「ダウンロード行為だけで刑事罰に問われることはない」ということはない

P2Pソフトを使って公開前の映画を放流して逮捕された人が、既にダウンロード済だがアップロードはしていない(アップロードの行為が証明されていない)行為についても追起訴されたという事件がありました(参照記事)。

著作権侵害には未遂罪はないですし、30条1項3号のいわゆる「違法ダウンロード」は刑事罰の対象外ですし、113条1項2号の海賊版の頒布目的所持によるみなし侵害は物理的な物品(DVD等)しか関係ないはずなので、これは検察の法の拡大解釈ではと一瞬思ってしまいましたが、よく考えてみればそんなことはありませんでした。

今回は、容疑者自身が「『ダウンロードしたものを流すのは共有ソフトユーザーの常識』と、流出目的でダウンロードしたことを明確に認めていた」そうなので(誘導尋問で心にもないことを言わされたのではないかという話は別論)、そもそもダウンロード行為が私的使用目的の複製にはあたらず、権利者の許諾は得ていないことから当然に複製権を侵害することになり、故意であれば刑事罰の対象になります。法解釈としては全然間違ってません。

一般に、著作権者に無断でのアップロード(公衆送信)は刑事罰の対象だが、ダウンロードについては民事上の責任は負っても刑事罰の対象にはならないという認識があるかもしれませんが、これはあくまでもダウンロード行為が私的使用目的である場合に限ります。

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