【週末ネタ】そろそろ老眼来てる方におすすめですハズキルーペ

ブログ更新が滞っていてすみません。訴訟系の仕事の手伝い等をしていてちょっと多忙でした。また、定期的に更新するようにします。と言いつつ、まずは仕事に直接関係ない週末ネタです。

人間には絶対に逃れられないものが三つあると言われています。死と税金と老眼です。私も最近はかなり老眼が厳しくなってきました。PC画面や電子書籍であれば字をめちゃくちゃでかくすることで対応できますが、紙の本や資料は困ってしまいます。特に、法律系の書籍は妙に字が細かいのが多いんですよね。また、特許公報等のただでさえ字が細かい資料をA4横の2カラム形式で印刷されたりするとかなり厳しい状況になります。がんばって読んでも目や肩が疲れて読書が長く続けられなくなります。読書量が減るのは弁理士およびITアナリストとして致命的なので絶対に避けたいですね。

私のような近眼の人にとっての一般的な老眼対策は遠近両用メガネですが、行きつけの眼科医の話では、PCを多用する人にはめちゃくちゃ目が疲れるのでお薦めしないそうです(ちょうど「遠」と「近」の境目を多用することになるからでしょうか)。それよりも近眼の度を落としたメガネを作った方がよいそうです。これについては、今度暇が出来たら眼科で検眼して作ってみようと思います。

それとは別のアプローチしてルーペも使っています。めちゃ字が細かい資料の場合は適切なメガネを使ってもどっちにしろ見にくいのでルーペはあった方がよいです。カマボコレンズのやつとかカード式ルーペなどをカバンに入れて携帯しています。便利ですが、これでずっと読書とするという感じではないですね。

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ということで読書用に、普段のメガネの上にかけられる「ハズキルーペ」とい製品が評判良いようなので買ってみました。メガネの上からゴーグルみたいにかけられます。老眼鏡でもOK。メガネ使ってない人はそのまま使えます。ルーペの倍率はたかだか1.6倍ですが、かなり字が見やすくなります。読書だけではなく、プラモ作りだとか半田付けのような細かい作業にの便利そうです。ただし、被写界深度がめちゃくちゃ浅いので手元以外はボケボケになります(かけたまま歩くことはほぼ不可能です)。

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ちょっとお高いのですが、読書量が多い人、細かい作業をする人で、そろそろ老眼来てるかなという人は是非試してみるとよいのではと思います(メガネ屋の店頭でも試せるところがあるようです。)

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HPのIAサーバ担当SVPにインタビューしました: モットーは「標準に基づくイノベーション」

サーバ製品の発表イベントのために来日していた米HPのIndustry Standard Servers 部門シニアバイスプレジデントのMark Potter氏にインタビューしました。同氏は、Compaqのエンジニア出身、HPのアナリストイベントでは私も何回かインタビューしていますが、技術者出身らしくテクノロジー好きの気さくなお人柄の方です。

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栗原「今回のポッターさんの来日の目的を教えてください。」

Mark Potter「HPの新世代IntelサーバであるProLiant Gen8の発表イベントでの基調講演などが主な目的です。」

栗「新世代サーバで特に新しくなったのはどのような点でしょうか?」

ポ「基調講演ではMoonshot、Odyssey、そして、VoyagerというHPで進行中の3つの重要なプロジェクトについてご紹介したので、製品個別の話をするよりも、それに沿ってお話ししましょう。まず、Moonshotですが、これは、エネルギー効率性を大きく向上させた新世代サーバ製品のプロジェクトです。ARMやATOMベースのサーバにより、従来と比較してエネルギー商品を80%から90%改善し、設置スペースを10分の1にするのが目標です。」

栗「ハード基盤のプロジェクトと考えてよいですね?」

ポ「基本的にはそうです。Odysseyも基本的にはハードウェア・プラットフォームのプロジェクトです。”Misssion Critiacal for Masses”がモットーです。4年前にIntegrity系サーバ製品がブレード化され、Xeon系サーバとフォームファクターが統一されたのはご存じと思いますが、その延長線上にあるものです。Unix系、Liniux系、Windows系、さらには、NonStopやOpenVMS系のサーバを共通化していくのが目標です。」

