特許庁の情報システム刷新に対してコメントしてみた

日本弁理士会が、特許庁の情報システム刷新に対して特に平成25年に対応すべき優先事項について意見を求めていたので、以下のようにコメントしてみました。IPDL(特許電子図書館)も意見募集の範囲に含まれているかどうかわかりませんが、弁理士として毎日触れているのはIPDLなので書きました(おそらく、IPDLはWebフロントエンドを介して特許庁の情報システムにアクセスしているだけと思うので)。

他にもみなさまのご意見があれば可能な限り追加しておきます(ただし、〆切は4/30です)。


1.IPDL(特許電子図書館)について

基本設計の全面的な更改をしなくともIPDLの使いやすさを大きく向上できる方策があると考えますので提案します。

A. 公報アクセスのためのWebサーバを別途設置する

現在のIPDLはWebのフロントエンドを介して特許庁情報システム内の情報に逐次アクセスする設計になっていると推察します。このため、使いやすさの点で種々の制限があります。従来の仕組みは残すとしても、これとは別に、PDF形式の公報データをすべていったん特許庁情報システムから抽出し、別のWebサーバ上に置くことを提案します。これにより以下のメリットが得られます。

a-1.Googleなどのインターネット上の検索エンジンを使いサイト限定の検索を行なうことで迅速かつ安価(無料)の全文サーチが行なえる

最終的には有償の検索エンジン製品を使用することで有用性をいっそう向上できますが(構造化サーチ等)、そこまでしなくとも全文サーチの性能と使いやすさを大きく向上できます。

a-2. 公報の固定リンクを提供できる

現在のIPDLでは公報に対するリンクが動的に作成されるために、メールや掲示板の投稿等で公報のリンクを他者に伝えることができません。これは生産性を大きく阻害します。現時点でも一部教育機関向けに固定リンクが提供できているようですが、別に公報サーバを設ければ難しい工夫もなく固定リンクを提供できます。

a-3. メンテ中でも公報データにアクセスできる
現在、連休中等を中心としてIPDLの保守が行なわれていますが、保守期間中はIPDLにまったくアクセスできません。特許業界は休日勤務も頻繁にありますので現実的には大変困ります。別途公報サーバを設置すれば、メンテ中であっても旧データへのアクセスが可能になります。

なお、公報データを重複して持つことによる負担ですが、IPDLが8,000万件の公報データを管理しているとして、1公報あたり(大きめに見積もって)10MBのディスクが必要とすると必要データ量は800TBです。現在では、大型システム向けのディスクストレージでも1TBあたり5万円程度で購入できますのでおよそ4,000万円となります。もちろん、これ以外にもサーバやデータ移行等のコストがかかりますが、決して法外な金額というわけではないと考えます。

B.その他のユーザーインターフェース上の工夫

簡単な修正により使いやすさを大きく向上できる領域があると考えますので提言します。

b-1. 公報検索画面において全角数字の入力を許す

現在では公報の表示画面では公報番号が全角表示されており、それをコピペして検索することができません。いちいち紙に書き写して手入力する必要があります。検索プログラムが全角数字でも半角に自動的に変換して検索するように修正すれば、利便性が大きく向上されます。
なお、一般的に、全角英数字は、前世紀のワープロ時代の遺物であり、今日の情報システムにおいては邪魔になるだけなので、撤廃すべきと考えます。また、見だし部分等を目立たせるために文字間にスペースを入れるような修飾法(例:「タ イ ト ル」)も同じ理由により撤廃すべきです。

2.特許庁情報システム刷新の基本的考え方について

特許庁情報システムの基本はワークフロー管理とドキュメント管理であると考えます。そして、これらは基本的には法律や種々の基準に基づいています。これらの法律や基準の知識がない技術者が個別の部門にいくらインタビューしても、全体像をつかむことは困難です。情報システムの基本設計においては、法律や基準の全貌を理解している者、すなわち、弁理士を積極的に関与させるべきと考えます。

また、今日ではワークフロー管理やドキュメント管理を提供するソフトウェアパッケージ製品が数多く存在します。ゼロからカスタム開発するだけではなく、これらのパッケージ製品の採用も検討すべきです。開発業者は開発工数が膨らむ方がビジネス的に望ましいので、できるだけカスタム開発を行なう方向性に持って行こうとすると思いますが、これに単に従うのではなく、大局的な観点からの判断を行なうことが重要と考えます。

以上

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