違法ダウンロード刑事罰化の問題点を考える【今更ですみません】

本ブログの以前のエントリー(1, 2)ではダウンロード刑事罰化が制度的にどうなっているかという点についてできるだけ客観的に書いてきました。今回は、このような制度の何が問題なのかという点から私見を述べてみたいと思います(今頃言ってもしょうがないという話ではあるのですが)。

まず大前提として世の中は「けいさつはわるいことをしたやつはどんどんつかまえればよい」という仕組みでは動いていない点を念頭に置く必要があります。

刑罰(および、それに伴う逮捕・拘留等)は、個人の人権を大きく損なう可能性があります。ゆえに、刑罰は最後の手段として使うべきであり、違法行為なら何でも罰せばよいというものではありません。この刑事罰はできるだけ控えめに使うべきという考え方を「謙抑(けんよく)主義」と呼びます。謙抑主義は近代国家の刑法制度の基本です。

たとえば、米国著作権法における刑事罰の規定は以下のようになっています。

第506条 刑事犯罪

(a)著作権侵害罪
(1)総則-著作権を故意に侵害する者は、その侵害が以下の態様で行われる場合には、合衆国法典第18編第2319条の規定に従って処罰される。
(A)商業的利益または私的な経済的利得を目的とする行為、
(B)180日間に、1つ以上の著作権のある著作物について1部以上のコピーまたはレコード(その小売価格の総額が1000 ドルを超える場合に限る)を複製もしくは頒布(電子的手段によるものを含む)する行為、または
(C)商業的頒布を目的として作成中の著作物を、公衆がアクセス可能なコンピュータ・ネットワーク上に置いて利用可能にする方法によって頒布する行為(当該著作物が商業的頒布のために作成中の著作物であることを当該者が知りもしくは知るべきであった場合に限る)。

(2)証拠-本項において、著作権のある著作物の複製または頒布の証拠は、それだけでは、故意侵害を立証するに十分ではないものとする。

(以下略)

ポイントは、1)非営利目的の複製(DL含む)は原則的に刑事罰の対象にはならない、2)少量のカジュアルコピーは刑事罰の対象とならない、3)制作中で発表前の作品を故意に公開するパターンは特別に刑事罰の対象(これは制作者の被害が甚大なのでしょうがないと思います)、4)複製・頒布をしているというだけで故意であると推定してはいけない、ということであります。結構、謙抑的だと思います。

日本においてダウンロード刑事罰化が推進された時の推進派の根拠のひとつとして「米国では既に違法DLも刑事罰化されている」というのがあったと思いますが、日本の刑罰規定の方が相当厳しいですね(ただし、米国では懲罰的賠償金とか法定賠償金等、民事の規定が結構厳しい点は考慮する必要はあります)。

「条文上は厳しいけど実際には悪質なケースしか逮捕されないからいいんじゃないか」という意見の方もいるかもしれないですが、形式上は犯罪だけど警察に大目に見てもらっている(恣意的にいつでも検挙できてしまう)という状況はあまりよろしくありません。

特に、アップロード行為は外界からの監視でわかりますので、十分な証拠を押さえた上で家宅捜索等ができます。ところがダウンロードはあくまでもプライベートな世界です。パケットを盗聴したり、ハニーポットサイトでも作らない限り、ダウンロード者の特定は難しいです。また、仮に何らかの形でログを見たところで、ストリーミング視聴しているのか、ダウンロードしているのかは区別しにくいです。「違法ダウンロードしている疑いがある」ということで家宅捜索されたのではたまりません。

先日、私が聞きにいった明治大学知的財産法政策研究所(IPLPI)セミナー「平成24年著作権法改正の評価と課題」 のパネルディスカッションにおいても、パネリストの先生は何度も「謙抑性」という論点を口にされていたと記憶しています。また、日弁連会長の声明でも「違法ダウンロードはコンテンツ産業の健全な成長を阻害するおそれのある由々しき問題であるとの認識を持ちつつも、直ちに刑事罰を導入することに対しては反対」と述べられています。

