【お知らせ】Teradata Universeでビッグデータやオープンデータについて講演します

前にもちょっと告知したと思いますが、3/7に開催されるTeradata Universe Tokyoで講演します。私の枠は15:50からなんですが大部屋を取っていただいた割に集客がイマイチらしいので(爆)ここで宣伝します。

タイトルは「ビッグデータの価値を最大化するデータ基盤の構築」とちょっと一般的すぎるものにしてしまいました(梗概の提出〆切の問題もありましてゴニョゴニョ)が、実際には、1)ビッグデータに向けたマインドセットの変革、2)RDBMSとMapReduceの融合、3)ビッグデータの世界でのデータ品質管理、4)企業におけるオープンデータの活用、5)一般企業でのデータサイエンティストの育て方等を話す予定です。

使うスライド1枚をここにアップしてしまいます。

130307 TD Universe

ご興味あるかたは私のセッションだけでもよいので(爆)、是非ご登録の上、ご来場ください。

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【お知らせ】ドク・サールズの「インテンション・エコノミー」翻訳しました

去年の後半から苦労して訳してきた書籍”Intension Ecomony”、ようやく翻訳脱稿でき3/15に発売予定となりました。現在Amazonで予約受付中です。

著者のドク・サールズ(Doc Searls)氏はLinux Jounalのシニア・エディターであり、オープンソースの世界の重要なオピニオンリーダーの一人です。私的には、今のソーシャルな世界を予言していたとも言える「クルートレイン宣言」の共著者の一人としての意味合いが大きいです。また、64歳にして初の単著というのも興味深いです。

「インテンション・エコノミー」とは今日のマーケティングの中核となっている「アテンション・エコノミー」(顧客の関心が重要な財になっている経済)のアンチテーゼであり、顧客の購入意思を中核にした経済を作るべきであるという考え方です。たとえば、「パーミッション・マーケティング」とかPricelineの「逆オークション」とか類似の考え方は今までもありましたが、それらの前例を踏まえた上で今日のテクノロジー環境を活用したあるべき姿を考察しています。

サールズ氏は、単にアイデアを述べているだけではなく、CRMに対応するVRM(Vendor Relationship Management)と呼ばれるツールの開発活動に実際にかかわっている点もポイントです。また、Webサービス業者と消費者間の契約について突っ込んだ議論がされている点もユニークかと思います。

マーケティングの現在の話ではなくて、ソーシャルやビッグデータを越えたところにある5〜10年レンジ先の話なので、その点は誤解なきよう。

米Amazonの評価も良好で、現時点での評価はほぼ満点(5点が14人、4点が2人)。TechCrunchでもカバーされました(記事で予測されたように日経ではなくて翔泳社から出ましたけど)。YAMADAS Project(@yomoyomo様)では、邦訳が期待される洋書の1冊として紹介されました。あと朝日新聞の記事で洋書版の書評(ネットはいま++/平和博 買い手主導の「スモールデータ」)があったのですが、Web上からは消えてしまったようです。

結構盛りだくさんな内容で、かつ、著者独自のスタイルだと思いますが、妙にペダンティックだったりポエムぽかったりする部分もあるので、ちょっと読みこなしにくいかもしれません(翻訳がんばりましたが原著に書いてないことを足すわけにもいかないので)。発売されましたら本ブログでも解説記事を書いていく予定です。

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強力な特許は「潮の変わり目」を狙え

当たり前の特許を無効化して1000万円の副収入」のエントリーが(釣タイトルも貢献して)バズった割には、関連エントリーの「ArticleOneの特許無効化ゲームにチャレンジしてみよう」はイマイチでした(実は今頃rticleOneに証拠資料が殺到したりしているのかもしれませんが)。

要は、今の目で見ても当たり前すぎるくらい当たり前であっても、10年以上遡った時点で当たり前だったことを証明しようと思っても、そう簡単には証拠は見つからないということだと思います。

すなわち、強力な特許を獲得したいのであれば「5年以上先の当たり前」を思いつく必要があるということです(これが「発明の才」に他なりません)。もっと未来のアイデアを思いつくのは、大手メーカーや大学の基礎研究部門の仕事ですし、そもそも特許権は出願から20年しか存続しませんので、実際に有効に使える期間が短くなってしまいます。個人やベンチャー企業にとっては5年先くらいがスイートスポットではないかと思います。

キャズムを越えて製品・サービスのカンブリア爆発が起きてしまってから、特許出願しても強力な権利を獲得するのは(不可能とは言いませんが)困難です。ちょっと思いつくようなことはたいてい既に実行あるいは出願されています。

弊所でも、タブレットのタッチUIだとか、ネット広告だとか、ロケーション・ベース・サービスだとか、今が旬のテクノロジー分野で発明で相談に来られる方が多いですが、たいてい先行技術・事例があります(とは言え、これらの分野でも「その発想はなかったわ」的なアイデアが残っている可能性はゼロではないですが)。

アップルのUI特許にしろ、Googleの(正確にはOvertureの)AdWords特許にしろ、以前に触れたセガのタッチペンによるサッカーゲーム操作特許にしろ、みな、関連技術が普及する直前、いわば、「潮の変わり目」に出願されています。

強力な特許を取得したいのであれば、この「潮の変わり目」を見極めることが必要です。(「じゃあ、具体的にそれは何なのよ?」と言われるとちょっとそれはブログでは書けません、別途ご相談の範疇です)。

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Article Oneの特許無効化ゲームにチャレンジしてみよう

クラウドソーシング型特許先行技術文献サーチサイトArticle Oneに関する記事はそこそこ話題になったようです。

具体的にどんな感じかを示すために、同社のWebサイトから直感的にわかりやすい課題(同社はStudyと読んでます)をひとつ引用して説明します。日本語サイトででのタイトルは「表示されている追加の文字に所定の期間の結果にキーを押すと特徴とする携帯機器用のキーボード」となっていて訳がわかならいので以下で具体的に説明します。

