【小ネタ】小保方晴子さんのSTAP細胞の特許出願が公開されています

#自分の知識では技術的内容に踏み込めないので小ネタ扱いですみません。

今話題の「リケジョ」小保方晴子さんのSTAP細胞ですが、当然ながら特許出願されています。昨年4月に出願され、10月に公開されたPCT出願”GENERATING PLURIPOTENT CELLS DE NOVO”(PCT/US2013/037996)が少なくともその一つです。米THE BRIGHAM AND WOMEN’S HOSPITAL, INC.、理研、東京女子医大の共同出願で、小保方晴子さんが発明者の一人としてクレジットされています。まだ、どの国にも国内移行されていないので実体審査は始まっていないようです。

クレーム1は以下のようになっており、めちゃ広いです(もちろん、従属クレームでいろいろな限定がかかってますが)。このクレームで権利化できたらどえらいことですね。

1. A method to generate a pluripotent cell, comprising subjecting a cell to a stress.(細胞にストレスを与える手順を含む多能性細胞の生成方法)

特許出願の具体的中身については自分の知識ではまったくコメントできませんので、この分野の専門家のご意見を期待しています。

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【速報】グーグルがモトローラ事業をレノボに売却(特許資産はキープ)

レノボがIBMのPCサーバ事業をを買収したと思ったら、今度はグーグルからモトローラ事業を買収です(参照記事)。グーグルは2011年にモトローラ事業を1兆円(今のレートだと1.2兆円)で買って3000億円で手放したことになります。

しかし、グーグルは携帯電話事業は手放しても特許ポートフォリオの大部分は維持するようです(参照記事)。約24,000件の特許資産のうち、レノボにも約2000件の特許権が譲渡されるようです。おそらく、携帯電話の製造等に直接関わる特許権(レノボにとっては必須だがグーグルは持っていてもしょうがない特許)なのではないかと推測します。また、商標権もレノボに譲渡されるようですがこれも当然です。

グーグルとしてはモトローラ買収のもともとの目的が特許資産の入手だったので今回の売却も想定内の行動だったのではないかと思います(TechCrunchの記事によるとずっと売りたかったけど税法上の理由によりすぐには売れなかったそうです)。旧世代の製造業を所有していてもグーグル的にはあまりメリットはありません(参考ブログ記事「「MotorolaにはGoogleだったら絶対採用しなかったであろう社員があふれている」:問題山積みのGoogrola」)。さらに、Androidのエコシステムという観点から言っても、Googleが携帯ハードウェア事業を維持しているのは事態をややこしくします。

と言いつつ、グーグルにとってモトローラの特許資産が本当に有効だったかどうかも微妙なところでもあります(参考ブログ記事「高い金で買ったMotorolaの特許が無駄になりそうでGoogle涙目(たぶん)」)。ただ、少なくともクロスライセンスにおける交渉材料としては有効かもしれません。

とまあ紙上で書いている分には合理的行動なのですが、1兆円で買ってすぐ3000億円で売る決断を下せるグーグルの意思決定能力はすばらしいと思います。

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加圧トレーニングの特許権は期間満了しています

SankeiBizに「【講師のホンネ】富澤正 加圧トレーニングはなぜ高いのか!?」なんて記事が載っています。加圧トレーニングは特許権で守られているためと説明されています。

しかし、以前に本ブログでも書いたように、当該特許権(2670421号)は昨年の11月22日で出願日から20年経過したことにより存続期間満了しています。なぜか、記事中ではこの点に触れられていません。image

今まで加圧トレーニングの方法を独占できた特許権の価値はきわめて大きかったと過去形で書くのなら良い(強力な特許権の価値を示す良い事例だと思います)のですが、以下の記載のようにこれから先もライセンスなしで実施すると特許権侵害で訴えられるような書き方は誤解を招くと思います(念のため書いておくとこの記事の日付は本日(2014年1月29日)です、ひょっとして大昔に書いた記事を再掲したのでしょうか?)。

それは、加圧ジャパンが加圧トレーニングについて特許権を持っているからです(特許第2670421号)。加圧ジャパンが認定していないトレーニングスタジオで加圧トレーニングを行うと、トレーニングスタジオは特許権侵害として訴えられます。

なお、記事中では「加圧トレーニング」「加圧ヨガ」等々の商標権が抑えられていることも書かれています。「加圧トレーニング」は普通名称化しているので商標権の効力は及ばないのではないかとの議論はありますが、それがどうであるかにかかわらず、たとえば、「コンプレッショントレーニング」等々、非類似の商標を使って、加圧トレーニングの方法を使った商売を行なう分には問題ありません。

