Yahoo!ニュース個人のヒット記事(2016年8月版)

すみません、また書くの忘れてました。定例記事です。

1位.西村博之氏、2ch.netドメインの奪還に失敗

2ちゃんねる創始者の西村博之氏が、2ちゃんねるの現運営(ジム・ワトキンス氏)の2che.netドメインの登録を取り消すべく、WIPOに調停要求をしていたのが証拠不十分で請求却下になったという話です。WIPOの調停処理は有名ブランドの名称を第三者が勝手にドメイン登録してしまったようなケース(サイバースクワッティング)に対応するためのものであり、ちょっと無理がありましたね。別途、裁判に訴えることになるのでしょうか?

2位.いきなり!ステーキの特許化について

立ち食いステーキでおなじみのいきなり!ステーキを運営するペッパーフードサービス社が、同店のステーキ提供システムを特許化したという話です。これで特許化できるのかというのが正直なところです。

3位.大勝軒による「山岸一雄」の商標登録出願が拒絶に

つけ麺の発明者とも言われる池袋大勝軒の元店長山岸一雄氏の名称を、池袋大勝軒運営会社が商標登録出願したところ、(元店長と同姓同名の)山岸一雄氏の許可を得ているわけではないとして拒絶になったという話です(不服審判、審決取消訴訟でも覆せず)。4条1項8号の規定上はしょうがない話かと思われます。

4位.ポケモンGoを開発したナイアンティック社の特許について

ナイアンテック社の特許の話ですが、ポケモンGoはあまり関係なくて、Ingressで使われているチャット機能に関係している特許でした。

5位.ダイソーで売っているiPhone用Lightning充電ケーブルとアップルの特許について

2014年12月に書いた記事です。新記事が少ない月は必ずと言ってよいほど上位に食い込んできますね(笑)。このメーカーさん、iPhone7対応のLightningとヘッドホンジャックの変換ケーブル(逆刺し不可バージョン)も100円で販売したりするのでしょうか?

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Yahoo!ニュース個人のヒット記事(2016年7月版)

書くの忘れてました。定例記事です。

1位.加護亜依商標登録問題がどうなったのか気になったので調べてみた

能年玲奈→「のん」の芸名問題に便乗wして、加護亜依が商標登録された問題について調べてみました。新事務所が不使用取消審判を請求したことで「歌唱の上演」等の芸能活動に本質的な役務について取消に成功しています(旧事務所側が取消訴訟を行ないましたが請求却下)。加護亜依さん側には朗報でしたが、芸名を商標登録することで芸能活動をコントロールできるのかという私の疑問は解決されないままでしたね。

2位.STAP細胞特許出願を米国特許庁が暫定拒絶

小保方氏を発明者の一人とする多能性細胞作成方法に関する特許の米国移行に米国特許庁が拒絶理由(Non-Final Rejection)を通知したという話です。どちらかというとこちらが1位になってほしかったですね。発明としての実現性がないのは確実なので当然ですが、米国特許庁の審査がザルでなくてよかったです。

3位.ポケモンGoの「商標登録問題」を検証する

任天堂によるポケモンGoの商標登録出願に拒絶理由通知が出ていたことが日本での展開が遅くなった理由ではないかというネットで見られる推測に対する反論です。拒絶理由通知は、過去のポケモン関連出願は共同出願だったのが今回だけなぜか任天堂の単独出願になっていたことで、自分の既登録と類似と判断されてしまったことによります。補正すれば済む話なのでまったくたいした問題ではありません。

4位.ワンダーコアの知財戦略について

「ワンダーコア」が意匠登録された記事は6月に書いていたのですが、実用新案も登録されていましたという話です。「戦略」というほどおおげさではないですが。ショップジャパンの商品にはショップジャパン社が企画・開発したものもありますが、ワンダーコア関係は台湾で企画・開発したものをライセンスを受けて販売しているという関係のようですね。

5位.ポケモンGo Plusデバイスの立体商標をグーグルが出願

発売が予定されているポケモンGo用「ウエアラブル」ポケモンGo Plusの形状そのものの立体商標の登録出願がの出願人が任天堂ではなく、グーグルになっていた件の分析です。米国で2014年のエイプリルフール企画「Google Mapポケモンチャレンジ」で使用したアイコンと類似なので、まずはグーグルに出願したもらったと推測されます。権利化後はたぶん任天堂に譲渡される手はずになっているのだと思います。

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【再修正】Appleの特許事務所のポカについて(Was:米国特許庁の大ポカについて(Was:Appleの特許事務所の大ポカについて))

