Appleの「蓮センサー」特許について

米国時間の11月18日にアップルが興味深い特許を取得しました(米国特許番号8,892,162)(まだGoogle Patentsに載ってないのでUSPTOへのリンクを貼りました、USPTOのサイトは図面を見るのがめんどくさいので、概要を原文で見たい方はGoogle Patents上の公開公報の方を見てください(ただし、クレームは補正が入ってますのでご注意ください))。

この特許のポイントはスマホの筐体全面に多数の圧力センサーを設けることにあります。ちょっと「蓮コラ写真」ぽいので勝手に「蓮センサー」特許と呼んでみます。

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これとは別にアクチュエーターが内蔵されており、アクチュエーターの振動が各センサーにどのように伝わるかによって、今スマホがどのような状態にあるか(たとえば、テーブルなどの堅い表面上に置かれているか、手で持たれているか、ポケットやカバンの中にあるか)を判断できます。これによって、アプリの挙動を最適化することがこの特許の本質です。

具体的応用例として以下のようなケースが挙げられています。

  • テーブルなどの堅い表面上に置かれていると判断された時は呼び出し音を鳴らす時間を短くする。
  • 手に持たれている判断された時は呼び出し音を鳴らす時間を短くする。
  • ポケットやカバンの中にあると判断された場合には時は呼び出し音を鳴らす時間を長くする。
  • ポケットやカバンの中にあると判断された場合には時は、画面やボタンにタッチされてもスリープ解除しない。
  • 着信時にテーブルなどの堅い表面に置かれた状態から手に持たれた状態に変化した場合には自動的に電話に応答する。

これが実際の製品に取り込まれるかどうかはわかりませんが、ピエゾセンサーはそんなに高コストではないですし、アクチュエーターはバイブレーション機能と兼用できるので実装はそんな難しくない気がします。コンテキストアウェア(状況把握)でUXを向上するという王道の特許だと思います。

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【雑談】パーキングメーターの運用時間外に駐車しても駐車違反になるとは限らない

#ITも知財も関係ないまったくの雑談です。

自分はもう30年以上運転しているわけですが最近になって知った話です。

パーキングメーターの運用時間外(夜や日曜・祝日)に枠内に駐めると常に駐車違反になるものと思っていました。実際、夜駐めて駐車違反のお札を貼られたこともあります。

しかし、警視庁の「パーキングメーター等におけるFAQ」には以下のように書いてあります。

パーキング・メーター等が動いていない時間には駐車できますか?
駐車できる場所と駐車できない場所がありますので、駐車禁止標識の有無や道路標示を確認してください。
例えば、「時間制限駐車区間」の標識のほかに、「駐車禁止」の標識が併設されている場合は、その時間帯について駐車することはできません。

 

要するに、運用時間外のパーキングメーター枠内は常に駐禁というわけではなく、その道路のデフォルトがどうなっているかによるわけです。東京だとほとんどの道路は駐禁ですが、たまにそうではない場所もありますし、日曜・祝日のみ駐禁ではない(つまり、平日夜にパーキングメーターに駐めると駐禁になる)ような場所もあります。

デフォルトで駐禁ではない場所と時間であれば、別にパーキングメーターの枠内に駐めなくても問題ないわけですが、他に交差点から5m以内には駐車できない等の道交法上のルールもありますので、パーキングメーターの枠内であれば安心でしょう。

めちゃくちゃわかりにくいので、パーキングメーターに「運用時間外駐車は駐車違反となります」あるいは「運用時間外は駐められます」等とひと言書いておいてくれればよいと思うのですが、まあ警察はそういうことはやってくれないのですよね。

また、先に挙げた「日曜・祝日のみ駐禁ではない(つまり、平日夜にパーキングメーターに駐めると駐禁になる)場所」(自分の知っている場所だと早稲田通り高田馬場駅付近)ですが、どう見ても夜の方が交通量が少ないのに駐禁になる(お金を払って駐めたくても駐められない)というのは変な話ですね。

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未来のルンバは人命救助をするかもしれない

ふとしたきっかけで、ルンバでおなじみのiRobot社の日本での特許出願状況を調べてみたら既に97件も公開されてました(登録されているのは38件)。数年前に調べた時には(あまり強力とは言えなさそうな)特許が1件公開されているだけだったので、ここ数年間(実際にはその1.5年前)にかなり精力的に出願を進めていることがわかります。

同社の出願を調べるといろいろとおもしろそうなものが見つかりましたが、今回は特に興味深かったものを紹介します。日本にはPCTから国内移行はされているようですがまだ公開されていないので、米国出願ベースで書きます。出願番号は13/869,280、発明の名称は”Mobile Human Interface Robot”です、実質出願日(優先日)は2012年4月24日。まだ審査中で権利化はされていません。

キャプチャ

発明は人の手助け、たとえば介護、警備、メッセージング・サービス等を提供するロボットを想定しています。ハード的には米国ですでに販売されているビジネス向けロボットのシリーズであるAvaを想定しているように見えます。

