外国語特許出願の34条補正翻訳文提出手続備忘録

外内でPCT出願の34条補正翻訳文を提出する手続が続いたので自分用の備忘録として書いておきます。

1.どういう手続か?

PCT出願の国際段階でした34条補正を日本国内移行出願に反映させる手続です。19条補正の場合は、補正後の翻訳文のみを提出して国内移行すればよいのですが、34条補正の場合は、PCTの原文どおり(または19条補正後)の内容で翻訳文を提出した後に、補正の翻訳文を改めて提出することが必要です。

2.いつまでにやるか?

国内処理基準時までに行う必要があります。

細かい点として、故意でない期限徒過の制度を利用して国内書面(と翻訳文)を提出した時には、国内書面を出した時には既に国内処理基準時を過ぎていますので、34条補正翻訳文を提出する機会はありません(特許庁確認済)。この場合でも、34条補正と同様の補正を通常の国内出願の自発補正として行えば良いので特に問題はありません。

3.どうやってやるか?

「特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書」でインターネット出願ソフトで提出します。形式は通常の手続補正書と類似ですが、補正の根拠(新規事項追加でないこと)を(上申書ではなく)【その他】欄に書く必要があります。34条補正を行った時に補正の根拠が出願人(現地代理人)により書かれているはずですが、34条補正の内容は最先出願日から30カ月は公開されません。翻訳文提出特例期間が適用されている場合はPatentScopeで見ればよいのですが、そうでない場合は、国内処理基準時(34条補正翻訳文提出〆切)までPatentScopeで見ることはできませんので、補正の根拠情報は現地代理人から直接入手する必要があります。

4.やらないとどうなるか?

34条補正の翻訳文を提出しなくても特にペナルティはなく、34条補正がないものとされるだけです。後で国内段階で自発補正しても同じです。マルチマルチ従属クレームの手当等が必要な場合は自発補正でまとめてやった方が楽かもしれません。

5. 国内自発補正ではなく34条補正として行う意味は何か?

これは特許庁に聞きましたが、条文の説明が返ってくるだけで、具体的な答は得られませんでした。自分として考えているのは以下の2点です。

①補正の内容が新規事項追加を問われそうなものである場合、34条補正であれば、国際段階で一度認められていれば、その後、原文新規事項により拒絶される可能性はまずないのではないか?一方、国内で自発補正をすると、通常どおり、新規事項追加がチェックされてしまう。

②権利化を急いでおり、かつ、34条補正でクレーム数が激減している場合、34条補正翻訳文提出後に審査請求すれば減少後のクレーム数の料金で済む。国内自発補正として行うと、減少前のクレーム数で審査請求しなければならず料金が無駄。

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