来年の4月1日からは期間徒過しても大丈夫(一応)

日本の特許制度では審査請求、翻訳文提出、優先権期間等々の期日が諸外国と比較してめちゃくちゃ厳しく「正当な理由」があれば救済されるものの、実際には天変地異(とコロナ)くらいにしか適用されません。期限がテキトーでよいのは特許査定(登録査定)後の料金納付くらいでしょうか?法律上は30日ですが実務上は3カ月くらいは待ってくれますし、ごていねいに督促ハガキまで送ってくれます。

裁判所サイトの知財関連判決文を見ていると、海外の出願人が、代理人との連絡ミスで翻訳文提出を期間徒過してしまい、それが「正当な理由」として認められなかったので、行政訴訟したがやはり認められなかったといったパターンがよくあります。海外の出願人(代理人)の中には「万一期間徒過しても上申書出して謝って、ペナルティ料金払えば何とかしてもらえるんやろ」と甘く考えている人がいるようです。これから考えても、日本の特許庁は期日に対して異常に厳しいということがわかります(なので、弊所も、海外代理人とのメールのやり取りのたびに日本では期間徒過したらリカバリできないことを口をすっぱくして説明してきました)。

しかし、このような状況も法改正により、諸外国並みになります。具体的には、「正当な理由」ではなく「故意でないこと」が要件となるので、たとえば、事務所によるうっかり事故も救済されることになります。

この改正の施行日が来年(2023年)の4月1日になりました。対象となる主な手続は、出願審査請求、翻訳文(外国語書面出願およびPCT国内移行)、優先権(国内+パリ)、特許料追納等です。回復期間は最長で1年です。料金は21万2100円です。ペナルティが結構高額なのでめったに使えるものではないですが、出願審査請求を失念して損害賠償請求されるといった最悪の事態が避けやすくなったことは事務所的に喜ばしいと思います。

その一方で、クリアランス調査において、出願審査請求期間を過ぎているから、あるいは、更新されなかったから安心と思っていても1年以内であれば権利が復活する可能性がわずかにあるので、その点は注意が必要でしょう。

カテゴリー: 知財, 特許 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です