アップル対サムスンの訴訟で争点になっていた特許のひとつとして本ブログでも以前に紹介した「バウンスバック」特許(別名、ラバーバンド特許)(US7,469,381)ですが、再審査(re-exam)において新規性・進歩性欠如によりすべてのクレームが無効であるとの暫定的な決定がなされたようです(ソース:ロイター)。
この決定はあくまでも暫定的なのでこれからAppleが反論することになります。ただし、多くのクレームが進歩性ではなく新規性を否定されていることから、審査官の判断を覆すのは大変かもしれません。
なお、可能性としては、Appleがクレームを限定する補正をして争うことも考えられます(この場合は、サムスンなどによる侵害の判断も再度やり直すことになります)。また、再審査の結果に満足が行かなければ、アピール(審判)を行なうことも可能です。さらに、CAFC(連邦巡回区控訴裁判所: 日本の知財高裁に相当)から最高裁と司法の場で争うこともできますので決着が付くまではかなりの時間(数年のレンジ)がかかるかもしれません。
先行技術としてあげられているのはAOLおよびApple自身による特許です(サムスンとの訴訟で争点になったクレーム19はAOL特許のみを根拠に新規性を否定されています)。これらの特許の内容には大変興味があるのですが、中身を読んでちゃんと比較検討するのは、仕事としてやるのでないとちょっと体力的に厳しいですね。
先のアップル対サムスン訴訟への影響という点で言うと、バウンスバック特許が仮に無効になったところで、意匠権(デザイン特許)の侵害の方が賠償金額としては圧倒的に大きいので、賠償金の総額にはあまり影響はないと思われます。元が10億ドルだったところからおよそ3,000万ドル安くなるというレベルのようです(ソース)。
とは言え、意匠権が争点とならないような相手との戦いにおいては、Appleの重要な武器のひとつの足場が揺らいでしまったとは言えるでしょう。