注:本エントリーは2011年2月18日付けのものです。
昨日のtwitterでSteve Jobsの余命が6週間という情報が一部で駆け巡りました。ソースは、このあたりの記事です。だけどこの記事も一次情報ではなく、元々のソースはNational Enquirer紙の記事です。
米国で生活したことがある方はご存じと思いますが、National Enquirer紙はスーパーマーケット・タブロイドと呼ばれるメディアの一種です(Wikipedia(英語版)の参考エントリー)。スーパーマーケットのレジ付近に置いてあることが多い芸能ゴシップ紙で、100%ウソとはいえないまでもかなり現実を誇張したり憶測を交えた煽り記事を書く新聞であります。
日本ではぴったり合致するメディアはないですが、敢えて言えば東スポに近いです。たとえば、三浦知良が「次の試合は引退試合のつもりで気合い入れていく」と発言したら、カズ引退の覚悟と見出しをつけてしまうような感じです(まあウソとは言えないんですが・・・)。
National Enquirerの元記事はWebでは見れないようなので、引用している記事の方から推測すると、ジョブズがStanford Cancer Centerにいるのを発見した、激やせしていた(これは周知のお話し)、膵臓癌は一般に予後が悪い、だからジョブズも余命6週間くらいの可能性もあるかもしれないという程度の記事のようです。
言うまでもなくソースを確認するのは「ウソをウソと見抜く」ための鉄則です。米国発のニュースでソースがスーパーマーケット・タブロイドであればちょっと疑ってかかった方がよいでしょう。Wikipediaでは米国のスーパーマーケット・タブロイドとして、Star、Sun、The Globe、The National Enquirer、Weekly World News、The National Examinerが挙げられています。ちなみに、私が知る限りで一番めちゃくちゃなのはWeekly World Newsで「エルビスを火星で発見」とかそういう次元の記事ばかりが載っています(どういう層をターゲットとしているのか、みんなネタとして読んでいるのか、真に受けている人もいるのかよくわかりません)。
余談ついでに言うと映画「メン・イン・ブラック」で、トミー・リー・ジョーンズ扮する捜査官がスーパーマーケット・タブロイドを大量に買い込んで「エイリアンに関してははこれが最も信頼できるソースだ」なんてウィル・スミスに説明するシーンがありますが、アメリカではここがドカーンと笑いを取るシーンなんだろうなと思ったりしました。
(11/08/28追加)
「ジョブズ 余命」のキーワードでこのエントリーに入ってくる人が増えてきているので最新情報を書いておきます。ジョブズのやせ細った姿の写真がTMZ.comというサイトに載り、twitter等で拡散されて、(私を含む)多くの人がショックを受けたようですが、どうやらこの写真は加工されており、ジョブズが実際以上に弱っているように見せたものであるようです。TMZもタブロイドということのようです。
(11/10/06追加)アクセスが増えてきたので追加しました
ジョブズ氏逝去に心よりお悔やみ申し上げます。”Stay Hugry, Stay Foolish”は私の座右の銘です。ZDNetに追悼文のようなものを書きましたのでご興味ある方はご一読ください。
ピンバック: Tweets that mention 【雑談】スティーブジョブズ余命報道について | TechVisor Blog -- Topsy.com