【お知らせ】最近の仕事について

最近の自分の仕事状況についてまとめてみました。執筆の仕事がちょっと増えています。

1.ZDNetで「ビッグデータ」関連の連載をしています(たぶん全10回程度)

1回目.「『ビッグデータ』がもたらす機会と課題
2回目.「ビッグデータはストレージの重要性を高める–ビッグデータを支える技術(1)
3回目.「RDBMSとNoSQLは相互補完的関係–ビッグデータを支える技術(2)
4回目.「ビッグデータからどう価値を得るか

2.ソフトバンク ビジネス+ITで「スマートフォン特許戦争を理解する」という短期連載が始まりました(たぶん全8回程度)。最初は知財制度の基本について書き、その後、具体的なベンダー間の争いの分析をしていく予定です。なお、無料の会員登録が必要です。

1回目.「特許・意匠・商標の違い、5分で理解する知財の基礎用語

3.日経BPのスペシャルサイト「常勝経営」で短期連載です。どちらかというと経営者向けのITメガトレンドの解説です。

1回目.「コンシューマリゼーションという『メガ・メガトレンド

全然違う内容で3本並行連載するとちょっと厳しいですねw(と言いつつ、執筆仕事は基本全部受けますのでよろしくお願いします)。

執筆ではないですが、ちょっと前に始めたブログのシンジケーションもそれなりに好評のようです(以下のリンクの内容は本ブログの記事と同じです)。

ZDNet: 「解説:アメリカはなぜ先発明主義にこだわるのか(こだわっていたのか
Cnet:「Motorolaの買収に見るGoogleの苦悩
ソフトバンク ビジネス+IT:「4つに分けて理解するビッグデータの定義」(無料会員登録要)

ソーシャルブックマークの付き方を見ても、同じ記事であっても全然ターゲット層が違うみたいなので、メディアの方はアクセス稼げて弊社もリーチを広げられてWin-Winじゃないかと思います。

印刷媒体ですとIT InitiativeのVol12(最新号)に「エンタープライズ・ストレージの最新トレンド」という記事が載っているはずです(まだ手元にないので確認できません)。また、まだオープンにできないですがビジネス書翻訳の超大型案件現在鋭意取り組み中です。

講演関係ですが、10/26に某VC主催のクラウド関連のフォーラムでパネリストとして登壇します(クローズドのイベントぽいので詳細は省略)。また、10/28にIT Initiative主催で行なわれる「Analytics & Insight『予見力』データ分析と活用による知見の導出」というイベントでパネルのモデレータをします。

ブログでオープンにできない仕事としては特許出願代理、商標出願代理(これについては後日ご案内記事を書きます)、ホワイトペーパー執筆、特許調査案件などが進行中あるは開始予定です。会社のコアとしてはソフトウェア特許の調査・分析・コンサルティングにフォーカスしていきたいと思っております(これについても後日ご案内記事を書く予定です)のでよろしくお願いいたします。

カテゴリー: お知らせ, 業務連絡 | コメントする

12月1日からマジコン販売に刑事罰適用です

今年の5月に改正されていた不正競争防止法が今年の12月1日より施行となります(経済産業省の関連ページ)。今回の改正の重要なポイントとして、アクセスコントロール回避機器に解する改正があります。要するにマジコン関連です。

今までも、不正競争防止法におけるアクセスコントロール(技術的制限手段)回避機器の定義では、アクセスコントロール回避「のみ」を提供することが要件とされていました。ところがこの規定を悪用して、不正にコピーされたゲームを実行できる機能以外の機能(音楽再生機能等)をマジコンに付加して規制逃れを行なうケースが多かっため、今回、「のみ」の要件がはずされました。

また、アクセスコントロール回避機器の提供(販売等)に対して刑事罰が適用されるようになりました。今までは、刑事罰の規定がなかったので、仮に民事でマジコン販売業者を訴えて勝ったところで、業者は行方をくらまして別の名前で再営業みたいなケースもあり、実効性がなかったという問題もあったようです。

