米国航空情報ウェブサイトが示すオープンデータの価値

#ひさしぶりに知財以外のお話です。

昨日の関東地方の大雪に関してちょっと話題になったサイトがありました。世界中の飛行機の(ほぼ)リアルタイムの位置を地図上で表示してくれるFlightrader24というサイトです。大雪だった1月14日にこのサイトの画面を見ると成田に着陸できない飛行機が関東上空を旋回していたり、その一部は関空に迂回したりしていたのがリアルタイムで見られたというわけです。

このサイトの仕組みですが、ADS-B(放送型自動従属監視)という航空機が発進する電波を傍受することで実現しているようです。米国の国内線の一部はFAA(連邦航空局)の提供データを使用しているようです(ただし、5分遅れ)。

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このサイトを見て、ちょっと地味ですが、より有用そうなサイトのことを思い出しました。flyontime.usというサイトです。このサイトでは米国の国内空港ごとに平均遅延時間やキャンセル率の平均を曜日、時刻、天候単位で調べたり、航空会社ごとの定時到着率を調べることができます。たとえば、「ボストンからロサンゼルスに行く便がキャンセルになる確率は平均2%、ただし、雨の日は6%になる」なんてことがわかります。遅延やキャンセルが日常茶飯事の米国の国内線を頻繁に使う人にとってはかなり役に立ちそうです。

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分析のための履歴データは、米国政府が無料で提供する航空データを使用しています。日本でもようやく注目を集めつつある、いわゆるオープンデータの応用です。

それほど大量のデータを扱っているわけではありませんし、分析のアルゴリズムもシンプルですが、消費者にとっての価値が高いサイトだと思います。結局、オープンデータの価値とはデータを再利用しやすいように(≒XML形式で)提供することにつきるということがわかります。こうしておけば、利用する側で好きな切り口で分析できますし、地図上でビジュアライズすることもできます。他のデータと統合してさらに価値を高めることもできます。

公共性が高い重要なデータをなぜかPDFファイルの報告書形式で公開したり、イメージ形式で公開したりしてデータの再利用を阻害している「わかってない人々」にオープンデータの価値をわかりやすく説明するには、このflyontime.usというサイトは良い事例になるのではないかと思います。

#(CM)最近、ちょっとオープンデータ関係を調べてますので、ご関心ある方はお問い合わせください。

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SmartNewsは合法なのか

iPhone用ニュースリーダー・アプリのSmartNewsが話題になっています。様々なサイトからのニュースを集約し、ローカルのキャッシュに保存しておくことで、iPhoneが圏外の時でもニュースが読めるのが特徴です。単なるローカルのリーダーではなく、SmartNewsの提供元からニュースをまとめて再配信しているという点で物議を醸しています(参考記事)。

問題点としては、1) 各ニュースサイトの著作権(公衆送信権)を侵害しているのではないか、2)広告を削除した上で再配信しているので各ニュースサイトの広告ビジネスを不当に妨害しているのではないかという2点に集約されるかと思います。

まず、著作権の問題について検討します。

今までもSmartNews類似のニュース・アグリゲーション・サービスはありましたので、著作権的に見てそれらのサービスとSmartNewsとの違いを検討してみます。

1) Flipboard
SmartNewsのサービス内容やすっきりとしたUIからFlipboardを連想した人は多いのではと思います。ただ、Flipboardは基本的にコンテンツ権利者の許諾の元に配信し、広告収益を分け合うというビジネスモデルです(一部コンテンツはRSSから取得しているようです。)要は、Flipboardがやっているのは(権利者許諾済の)シンジケーションであって、SmartNewsのように勝手にコンテンツを取得してきているわけではありません。

2) Google News
Google Newsはサーチエンジンの派生サービスと考えられます。サービス上で表示されるのは記事の一部(スニペット)だけで、記事本体はサイトに行って読む設計です。諸外国では問題になったことはありますが、米国ではフェアユースとして、日本では(検索エンジンの合法性の根拠である)著作権法47条の6により合法と解釈できると思います。なお、Google Newsに載せてほしくないサイトはオプトアウトすることもできます。
SmartNewsは一応、元サイトへの誘導も行なっているようですが、元サイトをアクセスするまでもなくキャッシュだけで全文読めてしまう点でGoogle News系とは違い、サーチエンジン派生サービスと解釈することは困難かと思います。

