特許でも商標でも意匠でも代理人が法的な意味を持つのは設定登録までであって、それ以降は代理人がいてもいなくても法律的には影響ありません。ただし、特許庁のサービスとして、特許権等に無効審判等が請求された時には、まず代理人に連絡が行き、審判代理人を引き受ける意思があるかを聞かれます(弊所はFAXやめていますが、メールで連絡が来ます)。登録に代理人がいない状態だと、出願人に郵送で連絡が行きますが、在外者だったりするとちょっと怖いですね(もちろん、英語を含めた通知が行くようですが)。
普通のプロセスで登録されれば、審査時の代理人が登録の代理人として扱われるのですが、登録に代理人が割り当てられていないケースもないわけではありません。典型的には、日本が指定国になったマドプロやハーグで拒絶理由通知がないまま一発登録になってしまった場合です。もう一つのパターンは登録後に権利移転した場合です。この場合、旧権利者の代理人が自動的に新権利者の代理人となるようなことはなく、新権利者の委任状を付けた代理人受任届の再提出が必要です(特許庁確認済)。
移転登録申請と代理人受任届の提出のタイミングですが、同時にやってはだめかと特許庁に聞いたら、代理人受任届は移転登録が設定登録されてから出してくれとのことでした。ただ、委任状については、移転登録申請に譲受人(本来はなくても問題ない)の委任状を添付しておくことことで、代理人届提出時(これはオンラインでできます)に援用すれば、わざわざ紙の委任状を再提出する必要はありません(そもそも、捺印がいらないのに何で郵送が必要なのかという気もしますが)。