刑事罰の導入により、マジコンの提供行為について5年以下の懲役and/or500万円以下の罰金が課されます。何よりも大きい点として警察権力が介入できるようになりましたので、マジコン販売店にガサ入れなんて可能性が出てきます。なお、これは、たとえばDVDのリップソフトを売っている場合等も同様です。

なお、この話は著作権法改正の話とはまた別です(なお、不正競争防止法は経産省の管轄、著作権法は文化庁の管轄です)。不正競争防止法は基本的に業界の秩序維持を目的としているので一般消費者が直接影響を受けることはありません(もちろん、マジコンをオークション等で販売すれば個人でも刑事罰の対象になり得ます)。個人が既に持っているマジコンを使う分には不正競争防止法的には問題ありません(もちろん、道義的な問題、および、任天堂との契約違反の問題がありますし、ゲームソフトを不正コピーした時点で著作権法違反なので、マジコン使用行為を奨励しているわけではありません)。

個人的には刑罰でのコントロールは最低限にしていただきたいのは言うまでもないとして、現状を見るに不正競争防止法によるマジコン業者の規制強化はしょうがないのかなという気がします。なお、関連する著作権法改正については震災の影響で国会に出せない状況らしいですが、別エントリーにて書くことにします。

カテゴリー: 知財, 著作権 | 3件のコメント

アメリカはなぜ先発明主義にこだわるのか(こだわっていたのか)

米国の特許法が先発明主義から先願主義へと改正される可能性がきわめて高くなったということでちょっと話題になっています(参考記事)。今までにも米国が先願主義に移行すると話は恒例行事のように何度も持ち上がっては消えていたのですが、今回は上下院を通過したということでよほどのことがない限り改正されそうです(なお、実際の施行は1.5年から2年ほど先になります)。

世界の国のなかで先発明主義を採用していたのはアメリカくらいだったので、この改正が行なわれれば、世界の特許制度が先願主義という点では一応統一されることになります。一般に、アメリカの特許制度は世界の他国と比べて独自性が強いですが、先発明主義はまさにその代表的要素でした。

ここで簡単に説明しておくと、先願主義とは、同じ発明がかぶって出願された時に最初に出願した人が優先されるという制度です。一方、先発明主義はとは先に発明した人が優先されるという制度です。実際には、先発明とは言っても、米国では先に出願した方をとりあえず優先して扱い、他から物言いが付いたときに、発明日の後先を争うという制度になっています(インターフェアレンスと呼ばれる手続き)。

一見、先発明主義の方が利にかなっているような気がしますが、先願主義の方が事務作業的に相当楽ですし、先発明主義ですと、発明が無事特許化されて事業化も準備OKとなったタイミングで、「いや実はそれはうちが先に発明してたんですよ」と言う人が出てくるかもしれないという安定性の問題がありますので、アメリカ以外の国はみな先願主義を採用していたわけです。

では、なぜ、アメリカは先発明主義にこだわっていたのかというと、その根本的理由は個人発明家重視という点にあります。先に、アメリカの特許制度は独自性が強いと書きましたが、その多くは個人発明家重視という基本思想に由来しています。米国憲法8条には、「発明者だけが、その発明や発見についての排他的権利を有する」旨が書かれており、個人の権利としての発明者の権利が重視されていることがわかります。

「先願主義にすると発明を迅速に出願できる大企業に対して、それだけの資金も要員もない個人発明家が不利になる」というのが米国が先願主義移行に反対していた大きな理由であるようです。ところが、実際には先発明主義だから個人発明家が有利かというと、上記のインターフェアレンスの手続きを個人で起こすのは費用的にかなり困難であり、先発明主義だから個人発明家有利だったというわけでもないようです。それよりも、先願主義に移行して、世界の他国と統一した方が、将来の「世界特許」構想実現においても有利であると判断されたということでしょう。