栗「X64上でのHP-UXサポートも計画に含まれているのでしょうか?」

ポ「それについては公式にはそのような計画はないとだけ申し上げておきましょう。さて、今回、一番強調したいのはプロジェクトVoyagerです。これは、ハード、ソフト、サービスを包含する広範なプロジェクトです。3億ドル以上の投資と2年以上にわたる研究開発の成果であり、今後のサーバ市場を再定義するだけのインパクトがあると考えています。Voyagerの大きな目標としてライフサイクル全般にわたった管理性の向上があります。たとえば、システムの障害情報をクラウドベースのサービスで自動的に収集しており、特定のロットの部品に障害が多いということが判明すれば、障害が発生する前にプロアクティブに交換を行なうことができます。」

栗「メインフレームでは昔から似たようなやり方をやっていますね。」

ポ「おっしゃるとおり、過去においてはメインフレームの世界で限定的に行なわれていたことを業界標準サーバの世界にも拡張したと考えてください。」

ポ「また、細かな工夫ではありますが、きわめて微細化しているCPUのピン損傷を防ぐためにHP独自のSmart Socketという技術を開発しました。マザーボード障害の多くがCPUピンの曲がりに起因していることがわかったからです。また、ディスクドライブのキャリアにもデータ系とは別の制御系のコネクタとLED表示を設けており、リビルド中のドライブを誤って抜いてしまうようなエラーを防いでいます。また、性能面でもアレイコントローラーにはHP独自のブレークスルーがあり、性能向上に貢献しています。これは、SPEC Virtualizationベンチマークの結果を見ても明らかです。このような細かな改善の積み重ねがお客様に価値を提供すると考えています。」

栗「最後に、POD(Performance Optimized Datacenter)(注:コンテナ型データセンターのこと)についてお伺いできますか?」

ポ「はい、PODも私の担当製品です。HPのPODは水冷という点がユニークな存在です。これにより、1.06という驚異的なPUEを提供可能です。つまり、機器冷却により無駄になる電力がほとんどありません。ご存じと思いますが、一般的なデータセンターではPUEが2.0、つまりデータセンターに供給される電力の半分近くが冷却等のオーバーヘッドに費やされてしまうこともあります。」

栗「最近はあまりグリーンITという言葉を聞くことも少なくなりましたが、やはり消費電力削減のニーズは依然として大きいのですね?」

ポ「米国では電力効率性に関する注目度はますます高まっています。コスト上の理由もありますし、データセンターの電力効率性に関する当局の規制がますます強まることが予測されているからです。」

栗「他社のコンテナ型データセンターではISO規格の標準コンテナをそのまま使っている点をセールスポイントにしているところもあると思うのですが。」

ポ「HPのPODは水冷ということもありISO規格のコンテナをそのまま使っているわけではありません。ただし、基本的なサイズやフックの位置は同じです。なので、運搬時に問題になることはほとんどありません。」

栗「PODのユーザーは増えているのでしょうか?」

ポ「もちろんです。すべてのユーザー事例を公開できるわけではないのですが、最近の例ではAirbus社の事例があります。HPC(科学技術計算)に使用しています。また、マイクロソフトのデータセンターの一部でも使われています。」

栗「コモディティ化が相当に進行している業界標準インテルサーバの領域でこれだけのイノベーションを実現できるというのはすばらしいことですね。」

ポ「『コモディティ』という言葉は考えないようにしています。この分野は『コモディティ』なんだと思ったとたんにお客様のことを考えなくなり、イノベーションの動機付けがなくなってしまいます。『標準に基づいたイノベーション』(Innovation on Standards)こそがこの分野におけるHPのモットーです。」

栗「素晴らしいモットーだと思います。本日はどうもありがとうございました。」

【栗原の感想】

コモディティ化が極限まで進んでしまったインテルサーバの世界で差別化を提供しようとするならば、「規模の経済」による効率性、そして、システム管理面での強化くらいしか残っていないと思いますが、HPはまさにその道を突き進んでいると言えます。市場カテゴリーとして見れば、IAサーバ市場は決して成長市場ではないですが、もちろん衰退市場でもないので、当面、HPの強力なポジションは揺るがないと思います。

【こぼれ話】

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このインタビューはセミナー会場のホテルで行なっていたのですが、インタビューの後に、ポッター氏が「現物を見た方がわかりやすいだろうからデモ機で説明しよう」ということで、展示会場まで行って直々に説明していただけることになりました。写真には撮れませんでしたが、ハードディスクのキャリア、ラックのマウント部(耳)、電源ケーブルなどに、すべて制御用のコネクターが設置されています。これにより、ラックにどのような機器がマウントされているか、この機器はどの電源系統に接続されているか等々がわかるようになっています。なお、普通の電源ケーブルを使用することも可能ですし、HP以外の機器をラックに搭載することも可能です。まさに、Innovations on Standardsです。