特に、違法ダウンロード行為に対して刑罰を最後の手段として適用することが本当に必要なのかという議論が十分になされたとは言い難い点が問題です。文化庁の審議会では「刑事罰までは不要」という見解であったのを、会期末近くの国会でほとんど審議なしに土壇場で刑事罰が追加されているからです。先の日弁連会長の声明を引用すると、

インターネットの利用に関して刑事罰を科すという国民生活に重大な影響を及ぼす可能性がある法律改正が、国民的な議論がほとんどなされないまま、衆参両院において、わずか1週間足らずで審議されて可決されたということはあまりにも拙速であった。このように、今回の立法には手続的にも大きな問題があったと指摘 せざるを得ない。今後、このような形で私的領域における刑事罰の立法がなされることを、断じて許してはならない。

ということであります。

なお、違法ダウンロード刑事罰化は衆参ともほぼ全会一致で決まったのですが、民主党の森ゆうこ参院議員と川内博史衆院議員が最後まで反対の立場であったようです。ちなみに、推進派の中核としては自民の馳浩衆院議員がいます。有権者の方は選挙の際の参考にされるといいんじゃないかと思います。

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【小ネタ】ドクター中松の「ウデンワ」特許について

まさかの3連続でドクター中松間連小ネタです。

前回のドクター中松名義の登録商標の中の「ウデンワ」ですが、聞き覚えがあると思ったら、2003年のITmediaの記事で紹介されていた「発明」でした(参照記事:「ドクター中松、第4世代携帯電話を発明!?」)。要は腕に携帯を取り付ける器具の「発明」です。楽天でも販売中です。(というか、楽天内にドクター中松ショップがあったんですね)

携帯を手から一番遠いところに置くことで心臓への電磁波の影響を防ぐ(ペースメーカー使ってない人でも意味があるんでしょうか?)、携帯の紛失を防ぐ、バッグがなくても携帯が邪魔にならないなどの特徴があるようです。

なお、スマートフォン版の「スマ手」もあるようです(こちらも、まだ登録はされていませんが、商標登録出願済みです)。

さて、この「ウデンワ」ですが、商標登録だけではなくて、特許も成立しています(第3227362号)。発明の名称は「腕電話」です。

2012100319201041881020121003193246287599
(特許公報中の画像を引用)

元々は、「手甲に載せ手首に固定し得、且つ人体の熱が伝わる事を特徴とする電話」というクレームで、「人の体温でバッテリーを充電したり、バッテリーの持ちを良くする」などの効果も主張されていたようですが、最終的には、「左手(右手)を右方向(左方向)に曲げて右頬(左頬)に近づけた時に、送話口を口に近く、受話口が耳に近い位置とし、左右の手を使わずに迅速に通話が出来るように本体が少なくとも手首に固定され、且つ前記本体は手首部分から手甲方向に及んでおり、手首は自由に屈曲でき、前記手を顔に近づけると本体の送話口に近く、受話口が耳の近くにある事を特徴とする腕電話」というそのまんまのクレームになっています。

この特許、一度拒絶査定になってから不服審判が請求された結果成立しており、中松氏も苦労して成立させたようです。

しかし、それにもかかわらず、この特許は4年目の特許料が支払われていないために権利抹消されています。登録時に1年目から3年目の特許料支払いをするので、要は、最初の支払いをしなかったことになります。4年目の特許料は2万円くらいなのでさすがにお金がなくてというのではなくて、単に忘れてただけでしょう(今は自動振替ができるのですが、昔は自分で管理するしかなく、特許庁から支払時期の連絡等も来ませんので、代理人がいない場合は支払いを忘れることもあったと思います)。

さらに、ドクター中松氏の他の特許についても調べてみましたが、なんとそのほとんどが特許料未納により権利抹消になっています。何年か支払った後に未納になったのもあれば、「腕電話」のようにいきなり1回目から未納のものもあります。まあ、特許権が不要になったのであえて放棄するまでもなく、特許料を支払わないでおくというパターンはよくあるのですが、数が多すぎるのではと思います。

