『ウィキノミクス』等でおなじみのドンタプスコットの最新作 『デジタルネイティブが世界を変える』を翻訳しました。物心ついた時から周囲にコンピューターやネットが存在し、デジタル・テクノロジーに浸かって成長してきた世代が何を考えているのか、メディア/政治/教育/家庭をどのように変えているのか、彼らから何を学べるのかを、世界中の約1 万人の若者に対する調査プロジェクト(予算:400万ドル)の結果に基づいて分析した本です。
原題は”Grown Up Digital”、翔泳社から依頼があった時に、「あれ、これは大昔に出た本では?」と思ってしまいましたが、それは、”Growing Up Digital”(邦題『デジタルチルドレン』)という同著者が1999年に書いた別の本だったのでした。”Growing Up Digital”がデジタルの世界で育つ新しい世代のインパクトを予測した本であるのに対して、本書はこの世代が成人になったことで何が変わったのかを分析した本ということになります。
若い世代のケータイ好きとかネットコミュニティ好きというような論点は聞き飽きた話かもしれません。しかし、政治/社会貢献活動/教育/家族へのインパクト分析は斬新で参考になる点が多いです(たとえば、オバマの勝利にネット・コミュニティがどのように貢献したかなど)。
また、多くの分析が日本にも当てはまりそうだという点も注目に値します(1万人の調査対象には日本も含まれていますが、本書で紹介されているほとんどの事例は北米のものです)。デジタルネイティブはグローバルな世代であり、「これはあくまで欧米の話であっで日本には当てはまらない」というようなケースは少ないと思われます。ほぼ唯一の違いは、北米のデジタルネイティブ世代が人口統計的にも最大の世代になりつつある(ゆえに、市場や政治での発言力を増している)のに対して、日本では少子化によりそういう状況にはなっていないという点でしょう。
なお、原書については今年の1月にITmediaオルタナティブブログの「シロクマ日報」でレビューされています。
発売は5月14日、現在Amazonにて予約受付中でです。
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