私に熱心に説明しているポッター氏のことをデモンストレーターだと思ったのか、まったく関係ないお客さんが質問してきました(その時は私も「あれ次の枠にインタビューが入ってるプレスかアナリストの人なのかな?」と思っていたのですが、そうではなく一般客の人でした)。しかし、ポッター氏は、依然としてうれしそうに質問に答えていました。氏のお人柄が伺い知れます。質問した人もまさかこの人がHPの上級役員だとは思いもしなかったでしょう。

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特許庁の情報システム刷新に対してコメントしてみた

日本弁理士会が、特許庁の情報システム刷新に対して特に平成25年に対応すべき優先事項について意見を求めていたので、以下のようにコメントしてみました。IPDL(特許電子図書館)も意見募集の範囲に含まれているかどうかわかりませんが、弁理士として毎日触れているのはIPDLなので書きました(おそらく、IPDLはWebフロントエンドを介して特許庁の情報システムにアクセスしているだけと思うので)。

他にもみなさまのご意見があれば可能な限り追加しておきます(ただし、〆切は4/30です)。


1.IPDL(特許電子図書館)について

基本設計の全面的な更改をしなくともIPDLの使いやすさを大きく向上できる方策があると考えますので提案します。

A. 公報アクセスのためのWebサーバを別途設置する

現在のIPDLはWebのフロントエンドを介して特許庁情報システム内の情報に逐次アクセスする設計になっていると推察します。このため、使いやすさの点で種々の制限があります。従来の仕組みは残すとしても、これとは別に、PDF形式の公報データをすべていったん特許庁情報システムから抽出し、別のWebサーバ上に置くことを提案します。これにより以下のメリットが得られます。

a-1.Googleなどのインターネット上の検索エンジンを使いサイト限定の検索を行なうことで迅速かつ安価(無料)の全文サーチが行なえる

最終的には有償の検索エンジン製品を使用することで有用性をいっそう向上できますが(構造化サーチ等)、そこまでしなくとも全文サーチの性能と使いやすさを大きく向上できます。

a-2. 公報の固定リンクを提供できる

現在のIPDLでは公報に対するリンクが動的に作成されるために、メールや掲示板の投稿等で公報のリンクを他者に伝えることができません。これは生産性を大きく阻害します。現時点でも一部教育機関向けに固定リンクが提供できているようですが、別に公報サーバを設ければ難しい工夫もなく固定リンクを提供できます。

a-3. メンテ中でも公報データにアクセスできる
現在、連休中等を中心としてIPDLの保守が行なわれていますが、保守期間中はIPDLにまったくアクセスできません。特許業界は休日勤務も頻繁にありますので現実的には大変困ります。別途公報サーバを設置すれば、メンテ中であっても旧データへのアクセスが可能になります。

なお、公報データを重複して持つことによる負担ですが、IPDLが8,000万件の公報データを管理しているとして、1公報あたり(大きめに見積もって)10MBのディスクが必要とすると必要データ量は800TBです。現在では、大型システム向けのディスクストレージでも1TBあたり5万円程度で購入できますのでおよそ4,000万円となります。もちろん、これ以外にもサーバやデータ移行等のコストがかかりますが、決して法外な金額というわけではないと考えます。

B.その他のユーザーインターフェース上の工夫

簡単な修正により使いやすさを大きく向上できる領域があると考えますので提言します。

b-1. 公報検索画面において全角数字の入力を許す

現在では公報の表示画面では公報番号が全角表示されており、それをコピペして検索することができません。いちいち紙に書き写して手入力する必要があります。検索プログラムが全角数字でも半角に自動的に変換して検索するように修正すれば、利便性が大きく向上されます。
なお、一般的に、全角英数字は、前世紀のワープロ時代の遺物であり、今日の情報システムにおいては邪魔になるだけなので、撤廃すべきと考えます。また、見だし部分等を目立たせるために文字間にスペースを入れるような修飾法(例:「タ イ ト ル」)も同じ理由により撤廃すべきです。