特許権が取れればそこで発明家としての目標達成で権利存続には興味がないのか、単に忘れっぽいのかのいずれかだと思いますが、もし後者だとするならば、特許料の納付を忘れない発明をすればいいんじゃないかと思います。

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【小ネタ】ドクター中松氏の華麗なる商標権ポートフォリオについて

特許電子図書館(IPDL)で「中松義郎」氏が権利者あるいは出願人になっている商標登録(出願)を検索してみました。

1.登録2129938テレビがおいしい
2.登録2355769【図有】
3.登録2355782メ∞においしい
4.登録2373516メ∞においしい
5.登録2378161あたまにおいしい
6.登録2383680§メ においしい
7.登録2405841頭の良くなる
8.登録2405958風呂不老\フロフロ-\FLO-FLW
9.登録2423427頭 においしい!
10.登録2430382ENEREX
11.登録2459663新・民主党
12.登録2488348Dr.中松
13.登録2684665からだにおいしい
14.登録2701319からだにおいしい
15.登録3302082ドクター中松\Dr.NaKaMats
16.登録3334694ホレモン\HOREMON
17.登録4033263ミュジアム
18.登録4093847DR NAKAMATS
19.登録4110188ブレン ドリンク\BRAIN DRINK
20.登録4111435WAO\ワオ
21.登録4115779ウデンワ
22.登録4133849美人を発明する
23.登録4299557Cerebrex\セレブレツクス
24.登録4303383ReBody
25.登録4314889ムカンホ
26.登録4339555フロフロー\風呂不老\FLOFLOW
27.登録4495856JUMPING JAX\ジャンピングジャックス
28.登録4609655Stayung\ステイ ヤング
29.登録4624346Young Again
30.登録4671796ラブジエット
31.登録4737781§増加 け\まかしと毛
32.登録4962061き じゅ し\喜寿司
33.登録4994136ReBody∞活脳長寿\リボデイ∞55
34.登録4997536ザ・カサ\座
35.登録4997537デカ\ヅラ刑事
36.登録5023766ReBody\リボディ
37.登録5046027はげ\ません\べい
38.登録5054157ヒト\人メディア
39.登録5075305§Talent∞Olympic
40.登録5222943美バスト\VIVAST
41.登録5277120知本主義
42.登録5277139しあわ\幸せんべい
43.登録5491506ステイヤング\STAYOUNG
44.登録5494693ECON
45.登録5503113東京都維新の会
46.登録5503114平成維新の会
47.商願2011-090946日本維新の会
48.商願2011-090947東京維新の会
49.商願2012-032488フロフロー\風呂不老\FRO‐FLOW
50.商願2012-045613HAND SMART PHONE\SMARTE\スマ手

様々な「アイデア商品」の名称についてはよいとして、「東京都維新の会」や「平成維新の会」が登録されてしまっているのが気になります(特に、「平成維新の会」は大前研一氏による実在の団体名だと思うのですが)。「新・民主党」が登録されてしまっているのもちょっと気になるところです。

「日本維新の会」がNGで「平成維新の会」がOKな理由が解せないですが、審査官により判断が違うのはよくある話です。また、いったん登録になっても後から利害関係人(典型的には「大阪維新の会」)から物言いが付けば無効にされてしまう可能性はあります。

なお、IPDLは登録済み、および、審査中の商標しか検索できず、出願したが拒絶されてしまったものについてはデータベースから早晩削除されてしまいます。中松氏の場合、どちらかというと拒絶されてしまったものの方を見たいのですが、そのためには、調査会社が提供する有料の商標データベースサービスを使わないといけないので、これまた迷っています(笑)。

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【小ネタ】ドクター中松が「日本維新の会」を商標登録出願したが拒絶された件

facebookで知りましたがあのドクター中松(中松義郎)氏が昨年の12月16日に「日本維新の会」を商標登録出願したようです(2ちゃんねるでもスレ「【政治?】「日本維新の会」の名称が中松義郎氏によって商標登録されていた」が立ちましたが、スレタイの「商標登録されていた」は「商標登録出願されていた」の間違いです。登録はされていません。)