3) RSSリーダー系
そもそもRSSはコンテンツ権利者が、シンジケートされて広く読まれることを前提に自由意思で公開しているものなので、これを読み込んで集約することで、著作権侵害になることは考えにくいです(内容を改変して再配信とかになるとまた別ですが)。RSSリーダー経由で読まれたくないサイトはRSSフィードを提供しなければ良いだけの話です(日経新聞のように)。
おそらく、SmartNewsは、RSSフィード公開しているか否か、RSSで全文公開しているか否かに関係なしに全文読めるようになってますのでこれまた問題です。

上記を考えると、普通に解釈するとSmartNewsの提供元は各ニュースサイト提供者の著作権(公衆送信権)を侵害しているように思えますが、SmartNews提供元からのメッセージでは、「著作権専門の弁護士とも相談しながら決定しており、現行の著作権法上、合法の範囲内であると弊社では考えております」と書かれています。

どういう根拠で合法と考えているのかちょっと理解しかねます。CDNやキャッシュサーバの合法性の根拠である著作権法47条の5かなと一瞬思いました(twitterにも書いちゃいました)が、これはあくまでも複製の権利制限規定であって、公衆送信については別途許諾が必要なのであまり関係なかったですね。正直、この「著作権専門の弁護士」の意見を聞いてみたいです。

次に、2)のビジネス的な面ですが、重要なポイントとして「著作権侵害がないからと言って法的にセーフとは限らない」ということに注意が必要です。たとえば、読売新聞の見出しを許可なく集約して提供したサイトに対して、著作権侵害は認められなかった(そもそも、見出しが著作物とは認められなかったため)ものの一般不法行為(民法709条)として損害賠償責任(ただし、6800万円の請求に対して約24万円という微々たるもの)を認めた知財高裁判決があります(参考記事)。

基本的にケースバイケースの判断になりますが、他人のビジネスを不当に妨害している、不当利得を得ている等、裁判の場で判断されれば損害賠償の責を負うことはあり得ます。

個人的見解ですが、ユーザー自身が閲覧の際に広告を排除して閲覧すること(私自身もEvenote Clearly等はよく使います)と、サービス提供者が他人のコンテンツを許可なく広告カットして広くあまねく再配信するのとは、明確に分けて考えるべきと思います。

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2012年を振り返りつつ2013年もがんばります

あけましておめでとうございます。今年もがんばりますよ。

今年の抱負を書こうと思って去年の正月に何を書いたか見てみたら、あまり今年も書くべきことは変わらないですね。要は、ITコンサルタント、弁理士、翻訳家の三足のわらじで馬車馬のように働くということであります。ただ、去年は、5:3:2くらいだった収益割合を今年は4:5:1くらいにしていきたいとは思っています(要は弁理士仕事強化、翻訳控えめ)。

抱負という点で言えば、もう少しIT系と知財系のシナジーを高めていきたいと思っています。そもそも、独立した時はITアナリストと弁理士としてのコンピテンスを生かして、企業や個人開発者に知財とIT面をワンストップでお手伝いをするみたいなビジネスモデルを考えていたわけですが、全然実現できていません。

実は、某弁理士グループから、「コンサルタントと弁理士の両立について講演してくれないか」という依頼があったのですがお断りせざるを得ませんでした。弁理士の世界でも元々の本業である出願代理だけに頼っていては駄目で、今後は知財コンサルや経営コンサルの世界に乗り出すべきという動きがあります。そのモデルケースとして私に白羽の矢が立ったのではと思いますが、全然、モデルでも何でもなくて、前職の延長線上でITアナリスト/コンサルタントを続けつつ、それとは別に弁理士業もやっているという感じなので、とても講演をするようなレベルではありません。単に二倍忙しくしているだけです(翻訳も入れれば三倍)。長期的に見てこれがよろしくないのは認識していますので、今年はIT+知財シナジーでいろいろ仕掛けていきたいと思います(まだ内容はヒミツ)。

2012年を振り返るとこんな感じでした。

ITアナリスト/コンサルタント業

超大手企業様向けにコンサル案件を2件、具体的内容はここでは書けませんが、ITのメガトレンド的な話しです。1)ITのほぼ全方位的チェック(開発系はちょっと弱いかも)、2)海外情報については日本の孫引き情報ではなく現地情報に直接当たれる、3)IT系の人にもビジネス系の人にもわかりやすい成果物、等々については前職で経験を積んでおり、十分高品質を維持できていると思います。特定ベンダーの色が付かない中立的分析というニーズには今後も答えていきたいと思います。

