茂木敏充経済産業相がレストランのメニューに関する発明を個人で出願し、特許を取得したそうです(参照記事)。9月2日に出願し、11月29日に登録されたそうです。当然、早期審査制度を利用していると思うのですが、それにしても速いですね。
別記事によると発明の内容は、
タッチパネルの端末上にメニューを表示し、一部の宗教で食べることが禁じられている肉類など、外国人が苦手とする食材があれば外国語で知らせるサービス
だそうですが、さすがにこれだけですと、単なる設計事項であって特許取得は難しいと思うので、他にどういう工夫があるのかが気になるところですが、このケースのように、出願公開前に登録されてしまうと、IPDL(特許電子図書館)で見られるようになるまで大変時間がかかります。
登録番号がわからないので検索できないというものあるのですが、仮に登録番号がわかっていてもIPDLではかなりの長期にわたって内容を表示できません。特許登録から特許登録公報の発行まで2〜3ヶ月のタイムラグがあり、さらにIPDLの掲載が2週間に一度なので下手するとさらに1ヶ月近く待つことになります。
(追記)日テレのニュース動画で茂木大臣が会見で登録証を記者に見せていますが、その画面を拡大してみると特許番号は5422775号と思われます(当然IPDLではまだ見られません)。
IPDLに公報が載る前に特許の内容を知る方法として、IPDLの「審査書類情報照会」で最終的な補正の内容を見る裏技がありますが、出願公開がされていないとこの技も使えません。
ベンチャー企業等で特許を取得すると特許を取得した旨のリリースを特許番号を載せて出すことがよくありますが、このケースのように出願公開前に登録されてしまっていると、しばらくは中味がわからなくて競合他社はやきもきする状況になります(なお、登録公報が発行されていれば、IPDLでは見られなくても料金(オンラインだと600円、窓口だと900円)を払えば閲覧可能です)。
上記記事によると茂木大臣は、
日本の経済成長のためには「個人のアイデアを権利化する仕組みをより使いやすくすることが必要だ」と述べ、特許庁に審査期間の短縮や手続きの簡素化の検討を指示した
そうですが、3ヶ月弱で登録されてしまうとあまり審査期間短縮の必要性がわからないかもしれません。少なくとも「出願公開前に登録された特許は優先的に公報にする」ように指示してくれると助かるのですが。