今年のOracle Open Worldでは、Salesforce.com社がゴールデンスポンサーの1社になっています。3日目には、同社CEOのマークベニオフによる講演が行なわれました。マークベニオフと言えば、”No Software”の旗印の元に、高額なライセンス料と保守料金に基づく従来型ソフトウェアベンダーを声高に批判してきたことで知られています。まさに、Oracleのビジネスモデルと相反する存在です。
ベニオフCEOが何を話すのかに興味津々だった人はやはり多かったようで、雨天にもかかわらず会場には長蛇の列が。
記者席が最前列だったので下から見上げるように写真を撮る形になりましたが、ベニオフCEOがますます大きく見えてプロレスラーのようです。
当日の悪天候にかけて「クラウドを集め過ぎちゃったかな」とのジョークから話し始めます。
メインフレームからクライアント・サーバの時代を経て今日はクラウドの時代ですといういつものピッチから始まりますが、「こういう古い世界とクラウドとの共存を目指します」といつもとちょっと感じが違います。
そもそも、この講演のテーマも”No Software”ではなく、”The Best of Both Worlds”、つまり、オンプレミスとクラウドの良いところを組み合わせようというものです。ブレてると言えばブレてるのかもしれませんが、自社のイベントでは理想論を語り、ここでは現実論を語るということなのでしょう。
「長期的にはクラウドだけど当面は共存共栄」だと思っていても、そのまんま講演等で話したのではウケない(メディア等の注目を集められない)ので、「これからはクラウドしかない」と(ウソにならない範囲で)極端な物言いに走るのはほぼすべての米国系ITベンダーで見られるお話しであります。
そもそも、Salesforce.com社はOracle DBMSの大型ユーザーでもありますし、ラリーエリソン氏は同社の株主にして、創業時の役員でもあり、ベニオフ氏の心の師でもありますので、両社の関係は険悪というものではまったくありません。