昨年度やった寄稿・講演(のうちオープンにできるもの)は以下のような感じです。

2013年最初の講演は、たぶん、3/7のTeradataのイベントです(詳細は追って)。ビッグデータのデータ管理やプライバシーなどの「セクシーでないところ」の話をする予定です。

弁理士業

あまり出願代理はやってなくて訴訟や調査のお手伝いが中心でした(内容は守秘義務があるのでブログには書けません)。IT系+英語ということでそれなりの差別化はできているのではと思います。もちろん、今年は出願代理業務もどんどんやっていく予定です(基本IT系専門)。商標、意匠の出願代理、著作権の契約関係のお手伝いもやってます。また、中国・米国を中心とした海外案件もやってます。現地代理人とは直接英語でコミュニケーションしてますので、コスト面、スピード面で有利かと思います。

翻訳業

産業翻訳については、業界全般の問題としてアジアとの競合により、とりあえず日本語になってればいいので安く早くみたいな案件については、日本の翻訳者は条件的にかなり厳しい状況になってきてると思います。自分にとっては、英語脳を維持する上でも翻訳仕事は大事なので、今後も続けていきますが、高付加価値案件限定になるかと思います。

また、今までほぼ年一冊のペースでやってきた単行本翻訳、本当は昨年に出ているはずだったのですが、私のスケジュール遅れにより今年にずれこみました(どうもすみません)。10年先を見越したかなりグラウンド・ブレーキングな本がまもなく出ます。その時は本ブログでも解説記事を書く予定です。

個人的な話

昨年正月のブログ記事を見ると1日の個人的ノルマとしてに以下のような誓いを立てていました。

  1. Sax基礎連30分
  2. Organ基礎連30分
  3. 腹筋15分
  4. ウォーキング30分
  5. 仕事に関係ない読書1時間
  6. ラーメンは週一まで(二郎系についてはは2週に1回まで)

実は1から4、そして、6は結構できました。5は全然できてないのでちょっとまずいと思っています。Kindleの日本語化により読書環境もかなり改善されました(自分は老眼きてますので紙の本はつらくて、電子書籍でフォントをめちゃくちゃでかくしないと長時間読書できないのです)ので、今年は何とかしたいと思っております。

ということで、2013年もよろしくお願いいたします。

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【超入門】高度な技術を使っても特許侵害が回避できるとは限らない

#今回の記事はめちゃくちゃ初歩的な内容なので特許の専門家の方は読むまでもないと思います。

セガとレベルファイブに関する記事を見ていて思ったのですが、一般に他人の特許権を侵害するとはどういうことかについて誤解している人がいると思えるので、ここで解説しておきます。

他人の特許権を侵害するとは、特許発明のクレーム(請求項)に書いてある構成要素を全部実施することです。一部しか実施しない場合には特許権侵害にはなりません(間接侵害などの例外はありますが説明は割愛します)。

説明のために「椅子というものがない世界」を考えてみます。

ある人(A)が椅子というものを発明し、特許化したとします。クレームの内容は「複数本の足+座面+背もたれ」だったとしましょう。そうすると、この特許権が有効である間はAからライセンスを受けてない人がこのような椅子を製造・販売・輸出入・使用等するとAの特許権を侵害することになります。

では、別の人(B)がこの椅子のアイデアを改良し、ひじ掛け付椅子を作ったとします。ひじ掛け付き椅子はひじ掛けなし椅子より座りやすいので大ヒットしたとします。それでもBの作った椅子を生産・販売等する行為が、Aの特許権を侵害するのは変わりません。ひじ掛けがついてようがついていまいが「複数本の足+座面+背もたれ」という要素が含まれているのは同じだからです。

同様に、キャスターを付けたり、リクライニングを付けたり、高さ調整を付けたりして、椅子という「テクノロジー」をいくら高度にしたところで、「複数本の足+座面+背もたれ」が含まれている限り、Aの特許権は侵害してしまいます。「特許されているのは基本技術でうちの製品の技術はもっと高度(だから特許侵害にはならない)」と言うのはあまり意味がない主張であることがわかります。

もし、BがAの特許権を回避したいのであれば、Aの特許のクレームに含まれてる要素をすべては含まないようなアイデアを考えることが必要です。たとえば、背もたれがない椅子を作れば、Aの特許権は回避できます。なお、Aの立場から言えば、他人に回避されにくいように、背もたれは本当に必須かどうかを考えて、複数本の足+座面というクレームも含めて特許出願すべきであったと言えます。一般に、特許権はシンプルであればあるほど強力(回避しにくい)です。