そして、特許電子図書館の経過情報で検索すると8月16日付けで拒絶査定になっています。不服申立をしている可能性があるので確定ではないですが、たぶん拒絶が確定するでしょう。拒絶の理由はネット情報だけでは詳細にはわからないので推定になりますが、おそらく「大阪維新の会」との誤認混同を招くということだと思います(商標法4条1項15号)。昨年末時点でも「大阪維新の会」は全国的に知られてましたのでまあうなずけるかと思います。料金(600円)を払って審査資料を閲覧すると本当の拒絶理由、さらに、それに対する中松氏の反論(意見書)も読めるので、今、閲覧請求するかどうか迷ってます(笑)。

一般的に他人の功績や名声にフリーライドするような商標登録出願をしてもほぼ確実に拒絶されます(万一登録されても後で無効にされてしまいます)ので、他人に買い取ってもらうことを前提に関係ない人が商標登録出願するのは出願料金の無駄になるだけです(ドクター中松氏には商標権の買取以外にももっと崇高な目的があったのかもしれませんが)。

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違法ダウンロード刑事罰化に関するまとめ(その2)

#できるだけ簡潔にまとめようと思ったのですがやはり長くなってしまいました。お急ぎの方は下の「まとめのまとめ」を先に見てください。

本当に直前になってしまいましたが、前回に引き続き、いよいよ10/1から施行の著作権法改正の最重要ポイントとなる違法ダウンロード刑事罰化に関して実際の条文を見て検討していくことにしましょう(なお、他の改正事項、特にDVDリッピング違法化については後日書きます)。

違法ダウンロード刑事罰化に直接関係する著作権法の条文は今回新設された119条第3項です。

第30条第1項に定める私的使用の目的をもつて、有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者は、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

いきなり読んでもわかりにくいので構成要素に分解して見ていきましょう。法律の条文の多くは要件→効果、つまり、条件Aを満足するとBという効果になるというIF〜THEN文のような構造になっています。

先に、THEN節にあたる効果の方を見ていきましょう。119条3項で効果にあたるのは「2年以下の懲役 and/or 200万円以下の罰金」です。これは、通常の著作権侵害罪(10年以下の懲役 and/or 1000万円以下の罰金)よりもちょっと軽くなってます(とは言っても、一般市民にとっては警察に逮捕されること自身が社会的に大ダメージなので刑罰の重さはあんまり関係ないですよね)。

次に、ややこしいですが、要件(条件)の方をひとつひとつ見ていきましょう。

1. 第30条第1項に定める私的使用の目的をもって
そもそも私的使用目的でなければ(たとえば、他人に公開するためにダウンロードした場合など)は、普通の著作権侵害(刑事罰が重い方)として扱われます(ダウンロード違法化・刑事罰化を議論するまでもなく元から違法・刑事罰の対象)ので、この条文で扱うのは私的使用目的ダウンロードに限定すると言っています。

2. 有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)
ここはカッコ書きで「有償著作物等」の定義をしていますので先に説明しておきます。

2-a. 録音され、又は録画された著作物又は実演等
対象は音又は映像コンテンツに限られることを言ってます。プログラムの著作物や文書の著作物、マンガなどは対象外です。

2-b.(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)
パブリックドメインのものは対象にしないことを言っています。「有償」という縛りが入っているのでわざわざ言うまでもないと思うのですが、著作権切れの格安DVDなどパブリックドメインだけど有償というケースはないことはないので、それはダウンロード違法化の対象外になることを明記しています。

2-c. 有償で公衆に提供され、又は提示されているもの
普通に店で売っているCDやDVDのコンテンツが対象になることは明らかですが。結構グレーゾーンがありそうな要件です。文化庁Q&A(PDF)のQ6では、「ドラマ等のテレビ番組については、DVD として販売されていたり、オンデマンド放送のように有料でインターネット配信されていたりする作品の場合は、有償著作物等に当たりますが、単にテレビで放送されただけで、有償で提供・提示されていない番組は、有償著作物等には当たりません」と言っていますが、現実には判断は難しいでしょう。

