時限立法の産業競争力強化法によって小規模事業者の審査請求料金が3分の1になるのはなかなか魅力的な制度です(参考ページ)。この制度は在外者であっても、日本法人と同じく以下の条件であれば利用可能です。
a.小規模の個人事業主(従業員20人以下(商業又はサービス業は5人以下))
b.事業開始後10年未満の個人事業主
c.小規模企業(法人)(従業員20人以下(商業又はサービス業は5人以下))
d.設立後10年未満で資本金3億円以下の法人
※c及びdについては、支配法人のいる場合を除きます。
日本の法人や個人事業者であれば必要な書類は特許庁のサイトに描いてありますが、在外者の場合には何を提出すればよいのかは具体的には書いてありません。米国法人の場合は何を提出したらよいのか特許庁に聞いてみたところ「一般的な回答はできない、個別に判断する」とのことでした。
ということで、上記のd.のタイプの米国法人について、U.S. Corporation Income Tax Return(Form1120)を米国国税庁に提出した時の写しを証明書類として提出してみたところ、軽減請求が無事通りましたのでご報告します。英語の証明資料には訳文が必要なのですが、全部訳すと大変なので当該部分のみマーカーを引いて訳したところそれで問題なかったようです。
必要だったのは、1ページ目のC:Date Incorporated(設立日)、D:Total Assests(総資産)、4ページ目の5.の記載(支配法人がいないことの証明)だけです。ここにマーカーを引いて翻訳と説明書きを加えました。
なお、出願審査請求において審査請求料金軽減を請求して、万一、軽減請求が通らなかった場合、手数料補正により残りの審査請求料金(3分の2)を支払うことが必要です。手数料補正をしないと出願審査請求自体が手続却下になりますが、この場合でも既納の料金は返還されないのでご注意ください(特許庁確認済)。一般に、審査請求料金は多く払いすぎると払い過ぎた分が返金されますが、足りなくて追加分を払わなかった場合は既納分は返ってきません。出願人が「3分の1になるなら審査請求してもいいけど、フルに払うことになるのならしたくない」という意思である場合には注意が必要です。