2.特許庁情報システム刷新の基本的考え方について

特許庁情報システムの基本はワークフロー管理とドキュメント管理であると考えます。そして、これらは基本的には法律や種々の基準に基づいています。これらの法律や基準の知識がない技術者が個別の部門にいくらインタビューしても、全体像をつかむことは困難です。情報システムの基本設計においては、法律や基準の全貌を理解している者、すなわち、弁理士を積極的に関与させるべきと考えます。

また、今日ではワークフロー管理やドキュメント管理を提供するソフトウェアパッケージ製品が数多く存在します。ゼロからカスタム開発するだけではなく、これらのパッケージ製品の採用も検討すべきです。開発業者は開発工数が膨らむ方がビジネス的に望ましいので、できるだけカスタム開発を行なう方向性に持って行こうとすると思いますが、これに単に従うのではなく、大局的な観点からの判断を行なうことが重要と考えます。

以上

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【小ネタ】ナイスなキャラクターグッズをデザインした人は是非意匠登録出願も検討してみてください

twitterで提案されたネコ型デザインのスマートフォン用イヤホンジャックが、実際に商品化されることになったということで話題になっています(参照Togetter)。正直、実用性ゼロ(かえって使いにくくなると思われる)ですが、猫好きの人にとってはあまりにも魅力的なので結構人気が出るのではないかと思います。


出典:ねこむらおたこ様(@nekomura_otako)のtwitpic

私はこのデザイナーの方を知っているわけではないので、一般論として書くと、この手のグッズをデザインした方は是非、意匠登録出願を検討されるとよいかと思います。「意匠」とは工業デザインのことです。意匠登録すると特許と同じようにその工業デザインの製造・販売等の権利を最大20年間独占できます(他者の製造・販売等を差止めできます)。美観を提供すれば良いので、特許とは異なり何の役に立たなくてもかまいません。ただし、特許と同様に、既に世の中で知られているデザイン、および、知られているデザインから容易に思いつくようなデザインは意匠登録できません。また、デザイナー自身が公表した場合は、公表から6ヶ月以内に出願すれば大丈夫です(特許法も改正によりこれと同じルールになりました(参考ブログエントリー))。

既に意匠登録されているネコ関係グッズがないかと探してみたところ、以下のような文鎮セットを見つけました(意匠登録1336459, 1336460, 1336461)。3つの文鎮がケースにうまく収まって猫好きにはたまらない状態になるのが特徴です。実際に商品化されているかどうかはわかりませんが、もし商品になっているのであればちょっとゲットしたい気もします。

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通常、意匠登録出願にはAutoCAD等で作成した図面(六面図)が必要になるのですが、この手のキャラクターグッズの場合には現物の写真でも大丈夫です。ただし、色や模様が付いているとそれによる限定がかかり権利範囲が狭くなるので、できれば色塗り前の状態で写真を撮ることをお勧めします。現物の提供で写真・図面に替えることも可能ですが厚さ7mm以内に収まらないといけないのでキャラクターグッズの場合はちょっと難しいかと思います。

【以下宣伝】テックバイザーでは意匠登録出願の代理もやっています。一番手間がかかるのは図面、写真の作成なので、逆に、図面、写真をご提供いただけるのであれば、かなり魅力的な料金で出願代理可能です。詳しくはお問い合わせください。

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【速報】Amazonのワンクリック特許(を元にした分割出願)が日本で登録された件

日経BPのTechOn!の記事「出願から14年、Amazonの「1クリック特許」が日本で成立」によると、Amazonのワンクリック特許出願を元にした分割出願2件(4,937,434号および4,959,817号)が最近登録されたようです(ワンクリック特許は日本では拒絶になったと思っていましたが分割出願が残っていたのですね)。

ワンクリック特許とは、住所やクレカ情報を入力しなくても注文ができるというアイデアの特許であり米国では1997年に出願され、1999年に登録されています(米国特許番号5960411)。ビジネスモデルやソフトウェアの特許性が問題になっていた時期であり、こんな自明なアイデアに特許を与えてよいのかということで、当時はFSFなどによるAmazonボイコット運動が起こったのを覚えています。

今回、日本で成立した特許はこのワンクリック特許そのものではなく、それを元にした分割出願です。特許明細書に出願時点で書いてあるアイデアであれば、後の段階で、特許の範囲(クレーム)に含めるような補正を行なって別の出願とすることができますが、この制度を利用しています。

両出願の出願日は14年前(米国出願への優先権まで考えると15年前)なので現在では自明となっているアイデアが特許化されている可能性があります。出願公開はされているので厳密にはサブマリンではないですが、サブマリン特許的な脅威はあります。

