昆虫の交尾写真は著作物なのか

「昆虫交尾図鑑」という書籍に掲載された昆虫の交尾時のイラストがブログに掲載された写真の無断トレースではないかという事件が話題になっています(まとめサイト)。簡単に検討してみます。

最初の論点は昆虫の交尾写真の著作物性です。著作権法の著作物の定義「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」に当てはまるかどうかです。著作権侵害に関する争いでは、問題とされた対象の著作物性が否定されることも多いです。

しかし、美術館で観賞するような芸術写真でなくても人間の判断が介在して構図やシャッターチャンスが決まった写真であれば、スナップ写真であっても著作物とされるという知財高裁判例(「東京アウトサイダーズ」事件)がありますので、ブログの昆虫交尾写真が著作物であることは否定しがたいと思います。

次の論点は、著作権法上の複製あるいは翻案が成立するかです。この判定要件は依拠性と類似性です。これまた、結局はケースバイケースの判断になりますが、上記まとめサイトに引用された写真とイラストを見る限り、依拠性・類似性共に複製行為があったことは否定しがたいように思えます。昆虫の交尾写真に関するドメイン知識がない者による私見ですが、昆虫には四十八手があるわけではないので交尾写真(イラスト)のバリエーションはある程度限られるとは言え、写真家あるいはイラスト作者の創作的表現が介在する余地は十分にあり、誰が撮っても(描いても)ほとんど同じということにはならないと思います。また、上記まとめサイトによればイラスト作者自身が依拠性については認めているようです。

書籍出版元である飛鳥新社の釈明文がサイトに載っていますが、昆虫写真の著作物性や依拠性の論点には触れず、構図等が微妙に違う(トレースではない)ということを理由に著作権侵害でないことを主張しています。「著作権に詳しい弁護士の検討を経たもの」であるそうなのですが、できればこの弁護士先生の実名入りでの意見を伺いたいです(推測ですが「類似が創作的表現ではなくアイデアの要素にしかなければ著作物としては類似しない」という一般論を述べただけで、このケースへの具体的当てはめを判断されたわけではないのかもしれません)。

なお、もうひとつの論点として著作権侵害でなければ問題ないかという点もあります。

たとえば、市場調査関連の本を文章の部分は一切流用せずに、調査データ部分だけをコピーして別の本を販売したとします。データは著作物ではないので著作権侵害にはなり得ませんが、他人が苦労して集めたデータを勝手に流用して営利行為に使用することは、一般不法行為とされて損害賠償の責を負う可能性があります。これまた、判断はケースバイケースになりますが、昆虫の交尾写真をクローズアップ撮影するのはそれなりの労力を要求されると思いますので、一般不法行為成立の余地はあると思います(これまた、昆虫の交尾写真に関するドメイン知識がない者による私見です)。

飛鳥新社は、元々は「磯野家の謎」で急成長した会社であり、「磯野家の謎」はイラスト等を使わないことでサザエさんの著作権はクリアーしているものの、やはり「便乗」が企業DNAに組み込まれているのかなあという気がします。

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オリンピック関連商標に不使用取消を請求するとどうなるのか

以前書いたようにオリンピック招致委員会を権利者とする「TOKYO 2020」の標準文字商標が登録されました。地名+年号という形態のみで登録された点に加えて、あらゆる商品と役務(サービス)が指定されている点も気になります。

商標は業務で使う名称やマークであり、商標権は商標を独占的に使用できる権利です。したがって、商標登録をする以上は、自分で使用(あるいはライセンス)することが想定されています。商標法の条文(3条)にも「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については(中略)商標登録を受けることができる」と書かれています(太字は栗原による)。

しかし、日本の制度では、実際には商標の審査において使用意思が厳格にチェックされることはありません。

一方、米国は厳格な使用主義となっており、登録のためには商標の使用、あるいは、仕様意思の宣誓が必要です。また、商標を実際に使用していないと他人に権利行使できません(その一方で、使用さえしていれば商標登録していなくても商標権を行使できます)。