再追記:すみません、追記が続いてわかりにくくなってます。Appleの特許事務所大ポカ→特許事務所に落ち度はない、USPTO大ポカ→いややっぱり特許事務所のポカ(イマココ)です。

iPhone Maniaの記事に載っていた記事(元記事はPatently Apple)で、BAE Systemsという軍事車両メーカーの特許が、なぜかAppleの特許として登録されていた件のフォローです。これらの記事だとAppleの特許事務所が出願人を間違えて出願したという書きっぷりですがそのようなことはありません。

審査資料を追ったところ、出願時点からずっとBAEという正しい出願人だったのですが、最後の最後に今年の7月7日付の特許料納付のフォームで「特許証に掲載したい名前」の欄にAppleが誤記載されてました。たぶん、既存のフォームを流用するときに前の記載を直し忘れたんですね(まあ、あるあるです)。大ポカとは言えないまでもポカとは言っていいんじゃないかと思います。

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すみません。元記事の「なぜ13ヶ月も気がつかなかったか」の記載に引っ張られましたが、この件はAppleの特許事務所のミスではなく、米国特許庁のミスでした。この出願の代理人である特許事務所は、ちゃんとBAEの名義で出願していたのが、なぜか、最後の最後の登録証発行時点でAppleの名義に変わっていたということのようです。ということでこの特許事務所に落ち度はまったくありません。

iPhone Maniaの記事によると、Appleが取得したとされていた連結車両用の操舵装置に関する特許(US9409599)、実は特許事務所が出願人(Original Assignee)の記載を間違えており、AppleではなくBAE Systemsという軍事企業のものであったそうです。公開時点では、Appleは確かに電気自動車やってるけど事業と関係ないんじゃないかと不思議がられていた特許であったそうです。

この特許事務所は、特許査定後にRequest for Certificate of Correctionと呼ばれる書類を提出し、BAE SystemsをAppleにしたのは誤記(typo)なので修正してくれとの申請を行ない、受理されたようです。ずいぶん豪快な誤記ですね。たぶん、特許管理システムの選択リスト等で隣にあったものを選んでしまったんじゃないかと思います(アルファベット順ならばAppleとBAEが並んでいる可能性はあります)。

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追記:以下の話は今回の件とは直接関係なくなってしまいましたが、せっかくなので残しておきます。

日本において出願人の名前を間違えるとどうなってしまうのでしょうか?以前別件で審査官の方に電話したついでに聞いた話では、識別番号が合ってれば識別番号優先で処理されるので出願人の記載が間違っていても補正(ひょっとすると職権訂正)で対応できるようです。識別番号が間違っていた場合、また、識別番号と出願人が両方間違っていた場合は、補正で対応できるかどうかはケースバイケースだそうです。今回のように全然違う出願人で出してしまった場合はどうなるんでしょうか?名義変更で対応するしかないのでしょうか?そうなると譲渡証書に印鑑もらわないといけないので代理人的には相当はずかしい事態になってしまいますね。さらに厳密に言うと、29条の2の引用発明が同一出願人かどうかで査定に影響があるという点もややこしいです。

ところで、米国の場合は、特許査定が出てから登録証が出るまでの間に、上記のように記載事項を訂正できる機会がありますが、日本の場合は正式の運用としてはありません。以前、登録証の出願人の国籍が米国企業なのにウクライナになっていたという件がありました(特許庁担当者のUSとUKの選択間違い)。この時は、電話して修正後再送してもらいました。

追記:弊所は高級な特許管理システムは使っていませんが、書類提出前に出願番号と出願人(識別番号)は必ず指差喚呼しております。

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Yahoo!ニュース個人のヒット記事(2016年6月版)

定例記事です。先月は新規記事をあまり書けなかったので、結果的に大昔に書いて定常的にアクセスを得ている記事がランク入りしました。

1位.「高知東急」芸名使用差止請求事件を覚えていますか

高知東正がデビュー時点の芸名として高知東急(読みは「たかちのぼる」で同じ)を使っていた時に東急電鉄に訴えられた事件を覚せい剤事件の便乗記事wとして書きました。もう18年も前の話なんですねえ。

2位.ダイソーで売っているiPhone用Lightning充電ケーブルとアップルの特許について

2014年12月に書いた記事ですがまだ結構なアクセス数があります。

3位.ビットコイン「発明者」がブロックチェーン関連発明を大量特許出願

ビットコインの自称発明者であるSteven Craig Wright氏が英国特許庁にブロックチェーン関連発明を数十件出願していたという話です。出願公開は来年なので中身はわからないのですが気になるところです。

4位.ワンダーコアスマートの意匠創作者について

TVCMでおなじみの腹筋マシン「ワンダーコアスマート」の偽物を所持して意匠権侵害で逮捕された事件があったので、それの便乗記事wとして書きました。ワンダーコアスマートもワンダーコアも台湾で健康器具の通販をやられている方が意匠権を持っていて、ショップジャパン側にライセンスしているようです。だからどうだと言われると困りますが、単なる小ネタ記事でした。

5位.アップルを訴えた島野製作所の武器になった特許とは?