この米国の個人発明家重視という思想はなかなか難しいところがあります。たとえば、現在米国の特許制度における大きな問題となっているパテント・トロールの問題にしても、「発明を実施していない者による特許権の行使をある程度制限すればよいではないか」という意見が聞かれることがあります(実際、日本を初めとする多くの国では(うまく機能しているかどうかは別として)このような制度があります)。しかし、米国的な発想ですと、発明を実施するだけの資産を持つ企業とそのような資産を持たない個人との間での交渉において個人が不利になるということから、このような改正が困難であるようです。

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【雑談】夏におすすめアップルジュース炭酸割り

もう夏も終わりですが、エアコンかけてても頻繁に水分補給してないとやってられないですね。夏の飲み物としてジュース類は糖分が多すぎますし、飲むことでかえってのどが乾いて、いわゆるペットボトル症候群になる問題もあります。かといって人工甘味料を使ったカロリーオフ系飲料は「まずい」(少なくとも私にとって)という致命的問題があります。麦茶、緑茶、ミネラルウォーターもよいですが、ちょっとだけ糖分(とクエン酸)を摂りたいケースもありますよね。

そこでおすすめしたいのがアップルジュースの炭酸割りです。炭酸は、発泡ミネラルウォーターでもいいかもしれませんが、セブンイレブン・ブランドなどの普通のきつい炭酸の方が好みです。アップルジュース:炭酸水=1:2くらいが黄金比だと思いますが、その時の気分とジュース自体の甘さに応じて調整すればよいと思います。すっきりさわやかで健康にも悪くなく安上がりで最高の飲み物だと思います。他のジュースでもおいしいかもしれませんが、アップルジュースが一番合う気がします。

この飲み方は以前ヨーロッパを旅していたときに飛行機内でアップルジュースの発泡ミネラル割を頼んでいる人がいっぱいいたので気づきました。昼間の飲み物としてだけではなく、アルコールを飲みたくない夜にもノンアルコールビールなんかを飲むよりよろしいんじゃないかと思います。

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「MotorolaにはGoogleだったら絶対採用しなかったであろう社員があふれている」:問題山積みのGoogrola

GoogleのMotorola買収ですが、いろいろと問題山積みだと思います。

一般に、M&Aにおいては、相手先に財務上、法務上のリスクがないかを精査するデューデリジェンスというプロセスを行なうわけですが、それにも増して大事なのが企業文化の整合性です。

「IT業界においてはテクノロジーを買収するのは簡単だが、組織を買収するのは大変」と聞いたことがあります(IT業界に限った話ではないとも思いますが)。成熟した組織は独自の企業文化を確立しており、買収する側と買収された側の企業文化の違い(いわゆるカルチャークラッシュ)で、買収効果がまったく出せないこともよく見られます。

カルチャークラッシュという点で言うと、Googleはかなり特異な企業文化を持っています。才能がある人だけを採用して、自由にやらせるかわり成果を出せなければ退場いただくという人材戦略です。これに対して、Motorolaは「普通のメーカー」です。”Motorola Is Full Of People Google “Would Never Hire,” And That’s Why The Merger Won’t Take”(MotorolaにはGoogleだったら絶対採用しなかったであろう社員があふれている、それが買収が成功しない理由だ)なんてコラムを書いている人もいます。

そして、GoogleがOSを各携帯メーカーに中立的な立場で提供するというエコシステムの前提が崩れる「生態系汚染」の問題もあります。前回書いたSamsungがPalmの特許に関心を示しているというのもそのひとつの表れかもしれません。

さらに、肝心のMotorolaの特許ポートフォリオですが、これにも懸念を表明している人がいます。

“Google Is Buying “Crap” Patents In Motorola Deal”(GoogleがMotorola買収で買うのはゴミ特許)という記事では、米国の特許コンサルティング会社CEOが「Motorolaは自社の強力な特許(MPEG関連やFreescale関連等)を既に売却済み」と述べています。

さらにさらに、買収が成立しなかった場合には、Google違約金として25億ドルを支払う契約になっているようです。M&Aにおける違約金(breakup fee)はよくある話ですが、この金額は相場の6倍であるそうです(参照記事)。

Googleは、あわてて買い物をして高値つかみしたのではないかという懸念がますます高まったと言えそうです。

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