日本(および他の多くの国)では、商標の使用を登録要件に事実上していない代わりに、一定期間使用されていない商標登録を他人の請求によって取り消せる制度を設けることで、自分で使ってない商標を登録して無駄に寝かせておく(結果的に他人の商標の選択の余地を狭める)状態を解消できる仕組みがあります。

日本では商標法50条の規定(通称、不使用取消審判)により、3年以上正当な理由なく使用されていない商標を取り消すことができます。不使用取消審判は誰でも(利害関係がなくても)請求できます。請求は商品・役務単位で行ないます。

請求側は商標の不使用を立証する必要はなく、権利者側が使用の立証の責任を負うことになります(第三者が不使用を証明するよりも、当事者が使用を証明する方がはるかに楽なのでこれは当然の規定です)。

したがって、今から3年後にTOKYO 2020商標が、たとえば「かんなくず」という商品に使われていないという趣旨の不使用審判を請求すれば、オリンピック招致委員会がTOKYO 2020が「かんなくず」の商標として使われていることを立証できない限り、「かんなくず」については商標登録が取消しになります(商標登録全体が取り消されるわけではありません)。

しかし、取消しできたからと言って、自分がTOKYO 2020の商標登録をできるかというと、おそらくは4条1項15号(他人の業務との混同)により拒絶されると思われます。商標登録はしなくてよいので使うだけならどうかというと、商標法上はクリアーできますが、不正競争防止法により訴えられる可能性があります。

ということで、TOKYO 2020(の一部の指定商品・役務)を不使用を理由に取り消すことは理論的には可能ですが、実際上の影響はほとんどありません。せいぜい、招致委員会に無駄な費用が発生するくらいですが、大会予算が3000億円ありますので痛くもかゆくもないでしょう。また、招致委員会側は再出願することも可能です。

なお、このエントリーの趣旨は不使用取消審判を請求しましょうというのではなく、こういう制度がありますよという説明のネタとしてTOKYO 2020を使っただけなので念のため。

自分が出願した商標が先登録類似商標があることを理由に拒絶されたが、調べてみると先願には使用実績がなさそうだというような場合には、不使用取消審判を請求して、成功すれば先登録類似商標が取消しになり自分が出願した商標が登録されます。これが本来的な不使用取消審判の利用法です。

なお、防護標章という制度もあります。使用を前提としない(使用していなくても不使用取消審判を請求されることがない)一方で、その商標が著名であることを必要とします(著名とは、SONYとか資生堂等のナショナルブランドレベルの話です)。オリンピック関連商標では「がんばれ!ニッポン!」が防護標章登録されています(「がんばれ!ニッポン」ってそんな著名なのという気もしますが)。

(追記)とここまで書いて思いましたがたぶん「TOKYO 2020」もいずれ防護標章登録をするという戦略なのでしょう。そうなるとこのエントリーの内容自体意味なしとなります(まあ、不使用取消審判制度の紹介記事ということでご容赦ください)。

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【小ネタ】流行語大賞便乗商標登録の過去事例を調べてみた

小ネタが続きます。流行語大賞になった言葉を関係ない人が商標登録出願したケースの過去事例について調べてみました(仕事に支障がないようにお昼休みにささっとやりました)。なお、IPDL(特許電子図書館)では、拒絶になった出願は早晩データベースから消えてしまいます。BRANDYなどの有料データベースを使うとこれらのケースもわかるのですが、金を払ってまでやるネタではないので登録になった事例のみ調べました。なお、類似称呼(読み方)だけ調べてますので漏れがあるかもしれません。

2012年: ワイルドだろぉ

類似商標で登録されたものはないみたいです。

2011年: なでしこジャパン

財団法人日本サッカー協会による正規の登録があります(第4845345号、第5478980号)。便乗出願があったかどうかは上記の理由によりわかりませんが、もしあったとすれば、4条1項15号(他人の業務との混同)により拒絶されていたのではないかと思います。

2010年:ゲゲゲの〜

「ゲゲゲの女房」は、原作本の出版社である実業之日本社および水木プロダクションにより多数登録されています。便乗で登録されたものもないようです(「ゲゲゲの」を含む商標で2010年以降に出願されたものはありません。)

2009年:政権交代

そもそもこれって「流行語」なんでしょうか?正規登録、便乗登録共にありません。

2008年:グ〜!、アラフォー

「グ〜!」はちょっと便乗かどうかの判定が難しいので断念。ところで、今思うとエド・はるみってどこがおもしろかったんでしょうか?

