【雑談】iPhone 3GSとiRealBookについて

iPhone 3GSもう少し待とうか(Androidの様子も見たいし)と思っていましたが、結局買ってしまいました。実際使ってみると今まで使ってたWindows Mobile機(X01HT)とは雲泥の使い心地です(両者の差異についてはまた書きます)。

しかし、やはりストラップが付かないのは困りますね。自分は基本的にはネックストラップを使いたいのです。ネックストラップで携帯というのはかなりオッサン臭がが強いと思いますが、実際オッサンなのでしょうがありませんw。やはり「デジタルネイティブ」にはストラップは人気がないのかストラップが付くタイプのケースはあまりないですね。シリコンケースでストラップが付けられるものもありますが、これは使ってるうちにストラップ接続部がちぎれるのが充分に予測されるので避けたいです。

また、後生大事にケースに入れてその都度出して使うなどはめんどくさくてやってられません。とは言え、画面が傷つくのはちょっといやなので画面の保護対策は欲しいです。かと言って保護シールは、うまく貼れなくて気泡が入ったりして汚くなりがちなので避けたいものがあります。

そうなると選択肢としては、フラップ式で、iPhoneをケースから出さずに使用でき、ストラップが付けられるケース(ストラップ接続部は頑丈であること)ということになります。いろいろ探しましたがほぼ唯一の選択肢がPDAIRレザーケース(縦開き)という商品のようです。現物見ないで買うのは不安ですが、店頭では探しても見あたらなかったので通販で買ってしまいました。

iPhoneを入手してすぐ買ったのがiRealBookというソフトです。ジャズのスタンダート曲のコード進行だけを表示できるアプリケーションです(著作権の関係でメロディデータは入っていません)。要するに演奏する時のアンチョコ用です。「本物のジャズミュージシャン」であればスタンダード曲のコード進行は全部覚えているべきなのですが、めったにやらない曲だったりすると忘れてしまうことがあります。また、歌の人の都合で移調しなければいけないこともあります(これまた、「本物のジャズミュージシャン」はあらゆるスタンダード曲をあらゆるキーで弾けなければなりません。)さらに、私の場合テナー・サックスとオルガンの両方を演奏するという事情があります。コードは基本的にテナーサックスのキー(Bフラット)で覚えていますので、オルガン弾いたときに頭が混乱してよく間違えることがあります。というわけで、オルガン弾くときはコード進行見ながら弾くことが多いです(私は「本物のジャズミュージシャン」ではないのでしょうがありません)。

iRealBookは約650曲入ってますので重要スタンダードはほぼカバーされてますし、自分で曲を追加することもできます。当然、転調は自由にできます。使ってる間にスクリーンセイバーが起動してしまったりすることがないようになってます。また、暗いステージで演奏する時に目障りにならないように、白地に黒ではなく黒地に白で表示できる機能もあります。なかなかかゆいところに手が届いています。しかし、そもそも音はまったくでませんし、前述の通り、メロディは表示されないので楽譜の代わりにはなりません。あくまでもジャズミュージシャンの覚え書き用です。そういうわけなので、かなりユーザー層は限られていますが、そこそこ売れているようです。

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ところで、RealBookとは何かということなのですが、元々は米国で出回っていたアングラの(著作権無視の)楽譜集の名称です。昔は、米国の楽譜屋さんで「RealBookありますか?」と聞くとカウンターの下から出してくれたそうです(まるで裏本)。なお、現在売られている同名の本は権利処理が行なわれているバージョンです。

なぜ、RealBookと呼ばれるかというと、昔からジャズ等でテーマのメロディを崩して吹くことをフェイクすると言っています。ゆえに、フェイクの元とするための有名曲の楽譜集をFake Bookと呼ぶようになりました(この呼び方は今でもされます)。で、Fake(偽物)→Real(本物)の言葉遊びでスタンダート曲集がRealBookと呼ばれるようになったとされております(どーでもいい豆知識ですみません。)