なお、同社の日本語サイトは日本語がめちゃくちゃ(機械翻訳?)ですし、求められている情報の中核部分はどっちにしろ英語なので、最初から英語サイトにあたった方がよいと思います。

では、この課題で求められている情報のサマリーを書きます(正確な情報はArticle Oneのサイトの情報を直接見てください)。

  • 画面上にソフトウェア・キーボードが表示されている
  • 普通に打つとキートップに書いてある文字が表示される
  • キーをしばらく押していると関連する別の文字セットが表示される(たとえば、下図の絵のように、Aのキーをしばらく押しているとウムラウト付のăなどのミニキーボードが表示される)
  • ミニキーボードから文字入力すると最初のキーボードに戻る

この機能は、今では当たり前のアイデアであり、iPhone/iPadのソフトウェア・キーボードでも実装されています(依頼企業は匿名ですが何となく想像がつきます)。

このようなアイデアが開示されている文献で2001年6月9日以前のものを発見するのが課題です。なお、サイトには既に発見済みの先行特許文献も書かれていますので、これら以外のものを探す必要があります。一番良質の情報を提供できた人は5,000ドルもらえます。

この2001年というのがくせもので、ITの世界で10年前はめちゃくちゃ昔なので、現在では当たり前の技術であってもそう簡単に証拠は見つかりません。2001年というとMicorosoftがタブレットPCを出荷する1年前です。タッチ操作はスタイラスペンが当たり前で指で操作なんて考え方はほとんどなかった時代です。

こんなの当たり前だと思っていても、調べれば調べるほど出願時点では実はそんな当たり前ではなかったのだなということがわかってくる特許だと思います。私も何回か先行文献探しの仕事をしたことはありますが、「これだいぶ前に見たわー」と思って臨んだもののその「だいぶ前」は実は結構最近で、特許の出願日よりは全然後だったなんてことがよくあります。まあ、そもそも出願時に誰でも知ってるようなレベルであれば、さすがに特許庁の審査官も特許査定出したりはしません。

一般に言えることですが、Article Oneの課題に対してGoogleサーチから始めているのでは賞金獲得は困難だと思います。依頼企業はほとんど米国だと思われるので英語資料はサーチしているでしょうから、日本語の資料、かつ、ネットにないオフラインの資料が狙い目だと思います。「昔、こういう機器開発して論文書いています」とか「異常に物持ちがよくて昔のWindows CE機の取説持ってるけどそこに書いてあります」というような人を探し出せるのがクラウドソーシングならでは意義と言えるでしょう。

文献を知っている方、発見した方は、私はArticle Oneとは関係ないので私に送ったり、このブログにコメントしたりしないで、直接Article Oneに送ってください。

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当たり前の特許を無効にして1000万円の副収入

#情報商材みたいなタイトルですみません。釣りです。記事の中身はまじめです。

特許、特に直感的にわかりやすいUI特許を見て「なぜこんな当たり前のアイデアが特許になるのか」という人が見受けられます。しかし、後付け思考というかコロンブスの卵というか一度アイデアを見てしまってから考えると当たり前に見えてしまうのはよくある話です。

実際には「言われてしまうと当たり前に思えるけど実は誰もやってなかった」タイプのアイデアがもっとも強力な特許になり得ます。あたかもすぐれた音楽が「今までにないメロディなのにどこかで聴いたある」ように思えるようなものです。

しかし、本当にその特許の出願日以前に同様のアイデアが世の中に知られており、特許庁の審査プロセスで見落とされただけということもよくあります。特許の審査は特許にできる理由を見つけるプロセスではなく、特許にできない理由が見つからないことを確認するプロセス、いわば、「悪魔の証明」なのでどうしても漏れが生じます。

「このアイデア(出願の)2年前に見たわー」という人は、その証拠文献があれば、いったん成立した特許を新規性・進歩性の欠如により無効にできます(以前からありましたと口で言うだけでは不十分で文献を示す必要があります。)

裁判の場で問題になっている特許(たとえば、前述のBounce-Back特許)を無効にできれば、数億円級の金銭的な価値があります。しかし、利害関係者でもなければ、苦労して無効理由を探すインセンティブは生じないですね(公益的な観点から特許つぶしをやるEFFのPatent Bustingプロジェクトなどがありますが)。

特許を無効にするプロセスは基本的に世界中の誰か一人でも証拠文献を見つけられればよいので、本質的にクラウドソーシング(Crowdsourcing)にマッチします。クラウドソーシング方式、かつ、情報提供者への金銭的インセンティブも考慮したサービスを提供する企業に米国のArticle One Partnersがあります。

Article Oneは、特許を無効化したい企業(通常は侵害訴訟の被告側でしょう)から依頼を受け(企業名は一般ユーザーからはわかりません)、特定の特許を無効にするための情報をサイト上で広く募ります。誰かが適切な無効理由の文献を見つけて、Article Oneに提供すると依頼企業は報酬をArticle Oneに支払い、Article Oneは手数料を抜いて発見者に報酬を支払います。

企業は匿名性を維持しつつ、安価に、成功報酬に近い形で世界中の文献を調査でき、一般ユーザーは自分独自の専門知識を活用して収入を得られるというWin-Winの仕組みであると思います。

Article Oneのサイトで見ると今までに支払われた報酬総額は約3,800万ドル、トップレベルの発見者は数万ドルのオーダーで稼いでいます。

なお、日本語サイトもできています(ちょっと日本語が微妙ですが)。経験を積んだエンジニアの方(IT分野に限りません)で一昔前の技術文献に通じている方はお小遣い稼ぎにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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