アラフォーは、いくつか登録されていますが、2009年後半の出願なので流行語大賞の便乗というわけではないでしょう。NECビッグローブによる「魔法のアラフォー マジカル熟女」なんていうAVのタイトルみたいなものも登録されてます(アニメのキャラだったみたいです)。

2007年:(宮崎を)どげんかせんといかん、ハニカミ王子

宮崎県内の飲食店が「どげんかせんとい館」を登録しています(まだ営業中のようです(食べログエントリー))

また、某食品会社が漬け物を指定商品にして「はじかみ王子」で登録しています。それから、「ハニカミ玉子」が2件それぞれ別の会社に登録されてます(ひとつは卵、もうひとつは菓子類が指定商品です)。「ハニカミ王子」そのままの便乗出願があったとすると著名なニックネーム(商4条1項8号)ということで拒絶されたと思います。

2006年:イナバウアー、品格

「イネバウアー」(化学品)、「イカバウアー」(釣り具)等の登録がありますが便乗なのかどうかはよくわかりません。前にも書いたとおり、「イナバウアー」は人名なのでそのまま出願すると4条1項8号で拒絶されます。

「〜の品格」のパターンは、男の品格、女の品格、「女性の品格」塾、医師の品格、コーヒーの品格、アロマの品格、音色の品格、みかんの品格、檸檬の品格、食後の品格、カレーの品格、OLの品格、秘書の品格、黒の品格と、多数登録されています(権利者には大企業も含まれます)。

きりがないのでこれくらいにしておきます。

これらの例からわかるのは流行語というものは、その時はインパクトがあってもあっと言う間に廃れていき、その後はどちらかというとマイナスのイメージが付いてしまうということです。流行語を便乗商標登録出願して一儲けなんて考えている人はこの点を肝に銘じた方が良いかと思います。

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【小ネタ】便乗商標登録出願のその後について

前回の記事で「倍返し」、「じぇじぇじぇ」、「今でしょ」、「おもてなし」といった流行語に発信元とは直接関係ない人が出願した便乗商標について書きましたが、その最新情報です。

「じぇじぇじぇ」については前回の記事に追記したように、久慈市内の菓子店による先願に拒絶理由通知(おそらくは、他人の業務との混同が理由(商標法4条1項15号)が出ています。このままだと、NHKが全部権利を取ってしまいますので、久慈のおみやげ屋も「じぇじぇじぇ」の商標的使用をあきらめて、「北限の海女」グッズや「久慈市はNHKドラマあまちゃんのロケ地です」という説明書きでライセンス料を回避するところが出てくるでしょう。(前回の記事で書き忘れましたが久慈に行ったとき「あまちゃんのロケ地です」という説明書きは散見されました、説明書きなので商標的使用ではない(NHKエンタープライズの商標権は及ばない)というロジックなのでしょう。)

「今でしょ」は、なんと先願出願人のサンヨー食品が11月11日付けで出願を取り下げていました。仮に「今でしょ」商標を取得できたところで、これから「今でしょ」ラーメンを販売してもしょうがないですし、企業イメージ的にもメリットはないので賢明な判断だと思います(とは言え、個人的には特許庁がどのような判断を下すかちょっと興味があったりしました。)

「倍返し」は最先の出願でも9月2日なので査定が出るのはもう少し先になりそうです。もし「じぇじぇじぇ」がNGで「倍返し」がOKということになったとすると、その境界線はどこにあるのかという気がします。なお、サンヨー食品も「倍返し」の出願をしていましたが、これも11月11日に取り下げられています(なぜかIPDLでは表示されないですが、商願2013-68042です)。