これも2014年10月に書いた息の長い記事。侵害訴訟は島野側一審敗訴の後に控訴されており、無効審判ももうじき審決のはずなんですが内容はWebからではまだわかりません。個人的にも大変気になる事件ではあります。

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Yahoo!ニュース個人のヒット記事(2016年5月版)

Yahoo!ニュース個人に自分が書いた記事の中から毎月アクセス数が多かったものを紹介していく定期投稿です。

1位.グーグルの人間ゴキブリホイホイ特許はベンツが40年前に通った道だった

歩行者との衝突時に粘着剤で歩行者をクルマにくっつけることで衝撃を和らげるというネタのような特許をグーグルが取得したという話です。こんな特許をグーグルが出願していたというのも驚きですが、1978年にダイムラーベンツが同様のアイデアを出願しており、グーグルは権利範囲を限定せざるを得なかったというのも驚きです。全体的には小ネタ記事ですが、斬新な発明だと思っていたが、実は大昔に出願されていて日の目を見なかっただけだったというのはよくある話です。

2位.”2ch”に加えて”2ちゃんねる”の商標権も西村博之氏のものに

西村博之氏がが、4月に”2ch”の文字商標を登録したのに続き、5月に”2ちゃんねる”の文字商標も登録したという話です。インパクトはこちらの方が大きいでしょう。なお、先に出願した”2ちゃんねる”の方が、なぜ後になって登録されたかですが、西村氏が特許庁からの補正指令を受け取っていなかったことによる審査の遅延の問題が大きいです。

なお、西村氏はWIPOに2ch.netのドメイン名紛争調停を申立てています。”2ch.net”の商標権に基づくものと思われますが、不正の目的の立証が困難ではないかと思います。

3位.Appleが中国でiPhone登録商標の奪還に失敗

中国企業による皮革製品(18類)を指定したIPHONEの文字商標登録に対してAppleが無効審判を請求したが棄却となったというニュースです。これによってこの中国企業がスマフォ用の革製ケースをIPHONEという商標で販売することにお墨付きが出てしまいました。出願時点でのiPhoneの中国国内でも著名性を立証できなかったことが理由です。海外の著名商標の保護が薄い中国の商標制度も問題ですが、手広く防衛的に出願しておかなかったApple側にも手抜かりがあったと言えるでしょう。

4位. ローリングストーンズにはドナルドトランプ氏に楽曲の使用中止を命じる権利があるのか

ドナルドトランプ氏が選挙キャンペーンでローリングストーンズの楽曲を使用したことに対してストーンズ側が使用中止を求めたというニュースです。結論は、音楽出版社や著作権管理団体(ASCAP)経由で著作権処理をしていても、パブリシティ権等の観点から作詞家・作曲家の直接許諾が必要であり、その許諾を得ていないのなら訴えられてもしょうがないというものです(ASCAPのガイドラインによる)。なお、日本でも、選挙活動での楽曲使用は著作者側の直接許諾が必要というのがJASRACのルールです。選挙での楽曲使用は人格権へのかかわりが大きいので当然と言えるでしょう。

5位ハーバード大がSTAP特許出願に審査請求:日本でも実体審査開始

てっきり出願審査未請求により取下になったと思っていたSTAP細胞に関する特許出願に(現在は唯一の出願人となっている)ハーバード大(ブリガムアンドウィメンズ病院)が審査請求を出していたという話です。正直、意外です。書類上のつじつまは合っているものの、その書類の信憑性が怪しいことが報道等から明らかという出願を特許庁はどう扱うのでしょうか?なお、フォローアップ記事「STAP出願は特許化されてしまうのか?」も是非ご覧下さい。


5位以下も興味深かったのでついでにご紹介します。

6位JASRAC対ファンキー末吉氏の地裁判決文が公開されました

末吉氏側の敗訴に近いです。JASRAC管理楽曲の演奏行為が認定された上で、利用料を払うか払わないかの問題なのでしょうがないと言えましょう。

7位フランク・ミュラー対フランク三浦が最高裁での戦いに

「フランク三浦」の登録商標に対する無効審判の審決取消訴訟が上告されたという話です。勘違いしている人は結構多そうですが、登録商標の有効性を争う裁判であって、パロディ時計の販売の是非を争う裁判(商標権侵害訴訟)ではありません。

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