ではありますが)。また、自分で管理していたお客様から期限徒過したけど何とかならないかと相談された時にも対応可能です。

特許更新料の場合には追納期間の期限徒過の回復ということになりますので、倍額特許料+回復手数料ということで結構な金額が必要になります。また、回復した翌年の更新料の納付についても気を付けなければなりません。

たとえば、2024年の4月1日が特許の10年目の更新料の納付期限だったとすると、倍額期間は2024年10月1日までなので、回復は2025年の10月1日まで可能です(もちろん、故意でないこと、期限徒過を知ってから2カ月以内であることが大前提です)。気を付けないといけないのは、この例で言うと、2025年の4月1日に11年目の更新料の納付期限が来てしまうことです。

10年目の回復手続の結果を待っていると、11年目の更新料納付が追納期間あるいは追納の回復期間に入ってしまう可能性があります(2年連続で212,100円は痛いですね)。回復手続の結果待ちは結構時間がかかります。以前、PCT国内移行期限徒過で使った時は回復を認める通知が来るまで4カ月かかりました(年金の場合もそれくらいかかるのかは不明)。

これを防ぐためには、10年目の更新料を回復理由書と共に納付した直後に11年目も納付しておくことが必要です。なお、この場合に、同じ納付書で10年目と11年目を一緒に払ったりとか、インターネット出願ソフトで10年目更新料と11年目更新料を同時に支払ったすることはせず、必ず時間差を付けてくれと特許庁年金担当に口をすっぱくして言われました。

この点は特許庁のサイトにも出ていますが、同じ内容をわざわざ郵送でも通知してきました。結構間違える人が多いのかもしれません。なお、ないとは思いますが、回復が認められなかった場合は、納付済特許料も回復手数料も全額戻ってきます。

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住所(居所)変更届における旧住所の調べ方

識別番号に紐付く出願人の住所(居所)を変更する際には、旧住所の記載が必要です。ずっと自分が代理していた出願人であれば旧住所はわかりますが、代理人が切り替わったばかりだったり、複数の代理人を使っている出願人だと、今どの住所が識別番号に紐付いているのか出願人自身もわからないことがあります。あと、在外者だと、どのようなカナ表記が当てられているかは出願人に聞いてもわからないですね。

特許庁の識別番号担当部署に電話をかけて、こちらから「識別番号xxxxには東京都墨田区yyyの住所が紐付いていますか?」と聞いてYes/Noで答えてもらうことはできますが、「識別番号xxxxに紐付いている住所は何ですか?」と聞いても答えてもらえません。プライバシーの問題でしょうか?しかし、少なくとも法人の住所であればプライバシーも何もないと思うのですが。

このような場合、書面で照会することもできるのですが、一番簡単なのはとりあえず旧住所を当て推量で書いて住所変更届を出すことです。そうすると、もし旧住所が違っていた場合には、「旧住所が違っていますxxxxに直してください」という補正指令書が出るのでそれに応じれば良いそうです。便利ではありますが、それだったらそのまま職権で修正してくれても良いのになあと思いました。

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国の機関による出願の特許庁手数料は完全無料です(念のため)

そこそこ長い弁理士稼業の中で初めて官庁出願(国の機関による商標登録出願)を受任しました。官庁出願は登録料不要(国から国に払うことになるため)というのは認識していましたが、出願料はどうだったかとちょっと気になったので、官庁による既存の商標登録出願を調べてみると、結構大手の事務所でも出願手数料を支払っているケースが見られます。また、審査便覧にも、特許庁の手数料計算システムにも官庁出願の手数料免除への言及はありません。ChatGPTに聞くと、「結論から申し上げますと、国の機関(官公庁)が商標登録出願を行う場合であっても、特許庁の手数料が免除される制度はなく、通常の出願料や登録料の支払いが必要とされています。」と自信満々に回答してきます。

不安になったので特許庁に聞いてみました。結論から言うと、国の機関による出願では手数料も登録料も一切不要です。根拠条文は、商標法76条3項(手数料)と40条3項(登録料)です(条文に書いてあることを、わざわざ電話で聞いてしまって申し訳なかったです)。ちなみに、特許法では195条4項(手数料)と107条2項(特許料)、意匠法では42条2項(手数料)と67条3項(登録料)です。官公庁は、弁理士に依頼せず本人出願すれば完全無料でいくらでも商標登録できてしまうことになりますが、まあ当然に稟議が必要になるので商標ゴロにならないかといったことを心配してもしょうがないでしょう。

前述のとおり、大手事務所でもこの点を勘違いして官庁出願で手数料を支払ってしまったケースは結構あるようです(補正指令に対応することで返金されるので特に実害はないのですが)。あと、法律関係の調べ物でChatGPTを信頼してはいけないことがよくわかりました。

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