なお、この特許は無効審判が請求されて(訂正の後)無効ではないとされ、その後、審決取消訴訟が起こされてやはり無効ではないとの判断がされています(その後、最高裁に上告という話でしたがどうなったかは不明)。いずれにせよ、無効かどうかはライセンシーに支払済みのライセンス料が返還されるかどうかには関係してきますが、去年の11月で特許権消滅という点には変わりはありません。

もちろん特許権者である加圧ジャパン(および、そのライセンシー)は今までの経験でノウハウの蓄積もあると思うので、それによって差別化を提供することは十分可能と思いますが、特許による独占状態はもう終わりです。一定期間の独占を許すことで発明者に発明(およびその公開)のインセンティブを与え、その一定期間経過後は自由技術とすることで産業の発達を促進するのが特許制度なので当然です。

追記:SankeiBizの当該記事には載ってないのですが、加圧ジャパンのサイトを見ると、改良特許が成立しているようです(5255722号)。加圧ベルトに制御装置を設けて加圧と除圧を繰り返すことで効果を上げることがポイントになっています。出願が2012年なので当面権利は存続しますが、今まで通りのシンプルな加圧ベルトを使ったトレーニング方法にはこの特許権は及びません。

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それほど重要な話ではないSamsungとGoogleの特許クロスライセンス

ITmediaに「GoogleとSamsung、広範な特許クロスライセンス契約を締結」という記事が載っています(一瞬AppleとSamusungに空目してびっくりしてしまいました)。実は、これはそれほどたいした話ではありません。

両社が現在保有しているものだけでなく今後10年間で取得される特許も対象になるようですが、それ以外の条件は公開されていません。クロスライセンスとは、要するに両社がお互い特許権を権利行使しない(訴えない)約束であって、そもそもGoogleとSamsungが互いを訴えることはどちらにしろ考えにくいので、このクロスライセンス契約は「SamsungとGoogleは(少なくとも今後10年間は)仲間だよ」ということを対外的にアピールするだけにすぎないと言えます。

Apple(およびMicrosoft)からの特許攻撃に対する防御という点ではこのクロスライセンス契約はほとんど関係ありません。そもそも、特許権を所有していることは他人の特許権を侵害しない保証にはなりません(ちょっとややこしい話ですが、当ブログの過去記事「【超入門】高度な技術を使っても特許侵害が回避できるとは限らない」)を参照してください)。また、特許訴訟に対する対抗措置として逆訴訟する場合でも、原告になれるのは特許権者であってライセンス先ではありません。

FOSSPatentsでは「SamsungとAppleの和解がうまくいきそうにないのでアドバルーンを上げたのでは?」との憶測が書かれていますが、ちょっと考えすぎじゃないかと思います。

また、これもFOSSPatensに書いてある話ですが、クロスライセンスの範囲がAndroid以外(典型的にはTizen)にも及ぶものであるとするとちょっとおもしろいことになりそうですが、契約内容の詳細が公開されていないので何とも言えません。

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スマートウォッチのキラーアプリケーションを見つけた(自分だけ?)

#今年はITの視点からも知財の視点からもウェアラブル関係のネタをいろいろと書いていきたいと思います。ブログのカテゴリーに「ウェアラブル」を追加しました。

WiredにSamsungのスマートウォッチGalaxy Gearの返品率が3割という記事が載ってます。対応しているアプリやスマホが少ないのが原因であろうとされています。

そもそも、スマートウォッチは話のタネになったりガジェットオタクの物欲を満たす以外に何かスマートウォッチならではの本当に役に立つ使い道、要するにキラーアプリケーションはあるのかという議論はあります。本ブログでもちょっと前に「スマートウォッチのキラーアプリケーションを考える」なんて記事を書きました。どんなテクノロジーもそうですがキラーアプリケーションがなければスマートウォッチは絶対普及しないでしょう。

それからつらつらとキラーアプリケーションを考えてみたのですが、ボイスメモって結構ありかもしれないと思い始めてきました。

思い返せば、大昔(まだ携帯電話がないころ)自分はカシオのDATABANKのボイスレコーダー付モデルを使っていた時機がありました。たとえば、電話番号メモしたりする代わりに録音したり、出先で急にアイデアを思いついた時に録音したり等々、それなりに便利に使えていました。

どうしてそんな昔の話を急に思い出したかというとfbのフレンドがランニングにボイスレコーダーを持って行って走ってる間に浮かぶアイデア(脳が活性化されるので斬新なアイデアが生まれそうなのはわかります)を録音してるなんて話を見たからです(ランニング終わってからメモ取ろうとしても忘れちゃってるそうです)。

ランニングに限らず普段の生活でスマートウォッチにボイスメモをどんどん録音できるのは便利かもしれません。バッテリーに対する影響も最小限だと思いますし。別にスマホで録音してもよいのですが、スマホを出してアプリを立ち上げるというステップがなくて済むのはだいぶ違います。iWatchにもボイスメモ機能が入っていることに期待してしまいます。

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