商標の分割出願における親出願の「同時」補正の要件について

特許の拒絶査定不服審判において補正を行う時(通常行うと思いますが)は、審判請求と補正は同時に行わなければなりません(17条の2第1項4号)。インターネット出願の場合、この「同時」とは、送信フォルダーで審判請求書と手続補正書の両方を選択して、1回の操作で送信することを意味します(参照:拒絶査定不服審判Q&A)。こうやらないで2回の操作で送信してしまうともはや「同時」ではないので、補正が却下されてしまいます。補正したい場合には、審判請求を取り下げて(手数料の返還なし)、手続をやり直すしかありません。ちょっと厳しい運用で気を遣うところです。ミスした人もいるのではないでしょうか?

さて、本題ですが、商標の分割出願においても、「子出願に係る指定商品・指定役務が、子出願と同時に手続補正書によって親出願から削除されていること」という要件があります。この「同時」も上記の審判請求と同様に厳格に解釈されるのかと、特許庁に聞いてみましたが、同様に「子出願の願書と親出願の手続補正書を同時に選択し、一度のオンライン出願操作で送付することを想定しております」とのことでした。

といういことで、注意が必要かと思います。これ、いかにもミスしてしまいそうですが、特許庁サイトのどこかに書いてあるのでしょうか?

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旧マドプロの英国国内商標の更新について

こんな封筒の航空便が届きました。今まで見たことがないデザインなのと、Intellectual Property Officeという識別性を欠く名称なので、公的機関を語って商標や特許の更新料をだまし取るよくある詐欺かと一瞬思いましたが、英国知的財産庁からの正式な通知でした(封筒のどこかにUKと書いておいて欲しいです)。

内容は英国国内商標登録の更新期日のお知らせでした。BREXIT前に、マドプロでEUを指定して登録されていた商標は、BREXITに伴い、自動的(かつ無料で)英国国内商標に変換されましたが、その時点でマドプロ国際登録との関係は切れましたので、更新はマドプロとは別に行う必要があります。その期日の通知です。

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意匠の国際登録の内容はHague Expressを見るだけでは不充分

意匠の国際登録(ハーグ)関連(外内)で特許庁に手続補正書を提出したところ、「意匠の説明」の補正において、国際登録の55)LEGEND(図の説明)の部分が反映されてないけど大丈夫かと特許庁担当者から連絡が来てしまいました(審査官には事前に手続補正書を見てもらっていたのですが)。

意匠の国際登録において、日本の手続補正書の「意匠の説明」に相当するのは、57)DESCRIPTIONと55)LEGENDなので、補正をする場合は両方をまとめて行なわなければなりません(これは知ってました)。しかし、Hague Expressの検索結果では55)に相当する項目がなかったので(必要な情報は全部57)に書いてあったこともあり)、55)はもともと記載がないのかと思ったらそんなことはなかったわけです。

要するに国際登録の内容を完全にチェックするためには、Hague Expressの検索結果を見るだけでは不充分で、Hague Bulletinの内容を見ないといけないということです(WIPOの日本事務局にも確認しました)。

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Windowsにおけるフォントの選択について

MSゴシックやMS明朝等のWindowsの伝統的フォントは汚くて萎えますよね。この点ではMacに大きく遅れを取っていると思います。メイリオや游ゴシックなどのモダンなフォントにすると大部マシになります。パワポのプレゼンやお客様に出す印刷物にモダンなフォントを使うだけでもプロフェッショナル度がかなり増します。

作業中のWord文書等でも、モダンなフォントで使うことで仕事のやる気が増す気がします(私はWordのテンプレートを書き換えて全部メイリオになるようにしてます)。個人的には、游ゴシックよりもメイリオの方が好みですが、游ゴシックですと、メイリオではできないイタリック体が使えるという優位性があります(日本語で文字修飾にイタリック体を使うのはデザインセンスとしてどうかという問題はありますが)。

モダン日本語フォントに共通するちょっと困った点として、数字の半角と全角の区別が付きにくいということがあります(文字列のプロポーションが美しくなるように間隔が最適化されているのでしょうがないですが)。特に明細書を作成するときは、121のように数字の半角と全角が混在してしまうとかっこ悪いので、最後にに全文MSゴシックで表示し直して半角・全角をチェックするようにしています。

また、Wordでメイリオや游ゴシックを使うと妙に行間が空いてしまい、段落の行間隔の設定でも直せないことがあります。これは、レイアウト→ページ設定のダイアログ→文字数と行数の指定で「標準の文字数を使う」を選択すると直ります。これに限らず、マイクロソフト製品のUIって非直観的で「わかるかー!」ってやつが多いですね。

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コロナを理由とした期間徒過について

ある海外クライアントの案件、期日が迫ってきているにもかかわらず何回催促しても返事が来なかったので焦っていたら、ようやく返事が来たのですが、「コロナに罹患して隔離されていた」とのこと(メールのやり取りもできない状態だったということでしょう)。まずは一安心なのですが、これで万一期日を逃していたらどうなっていたのか気になりました。

現在は、ほとんどの法定期限が「正当な理由」があれば、期日を徒過しても、所定の書類を出せば救済されます。しかし、今回は在外者なので入院証明書のようなものをもらうのがめんどくさそうだと思っていましたが、現在の特許庁の運用は、コロナを理由とした期間徒過は証明書がなくても認められる運用のようです。

令和2年4月24日より、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた場合における「正当な理由」の判断については、当面の間、証拠書類の提出は必須としないことといたしました。そして、手続をすることができなかった手続の期限から、新型コロナウイルス感染症のまん延の影響を受けたとは考えにくい場合等を除き、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた旨が記載されている場合は、当面の間、救済を認めることといたしました。

言うまでもなく、今や自分がコロナに感染する可能性もあるので喜ばしい(というか当然の)運用と思います。

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