知財業界でのピンチ:期限日(と思ってる日)に手続きはしない方がよい

弁理士の日(7月1日)の企画で「知財業界でのピンチ」についてブログ記事を書いてる人が多いようです。もう期間徒過wしてしまいましたが、思い出したネタがあるので書いておきます。自分の話ではなく、相手方の話です。特定されないようにぼかしています。

ある会社から商標登録の異議申立の通知書が来たと相談を受けました。通知書の差出人はちゃんとした特許事務所です。「異議申立を取り下げてほしければ、該当する一部商品を放棄せよ」と要求しているのですが、商標権放棄は将来効(過去に遡って権利がなくなるわけではない)であり、異議申立は査定時点の判断の可否の話なので、放棄しても異議申立が解消するわけではありません。

そもそも、異議申立が通れば、その対象になっていた指定商品・役務のみが取り消されるのであって、商標権全体がなくなるわけではないので、(異議申立が通らない可能性もあるのに)わざわざ先んじて放棄しておく意味はありません。異議申立に対して一部商品の放棄で対応できると説明しているページもあったりしますが、間違いです。拒絶理由通知に対する対応とごっちゃになっているのだと思います。

ということで放置していたのですが、しばらくして経過情報を見ると、異議申立請求に対する手続補正書(請求の理由を補充するもの)が、期限日を1日徒過していたたため却下になり、結果的に異議申立請求自体が手続却下になっていました。たぶん、異議申立請求に対する期日の計算は期日管理ソフトでは対応していないので手で入力した時に、小の月と大の月を間違えたりしたのだと思います。相手のオウンゴールにより、こちらとしては異議申立の心配は無用になったのですが、相手方の事務所はどうクライアントに説明したのだろうと考えるとちょっと胃が痛くなってしまいました(なんで自分が痛くならないといかんねんw)。

なお、自分は、やむをえない場合を除き、期限日に手続きを行うことはしません。万一の日付計算間違い、事故や病気で出所不可、パソコンが立ち上がらない(可能性としては一番ありそう)などのトラブルが怖いからです(救済措置はありますがそれに頼るのも怖いです)。必ず3日前には行います。万一何かあっても最悪、郵便局から送るか、特許庁に持参すれば期間徒過は免れられるからです。

追記:何で1日間違えたのか推察してみましたが、補正書提出期間が異議申立期間完了後30日+在外者は職権で60日プラスであるところ、30日経過後が祝日であったため、プラス分の60日をその翌日から起算してしまったものと思われます。こういう場合は、90日をひとつの期間として考えなければいけません(90日後が祝日なら当然に繰越になります)。これ、短答にも出たことあると思いますが、間違いがちなポイントですね。こういうことがあるので、期限日ギリギリの手続はよろしくないですね。

カテゴリー: 雑談, 事務所運営 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です