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廃盤ジャズCDの再発と再販制度について

マニアックなお話しではあるのですが、私が最も好きなジャズミュージシャンを一人挙げよと言われれば「スティーブグロスマン」ということになるでしょう。相当ジャズ好きな人でないとご存じないかもしれませんが、爆音とアグレッシブなソロラインを特色とする天才肌のサックス奏者です。ミュージシャンズ・ミュージシャンの一人と言って良いでしょう。というわけで、グロスマンのCDは積極的に集めてきたのですが、超有名という人でもないので廃盤になって入手困難なCDも結構あります。

そのような入手困難盤のひとつ”Perspective”がようやく再発され無事入手することができました。まあ正直、80年代初期風のフュージョンサウンドが時代を感じさせ、万人にお勧めできる作品ではないですがグロスマンのソロはすばらしく、ファンの人にとっては今回の再発は大変よろこばしいことでしょう。

さて、このCD、元々はAtlantic Recordから出ていたものですが、再発はWounded Bird Recordsというところから出ています。この会社は、昔のAtlanticのマイナーな作品をどんどん再発している会社のようです。しかもお値段もそれほど高くありません。

同じ流れで言うと、故マイケルブレッカー参加時代のSTEPSの入手困難盤であるSTEP BY STEPもNYC Records(STEPSのリーダーであるマイクマイニエリが運営するレコード会社のようです)というところに注文しました(これはまだ届いてません)。このSTEP BY STEPというCDは日本コロンビア制作ですが長らく廃盤状態で中古市場ではとんでもない値がついていました。

グロスマンに話を戻すと、幻のレコードのひとつとして、チックコリアの「日輪」というレコードがありますが、これも結局CDでは再発されていません。制作は東芝EMIです。さらにいうとビクター(当時)製作の「フィルウッズ&ジャパニーズリズムマシン」という作品も入手困難で、中古価格が高騰しています。

何となくではありますが、日本制作の昔のマイナーなジャズ(フュージョン)レコードが再発される可能性は結構低いような気がします。

「そんなこと言ったってレコード会社もビジネスでやっているのだから売れない作品の再発なんてやってられない」という声が聞こえてきそうですが、日本独自の制度である再販制度に対する批判があるとレコード会社(というかコンテンツ提供側)は必ず「CD(書籍)は文化にかかわる商品であり、市場原理だけにまかせていると、売れ筋の商品ばかりが流通することになり、商業ベースに乗りにくい良質な作品を聴く機会が埋もれてしまう」と反論してきます。

この主張によれば、再販制度がある日本→レコード会社は目先の商売だけにとらわれずマイナーなコンテンツも積極的に流通できる、再販制度がない諸外国→ビジネス的においしくないマイナーなコンテンツが流通しなくなる、ということになります。しかし、少なくともジャズ廃盤作品の再発状況を見てみると、市場原理だけにとらわれずマイナーでも良い作品を商売気抜きで積極的に再発しようとしているのは再販制度のない米国のレコード会社であるように見えます。

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スウェーデンの音楽産業事情についてもう少し調べてみた

先日の記事で「スウェーデンの音楽産業は最大の外貨収入源である」というお話しを紹介しました。では、「スウェーデンの国内産業に占める音楽産業」ではなく「世界の音楽産業に占めるスウェーデン」という視点で見てみるとどうでしょうか。スウェーデンは米国、英国に次ぎ、世界第3位の音楽輸出国であるそうです(ソース(英国The Independence紙の記事))。これは何となくうなずけますが、スウェーデンの人口が1000万人弱、そして、その音楽産業がほとんど集中していると言われるストックホルムの人口が100万人弱であることを考えるとなかなかすごいことです。コンテンツ立国を目指すわが国としては参考にすべき点が多いと思われます。