2-d.(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)有償で売っている著作物であってもそもそも売ること自体が著作権を侵害している場合、要するに、海賊版(市販CDのそのままコピーしたものという意味ではなくて、たとえば、未発表ライブ音源を勝手にCD化したブートレッグ盤という意味です)の場合には対象外というということだと思います。もちろん、ブート盤を作ったこと自体は別途著作権侵害に問われます。

3. (有償著作物等の)著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信
言うまでもなく、アップロード行為が権利侵害行為であることがダウンロード行為が刑事罰の対象となる前提です。私信メールでの送信は自動公衆送信ではないのでこの条文の対象外であるのは前回書いたとおりです。

4. 自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)
前記の「自動公衆送信」はサーバが海外にあった場合でも刑事罰の対象にすると言っています。サーバが海外にあるとアップロード者を捜査しようと思っても実際には難しいわけですが、その場合に国内のダウンロード者だけを捜査できるよということです(まさに、これが刑事罰化の目的のひとつだと思っています)。

5.デジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行つて
「その事実を知りながら」つまり「違法にアップされたことを知りながら」ということです。これを実際どう判断するかは難しいところです。少なくとも警告があっても無視してダウンロードを続けていれば「その事実を知りながら」ということになるでしょう。文化庁Q&Aでは「警察は捜査権の濫用につながらないよう配慮するとともに、関係者である権利者団体は、仮に告訴を行うのであれば、事前に然るべき警告を行うなどの配慮が求められると考えられます」と他人事のような書き方をしています。ただし、現実には違法アップロードの場合等で警告なしにいきなり警察が家宅捜索に来て逮捕みたいなケースもあるようです。

6.著作権又は著作隣接権を侵害した
権利者が許諾したような場合は対象外にするということだと思います(市販CDやDVDの場合には現実的にあり得ないと思いますが)。

これに加えて、一昨年の改正(ダウンロード違法化)に関する30条1項3号

著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、その事実を知りながら行う場合

も含めて、ダウンロード行為が刑事罰対象、違法だけど刑事罰対象でない、合法と分かれることになります。ややこしいですね。

まとめのまとめ

条件をできるだけ簡略化してまとめると以下のようになります。

違法アップデジタル方式の録音・録画有償著作物事実を知りながら
刑事罰対象

違法(刑事罰なし)

具体的なパターンで見ていきましょう。

  • 市販のCDやDVDのコンテンツが違法にアップされたサイトからそれを知ってダウンロードする行為 → 刑事罰対象です(まさに今回の改正がメインターゲットにしている行為だと思われます)
  • 市販のCDやDVDのコンテンツが違法にアップされた海外サイトからそれを知ってダウンロードする行為 → 刑事罰対象です(サーバが海外でも同上です)
  • TV番組が違法にアップされたサイト(海外含む)からそれを知ってダウンロードする行為 → 違法ですが有償著作物ではないので刑事罰対象ではありません(ただし、そのTV番組がDVD化されている時には刑事罰の対象になります)
  • マンガや書籍スキャンが違法にアップされたサイト(海外含む)からそれを知ってダウンロードする行為 → 録音・録画ではないので違法ではありません(倫理的な問題は別)
  • YouTubeに権利者がアップした公式PVをツールを使ってダウンロードする行為 → 違法にアップされたコンテンツではないので違法ではありません(ただし、YouTubeの利用規約違反です)

なお、念のために書いておくと、上記はあくまで私的使用を前提にした話なので、ダウンロードしたコンテンツを他人に提供したりすると(DL違法化とは関係なしに)著作権侵害(故意ならば刑事罰対象)となります。

他にもどう扱われるのか知りたいパターンがありましたら、コメント欄に書いていただければ可能な限りお答えしたいと思います。

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