両特許の内容について簡単に紹介します。

まず、4,937,434号の名称は「ギフト発送方法及びそのシステム」であり、ワンクリックで他のユーザーにギフトを送れることが特徴のようです(12/04/25追加: よく見てみると当初の出願を大幅に補正しており実質的にギフトとは直接関係がないワンクリック注文の特許になっていました)。第一の請求項(登録時点)は以下のようになっています。

【請求項1】 アイテムを注文するためのクライアント・システムにおける方法であって、 前記クライアント・システムのクライアント識別子をサーバ・システムから受信することであって、前記クライアント識別子は、前記クライアント・システムから前記サーバ・システムが予め受信した前記ユーザの購入者固有注文情報と対応付けて前記サーバ・システムに予めストアされていること、 前記クライアント・システムで前記クライアント識別子を永続的にストアすること、 アイテムを特定する情報の要求を前記サーバ・システムに送信すること、 前記アイテムを特定する情報と、前記特定されたアイテムの要求を受け付け、ストアしておくための記憶領域を示すショッピングカートの指示部分と、前記特定されたアイテムを注文するのに実行すべきシングル・アクションの指示部分とを、前記サーバ・システムから受信して、ディスプレイに表示すること、 前記シングル・アクションが実行されることに応答して、前記特定されたアイテムの注文要求を、前記ショッピングカートにはストアせずに、前記クライアント識別子とともに前記サーバ・システムに送信することにより、前記サーバ・システムが、前記受信したクライアント識別子により、予めストアされた前記購入者固有注文情報を特定し、前記シングル・アクションの選択のみによって注文を完成させることであって、前記シングル・ア クションの実行により、他のアイテムについての注文であって、前記クライアント識別子 に関連付けられた1または複数の以前のシングル・アクション注文を、そのアイテムの有 用性に基づいて結合し、前記有用性は、短期間または長期間に分類され、前記短期間は、 在庫のある注文に相当し、注文要求を受けたときに出荷可能であり、前記長期間は、注文 要求を受けたときに出荷可能でない注文に相当すること、および、 前記特定されたアイテムの前記注文要求を、ある時間期間内にキャンセルするのに実行すべき指示部分を前記ディスプレイに表示すること を備えたことを特徴とする方法。

構成要件が結構多いのでそんなに範囲は広くないと思うのですがもう少し読み込まないと何とも言えません。

4,959,817号の方も名称は「アイテムを注文するためのクライアント・システムにおける方法及び アイテムの注文を受け付けるサーバ・システムにおける方法」で、第一の請求項は、

【請求項1】 アイテムを注文するためのクライアント・システムにおける方法であって、 前記クライアント・システムのクライアント識別子を、前記クライアント・システムのコンピュータによりサーバ・システムから受信すること、 前記クライアント・システムで前記クライアント識別子を永続的にストアすること、 複数のアイテムの各々のアイテムについて、  前記アイテムを特定する情報と、前記特定されたアイテムを注文するのに実行すべきシングル・アクションの指示部分とを、前記クライアント・システムのディスプレイに表示することであって、前記シングル・アクションは、前記特定のアイテムの注文を完成させるために前記クライアント・システムに要求される唯一のアクションであり、前記クライアント・システムに対して前記シングル・アクションの実行に続いて前記注文の確認を要求しないこと、および  前記シングル・アクションが実行されることに応答して、前記特定されたアイテムの注文要求と前記クライアント識別子とを、前記サーバ・システムに送信することであって、前記注文要求は、前記シングル・アクションによって示されたシングル・アクション注文要求であり、前記クライアント識別子は、ユーザのアカウント情報を特定することを備え、 前記サーバ・システムが、前記シングル・アクションによって示されたシングル・アクション注文要求と、前記クライアント識別子に関連付けられた1または複数の以前のシングル・アクション注文要求とを組み合わせ、1つの注文に結合することを特徴とする方法。

となっています。こちらは元のワンクリック特許に近いように思えます。

これらの特許を無効にしようと思うと15年前に遡って先行技術を探さないと行けないので結構厳しそうです。権利範囲はそんなに広くなさそうですし、特許の存続は2018年9月までなので残り6年強、Amazonが強硬に権利行使する可能性は低いとは思いますが、Web系、モバイル系のビジネスを行なっている方は一応気にしておいた方がよいかもしれません。

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