この特許出願で特に権利化しようとしているのは、3Dセンサー(上図の450)で人体(2300)を把握し、骨格から胸(2302)の位置を把握して、胸の動きの変化をチェックし、呼吸異常を発見した際にアラートを出すというアイデアです。まさに、介護を想定していることがわかります。

これが実際に商品化されるかどうかはわかりませんが、iRobot社が単にお掃除ロボットに留まらず、介護の領域でも自社の技術を活用しようとしている可能性があることはわかります。このように企業の特許出願をチェックすることは、技術の方向性に加えてその企業の戦略的方向性を占う上でもヒントになります。

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【お知らせ】11月下旬は講演3連発です

講演仕事もプライベート、パブリック含めちょくちょくやっていますが、11月下旬は3連発になってしまいました。

11月20日(木)翔泳社主催の「データサイエンティストサミット2014 Autumn − ビジネスデータ分析をアクションにつなげる!」で、パネルディスカッション『Big Data活用を推進する組織のあり方』のモデレータをします。場所はベルサール九段で13時から。入場無料です。

11月26日(水)日経テクノロジーオンライン主催の「半導体ストレージサミット 2014 ー エンタープライズ分野の主役に躍り出たフラッシュメモリー」で「エンタープライズストレージのメガトレンドとフラッシュの重要性」というテーマで話します。秋葉原コンベンションホールで10時から。有料です。中央大の竹内健先生も話されます。

11月28日(金)「米国特許公報から読み取るApple/Google/Samsungのウェアラブル戦略」というテーマで話します(主催は新社会システム総合研究所というセミナー屋さんです)。永田町の同研究所サイトで14時30分から。有料です(上記リンクから優待価格で申し込めます)。

ご興味ある方は是非よろしくお願いいたします。

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Apple WatchがiWatchでなかったもうひとつの理由

過去記事「Apple WatchはなぜiWatchではなかったのか?」において、AppleがiWatchの商標使用をあきらめたのは、スウォッチ社の登録商標iSwatchとの問題ではないかと書きました。しかし、どうもそれだけではなさそうです。

Bloombergの記事「アップル、“iWatch”はダメと新興企業が釘-商標登録済み」によると、イタリアの小規模ソフトウェア会社Probendiが欧州共同体において“iWatch”の商標権(指定商品はコンピューター関連機器とソフトウェア等(9類))を所有しており、Appleに対して警告してきたそうです。この商標登録は、欧州共同体商標意匠庁(OHIM)が管轄する欧州共同体商標というもので、欧州共同体に属するすべての国で有効な商標登録です。

実際、Probendi社のウェブサイトには、欧州共同体内で“iWatch”の商標を使用できるのは当社だけであり、不正使用には法的措置を取るというようなことが書かれています。

同社は、過去にiWatchという名称のソフトウェアをイタリアの警察等に提供していたようなので、不使用取消審判も難しいでしょう(欧州共同体商標は欧州内のどこかで使っていれば不使用取消を免れるので、その点有利です。)

さらに、冒頭Bloombergの記事では、

同氏(Probendi社創業者)はiWatchの商標をフルに生かす考えだ。この名前のウエアラブル端末を開発する計画で、低価格での生産を目指し中国を訪れる。349ドル(約3万7700円)のアップル・ウオッチに対抗するつもりだ。

と書かれています。Appleとしてはちょっといやな感じでしょうが、あきらめるしかないでしょう。Probendi社側としても、こんなあまりメリットのないいやがらせのようなことをするよりもAppleに商標権を買い取ってもらった方が得策だと思うのですが、商標権譲渡の交渉がうまくいかなくてこうなったのかもしれませんし、今後の商標権譲渡を有利に運ぶための牽制としてこういう行為をしているのかもしれません。

そもそも、「i+普通名称」のパターンを製品名に使っていくというジョブズのプランは2つの理由によりちょっと無茶でした。第一に、先を読まれて誰かに抜け駆け出願されてしまう(iPadの時もAppleは苦労しましたね)リスクがありますし、第二に、たとえば、インターネット対応した製品やサービスの通称として頭にiを付けるのはありがちなので不正の目的はなくても偶然の一致があり得ます。

実際、OHIMが提供するTMView(欧州内だけでなく多くの国の商標を横断的に検索できます)で検索すると、抜け駆けが偶然かわかりませんが、iAuto、iRing等々、数々の「i+普通名称」パターンの商標登録・出願が行なわれています。Appleにとっては、今後は「Apple+普通名称」のパターンの方が全然楽でしょう。

一般に、企業名をできるだけ造語にして、企業名そのものを(いわゆるハウスマークとして)商標登録し、サービス名は「企業名+普通名称」とする(たとえば、Googleや楽天のようなパターン)のが、会社の成長・拡大に応じて、長期にわたって確実に商標登録を行なって行くために有効です。Appleは造語ではないですが、以前書いたように広い範囲で商標権を取得しているので一応安心と言えます。

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