「当たり前の特許を無効化して1000万円の副収入」のエントリーが(釣タイトルも貢献して)バズった割には、関連エントリーの「ArticleOneの特許無効化ゲームにチャレンジしてみよう」はイマイチでした(実は今頃rticleOneに証拠資料が殺到したりしているのかもしれませんが)。
要は、今の目で見ても当たり前すぎるくらい当たり前であっても、10年以上遡った時点で当たり前だったことを証明しようと思っても、そう簡単には証拠は見つからないということだと思います。
すなわち、強力な特許を獲得したいのであれば「5年以上先の当たり前」を思いつく必要があるということです(これが「発明の才」に他なりません)。もっと未来のアイデアを思いつくのは、大手メーカーや大学の基礎研究部門の仕事ですし、そもそも特許権は出願から20年しか存続しませんので、実際に有効に使える期間が短くなってしまいます。個人やベンチャー企業にとっては5年先くらいがスイートスポットではないかと思います。
キャズムを越えて製品・サービスのカンブリア爆発が起きてしまってから、特許出願しても強力な権利を獲得するのは(不可能とは言いませんが)困難です。ちょっと思いつくようなことはたいてい既に実行あるいは出願されています。
弊所でも、タブレットのタッチUIだとか、ネット広告だとか、ロケーション・ベース・サービスだとか、今が旬のテクノロジー分野で発明で相談に来られる方が多いですが、たいてい先行技術・事例があります(とは言え、これらの分野でも「その発想はなかったわ」的なアイデアが残っている可能性はゼロではないですが)。
アップルのUI特許にしろ、Googleの(正確にはOvertureの)AdWords特許にしろ、以前に触れたセガのタッチペンによるサッカーゲーム操作特許にしろ、みな、関連技術が普及する直前、いわば、「潮の変わり目」に出願されています。
強力な特許を取得したいのであれば、この「潮の変わり目」を見極めることが必要です。(「じゃあ、具体的にそれは何なのよ?」と言われるとちょっとそれはブログでは書けません、別途ご相談の範疇です)。