「おもてなし」は、今年の流行語とは言え、昔から普通に商標で使われている言葉なので必ずしも便乗とは言えないかもしれません。それでも、オリンピックの東京開催が決定した9月8日以降の出願は急増しています(今年の1月1日から9月8日までに出願された「おもてなし」を含む商標登録出願が7件であるのに対して、9月8日以降は78件です(実際にはまだ公開前のものもあるのでもっと多いでしょう))。

以下に、今年の9月8日以降に出願された「おもてなし」を含む商標を列挙します(重複分は削除)。

紀州南高梅 おもてなし
おもてなし卵
東京おもてなし大会
日本おもてなし学会
岩惣\おもてなし梅
おもてなし
小江戸おもてなし
世界おもてなし学会
京都おもてなし学会
おもてなしシェフ
おもてなし英会話
日本おもてなしホスピタリティ協会
おもてなしホスピタリティ
おもてなしホスピタリティ検定
ほんわかおもてなし
美緑のおもてなし
夢のおもてなし
緑のおもてなし
Fujisan no omotenashi\富士山のおもてなし
えびみりん焼でおもてなし
えび満月でおもてなし
三河屋のおもてなし
大阪のおもてなし\OSAKA no OMOTENASHI
なにわのおもてなし\NANIWA no OMOTENASHI
おもてなしブランド
おもてなし色
心のおもてなし
おもてなしの作法
おもてなしマイスター
畑のおもてなし
§kimono∞de∞おもてなし
東京おもてなし
おもてなしコレクション\OMOTENASHI COLLECTION
おもてなししぐさ
おもてなし東京しぐさ
おもてなし損保
おもてなし保険
おもてなしブライド
おもてなし英会話
ミスおもてなし\Miss Omotenashi
鹿児島のおもてなし牛
おもてなしほぐし
おもてなし\オモテナシ\OMOTENASHI\omotenashi
おもてなし合宿免許
おもてなし免許
おもてなしEnglish
健康お役立ちおもてなし企業
伊藤園 おもてなし
おもてなしの家
ひめのおもてなし
伊勢のおもてなし
おもてなしーと
おもてなしEnglish
おもてなしスタッフ
おもてなしアカデミー
おもてなし英語検定
おもてなしWiFi
ニッポンのおもてなし
おもてなしガイド
おもてなしクローバー
おもてなし葬
おもてなしの香り
おもてなしエステ
おもてなしオビツキューピー
おもてなしグリーン
旅のおもてなし
おもてなしクロス
おもてなしリューム
おもてなし.com§チョーヤ∞梅酒で\おもてなし
ちゃこうば\茶工場からのおもてなし
おもてなしの贈り物
おもてなし百選
京のおもてなし茶
おもてなしメイク

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倍返し、じぇじぇじぇ、今でしょ、おもてなし:便乗商標登録出願は成功するのか?(追記あり)

周知のように今年の流行語大賞は「倍返し」、「じぇじぇじぇ」、「今でしょ」、「おもてなし」の4つが受賞という判断停止状態の結果になりました。

さて、今でもよくあった話ですが、この手の流行語がその発信元(TBS、NHK、林修先生等)とは関係ない人によって商標登録出願されているのが話題になっています(参考記事)。便乗商標登録出願と言ってよいいでしょう。日本の商標登録制度は基本的に先願主義なので先に出願したもの勝ちです。

「今でしょ!」はサッポロ一番のサンヨー食品等により出願されています(本家の東進グループの親会社からも出願されています)。「倍返し」(およびそのバリエーション)もいくつかの企業や個人が出願しています。「じぇじぇじぇ」は久慈市内の菓子店が出願しています(その後、NHKエンタープライズが「じぇじぇじぇー!」のロゴ商標(下図参照)を出願していますが、おそらくは、先願の「じぇじぇじぇ」と類似ということで、商品・役務が類似する範囲(菓子等)ではNHKの方が拒絶になると思います)。

