NetApp社のクラウド戦略について(1)

#最近更新が滞っておりどうもすみませんでした。そろそろほぼ毎日更新ペースに戻します。エンタープライズIT:50%、知財:30%、翻訳:10%、雑談:10%くらいの配分で書いていく予定です。

ちょっと前になりますが、NetApp社のアナリストイベントに出席するために米国出張してきました。その内容、特に同社のクラウド戦略についてNDAに抵触しない範囲で何回かに分けて書いていこうかと思います。

まず、NetApp社についてですが、一般にはNASベンダーという認識があるのではと思います。実はこの認識はあまり正しくありません。NetApp社の製品はストレージ側にファイルシステムがあるという点で技術的にはNASなのですが、プロトコルとしては通常のファイル共用プロトコルだけではなくて、FC-SAN、iSCSI、FCOE(FC over Ethernet)等々ほぼ何でもサポートされています。DBMSなどのブロックアクセス用途にまでファイルシステムを経由させるのはオーバーヘッドが大きいような気がしますが、ベンチマーク数値を見ても通常のSANストレージ機器と同等以上の性能を発揮できています(実際、NetAppとOracle DBMSはかなり相性が良い組み合わせであり、両社のパートナー関係も良好です)。結果的に、ローエンドからハイエンドまでの多くの用途にシングルアーキテクチャで対応できる点がNetApp社の製品ラインの特徴です。

さて、同社のクラウド戦略ですが、当然ながらクラウドのために独立したセッションが用意されていました。いかなるベンダーであっても、現時点では、アナリスト向けに何らかのクラウドのストーリーを提供できないと厳しい状況になっていると思います。

私は、クラウドの議論をする時にはその議論の文脈における「クラウド」の意味を明確化しておく、いわば、ローカル定義しておくべきであるという話を良くしています。クラウドの定義が多様化しており、ひとつにまとめるのは困難であることから、せめて議論の文脈においては、どういう意味でクラウドという言葉を使っているのかをはっきりさせましょうということです(そういう意味では、「クラウドとは何か」から始まらないクラウドのプレゼンテーションには懐疑的になってしまいますね)。(クラウドの定義について書いた日経BPサイトの記事

その点では、NetAppは賢明にもちゃんとクラウドを明快に定義した上で議論を展開していました。NetAppでのクラウドの定義は”IT as a Service”というものです。具体的には、IaaS+SaaS+PaaS+StaaSということになります(ストレージ・ベンダーとしては当然と思いますが、STaaS(STorage as a Service)をIaaSから切り離して定義しています)。企業向けITベンダーとしてはこう定義するのが一番自然であると思います。

ベンダーがクラウド戦略について考える時には、以下の3つの方向性で考えることが重要であるというような話を以前書きました(日経BPのサイトにも同様の内容をより詳しく書いてます)。

1.クラウド・プロバイダーに対してシステムや運用管理ツールを販売する
2.クラウドを活用するユーザー企業のインテグレーションを支援する
3.自らがクラウド・プロバイダー事業を行なう

NetAppのクラウド戦略の方向性は明快で、上記の1のみを追究するというものです。理由は単純で「パートナーと競合したくない」ということであります。同社は今のところ製品テクノロジーに徹したベンダーですので当然の戦略とも言えます。

さて、ここでポイントとなるのが、クラウド市場でどう差別化要素を提供していくかです。クラウド基盤の設計思想は安価なコモディティ・ハードを大量に使うことで、パフォーマンスと信頼性を確保することにあることが多い(それがすべてではないですが)中で、ハードベンダーの差別化はなかなか困難です。この困難な課題に対するNetAppの回答については次回に。

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  1. ピンバック: Storage Technology Watch

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