なぜ、スウェーデンの音楽産業にこれほどの競争力があるかですが、スウェーデン政府による公式サイトの記事では以下が理由ではないかと推定しています。

1.公立の音楽学校による幼少期からの教育

2.先進的トレンドを好む国民性

3.全国民が英語に堪能

4.MySpaceなどのインターネットチャネルの積極的活用

日本の場合だと、世界的音楽市場で勝負しようと思うとやはり上記の3.が苦しいところでしょう。

さて、次にスウェーデンのP2P事情についてみてみましょう。「P2Pとかその辺のお話し」で紹介されているデータではThe Pirate Bayへのコネクション数の国別の内訳では中国33%、米国8%、スウェーデン1%となっています。しかし、前述のとおりスウェーデンの人口は1000万人弱なので、それを考えると人口当たりの利用率は米国をはるかに超えることになります。中国は別格としても世界でP2Pが最も普及している国のひとつと言えるのではないでしょうか。また、P2Pへの規制に対して国民の反発が強いということは海賊党の議席獲得についての先日の記事でも触れたとおりです。

以上をまとめると次のようになるでしょう。

事実1: スウェーデンの音楽産業には国際競争力がある

事実2: スウェーデンではP2Pによるファイル交換が広く普及している

もちろん、これだけで両者の間に因果関係があると結論づけることはできません。P2Pを禁止したらもっと国際競争力が増すかもしれませんし。しかし、音楽に限らずコンテンツ産業における競争力は国民が芸術分野に幼少期からどれほど親しんでいるか勝負だと思います。事後的に箱モノを作ればコンテンツ産業が発達するというようなものではないでしょう。日本もスウェーデンのようになりたい(実際、日本政府はそうなりたいと言っているわけですが)のであれば、若者たちが良質のコンテンツに触れる機会をできるだけ増やすことにフォーカスすることが不可欠だと思います。

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プライバシーマークの偽造と商標権について

jniinoさんがブログPublik Keyでプライバシーマークの偽造事件について書かれています。プライバシーマークの認定を受けていないサイトが勝手にプライバシーマークのロゴをコピーして表示しているというケースです。プライバシーマークの認定期間である財団法人日本情報処理開発協会からの警告によりほとんどの企業は使用をやめたようですが、まだ一部使用を継続しているところがあるようです。

この件に関する日本情報処理開発協会からの警告文ですが、微妙に弱腰な感じがします。プライバシーマークは登録商標なので故意に無許可で使用すると刑事罰の対象にもなります。つまり、警察に逮捕されたり最大1億5千万円の罰金(法人)の場合が科せられる可能性もあります。商標権の侵害は思ったよりも厳しい制裁があり、やり得というわけではないので注意が必要です。

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スウェーデンの音楽産業と海賊党について

ちょっと古いトピックですが、「著作権法の改革目指す“海賊党”、欧州議会で議席獲得」なんてニュースがありました。もちろん、一議席の少数派政党のひとつに過ぎませんし、彼らが主張する「ファイル交換の自由化、欧州域内での特許制度の廃止、著作権法改革、コンピュータファイル複製防止技術の禁止」などという「政策」がそう簡単に実現されるとは思えませんが、(小倉先生のたとえによれば)共産党に相当する発言力を確保できたのは注目に値するでしょう。

ところで、スウェーデンの音楽産業の状況については私はよく知りませんでした。知ってるのはせいぜいABBAとカーディガンズくらいです。あとは、コマーシャリズムに乗りにくいジャズ盤を出すレーベルが昔からいくつかあるのも知っています。実は、私も始めて知りましたが、「スウェーデンの最大の外貨収入源は音楽産業」なのだそうです(ソース)。

この音楽産業の発展と海賊党の台頭(さらには、これに微妙に関連した動きであるP2PのトラッカーサイトPirates Bayの普及)との関係の分析はなかなか難しいところです。

「ある程度はコンテンツを自由に交換できる土壌があった方が音楽産業は発展する」と見ることもできますし、「多くの国民が不満を覚えるほど厳しい著作権管理があってこそ音楽産業が発展する」と見ることもできるでしょう。この件についてはもう少し調べてみようと思います。事情通の方(特に現地在住の方)の情報提供歓迎します。

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