TM_DETAIL_IMAGE (1)

では、この種の便乗出願は最終的に登録されるのでしょうか?商標出願の審査では、法律上定められた理由によってしか拒絶されることはないので、便乗出願であることを直接の理由として拒絶されることはありません。

もちろん、便乗商標登録出願が結果的に拒絶されるケースもあります。たとえば、その流行語が人名や著名なニックネームであったりすると本人の許諾なしには登録されません(商4条1項8号)。過去に、登録されなかった例としては「イナバウアー」や「ハンカチ王子」などがあります(「ハンカチ王子」については特許庁の記録がもうないのですがたぶんこの理由で拒絶されたと記憶しています)。

また、歴史上の人物の名前、他人の著作権を侵害するもの(アスキーアート等による図形商標であれば該当し得ます)であれば、公序良俗違反(商4条1項7号)として拒絶される運用になっています。

加えて、他人の商品・役務と混同を生ずるおそれがある商標も拒絶されます(商4条1項15号)。

しかし、「倍返し」、「じぇじぇじぇ」、「今でしょ」、「おもてなし」については、上記の要件には当てはまらないと思いますので、先に出願した人が登録できてしまうでしょう。そもそも、「おもてなし」などは昔から登録商標として存在しますので、いきなりJOCあるいは滝川クリステル以外の人が登録できなくなりましたというのでは、おかしな話になります。

(追記13/12/05)日刊ゲンダイの記事によりますと、「じぇじぇじぇ」出願について先願の菓子店の方にも拒絶理由通知が出たようです。記録がまだ見られないですが記事から判断するに理由は上記の4条1項15号なんでしょう。

「先願の菓子店に拒絶理由通知書を送ったのは、<じぇじぇじぇ>がNHKのドラマで広く浸透したため、菓子店が<あまちゃん>人気にあやかってビジネスをしていると消費者が誤解する恐れがあると判断したからです」(特許庁担当者)

もちろんNHKエンタープライズ側にも類似先願ありの拒絶理由通知が出てますが、このまま先願が拒絶になるとNHKエンタープライズ側が全部権利を取ることになります。(追記終わり)

法律的な話は別にして倫理的な観点から考えると、言葉の出元に全然関係ない会社や個人が出願するのは問題と思いますすが、久慈市の菓子店が「じぇじぇじぇ」を出願したのは一応理解できます。「じぇじぇじぇ」は元からある言葉ですし、久慈に由来もありますし、自社が出願しておかないと全然関係ない他人に便乗出願されてしまうおそれがあるからです。

しかし、たとえば、「今でしょ」という商標の商標権を獲得できたからといって、これから「今でしょ」という名称の商品を販売するのは相当「寒い」のではないでしょうか。今、イナバウアーという名称の商品があったらどう思われるかを考えてみるとわかります。同様に、「倍返し」も「じぇじぇじぇ」も無事登録されたとしても、その登録時点ではかなり「寒い」状態になっていると思われます(ただし、「じぇじぇじぇ」については久慈の土産物の商標としてはしばらく有効でしょう)。なお、「おもてなし」は流行語エキスが薄い普通の言葉ですので特に問題ないとは思います。

ここから先は余談になりますが、実は、妻の実家が久慈なので、毎年帰省しています。今年は当然ながらあまちゃん関連グッズが大量に売られていましたが、「じぇじぇじぇ」グッズ、「北限の海女」グッズ等々、「あまちゃん」商標の使用を回避している商品が多く見られました(NHKエンタープライズは「あまちゃん」については既に商標登録しています)。「あまちゃん」ロゴ入りのグッズを販売していたある店の人から聞いた話ですが、ロゴを入れるのに結構なライセンス料を取られるそうです。NHKは番組自体は受信料で制作しているわけですし、久慈という舞台あってこそのドラマの成功だったわけですから、久慈の地元の店に対しては無償で商標権ライセンスするくらいのことはしてもいいんじゃないかなと思いました。

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