ホテルでのゲーム貸し出し事件のその後

ホテルがゲームを客に貸し出していたことが著作権(上映権)侵害に問われ警察の捜索を受けたという件の法律的意味について、このブログで解説しましたが(「ホテルが客にゲーム機を貸してプレイさせるのは犯罪になり得るようです」「なぜ本を貸すのは良くてゲームを貸すのはダメなのか」)、ホテルの役員が逮捕されるに至ったようです(参照記事)。

著作権侵害で刑事罰を適用するためには故意が要件とされるのですが、故意性の証明はどうなんでしょう?まあ、それは裁判で決まる話で警察が故意であろうと合理的な疑いを持って裁判所を説得できれば逮捕はできてしまいますが(なお、もし、権利者から警告を受けていたにもかかわらず無視していたというのならば故意性を疑われてもしょうがないとは言えます)。

ちなみに、著作権侵害に対して権利者側が取れる対策とその要件をまとめると以下のようになります。

差止め請求故意も過失も不要
損害賠償故意または過失が要件
刑事罰故意が要件

ホテルが家庭用ゲーム機を貸し出して客にプレイさせるのはよくあるサービスのようですが、形式的に違法であるとは言え、逮捕にまで至った事例は他に知りません。今回のホテルは偽装ラブホテルだったらしいので別件逮捕的な要素はあると思われます。

こういう形式的には違法だけど世の中的には大目に見られているという状況は、警察がこいつを逮捕したいなあという時に利用されてしまう可能性は常にあります。特に、著作権法は誰でもある程度は違法行為をしている状態ですし、さらに刑事罰もありますので、警察にとっては「便利」な法律と言えそうです。

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