さて、ここで、Bがひじ掛け付椅子を特許出願したらどうなるでしょう?ひじ掛けを付けるというアイデアに進歩性が認められれば特許化されます。しかし、特許化されたところで、BがAのライセンスをもらわない限りひじ掛け付き椅子を製造・販売等できないのは同じです。特許権を取れたからと言って自分がその発明を実施できるとは限りません。

では、Bがひじ掛け付椅子の特許を取得することに意味がないかと言えば、そんなことはありません。今度はAがひじ掛け付椅子の製造・販売・輸出入・使用等を行なうために、Bのライセンスが必要になるからです。

AがBのライセンスをどうしてもほしいということになれば、AがBにひじ掛けなし椅子のライセンスを許諾する代わりにBがAにひじ掛け付椅子のライセンスを許諾するというクロスライセンスが現実的になります。こうすれば、Win-Winの状態になります。

ここで説明したかったポイントは、(1)既存の特許発明に要素を加えて改良しても特許権は回避できない、(2)発明を特許化できたからと言ってその発明を実施できるとは限らない(他人の実施は禁止できますが自分が実施できる保証にはならない)という点です。特に、(2)については誤解している人が多いと思うので注意が必要です。

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【再掲】Spotifyを日本で聴く場合の違法性について

# 本記事は以前アップした記事の内容を再編集したものです。元記事の追記が多く読みにくくなっていたので追記の内容を本文にまとめました(全体的内容は変わっていません)。元記事も記録としてそのまま残してあります。

音楽系のサービスでは、権利者側のビジネス上の理由から特定の国だけにストリーミング配信を行なっており、日本では視聴できないものがあります。配信先のチェックは基本的にIPアドレスを見て行なうのでプロクシ等々を使えばチェックを回避して、日本で視聴できてしまいます。倫理的にどうなのかという話は別にして、こういう行為を行なった時に著作権法的にどう扱われるのかといった点について検討してみたいと思います。まずは、Spotify特有の話ではなく、あらゆるストリーミング配信サービスに共通の話からします。

そもそも、ストリーミング方式でコンテンツの視聴をするだけであれば、著作権法上は違法とされることはないと思います。著作権法は原則として視聴行為をコントロールしないからです。視聴する際のキャッシュの複製については著作権法第47条の8により認められているので問題ないと思われます(100%大丈夫だと保証しろと言われるとちょっと困りますが)。

ただし、コンテンツの視聴をするために会員登録が必要で、その前提として会員規約に同意することを求められており、会員規約に「私は米国に居住しています」なんてことが書いてあれば、サービス提供会社との間の契約違反にはなり得ます。なお、この場合でも著作権侵害にはなり得ません(著作権法には「視聴をする権利」は定められていないからです)。

ここまでは一般的なお話ですが、Spotifyに特有な点がいくつかあります。

まず、Spotifyは有料会員によるコンテンツのダウンロードが認められています。ダウンロードは著作権法上定められた複製に相当するので著作権侵害の可能性を考慮する必要が出てきます。さらに言えば、2012年10月1日より施行された刑事罰化についても考える必要があります。本ブログの過去エントリー「違法ダウンロード刑事罰化に関するまとめ(その2)」でも説明した、違法ダウンロードの刑事罰適用の条件をもう1度おさらいしてみましょう。

119条第3項: 第30条第1項に定める私的使用の目的をもつて、有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつているものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。)の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者は、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

細かいことを省略して簡単に言えば、「有償著作物(市販CD等)のコンテンツを権利者の自動公衆送信権を侵害してアップロードしたものをそれを知りながらダウンロードする」と刑事罰の対象になるわけですが、ここで、対象となる違法自動公衆送信に(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべきものを含む)とのカッコ書きがある点に注意が必要です。

ちょっとトリッキーな規定ではありますが、このカッコ書きがあることで、たとえば中国等にある、CD音源を違法にアップしたサーバーからダウンロードした場合にアップロード者の違法性を問うまでもなく、ダウンロード者を検挙できるわけです(権利者側がこういう規定にしたかったのはうなずけます)。このカッコ書きが、海外では合法だが日本では正規に提供されていない配信サービスにも適用されるかどうかは要検討です。

これは、権利者(特にレコード会社)とSpotifyの間の契約によります。契約内容は非公開ですので推測するしかないですが、常識的に考えれば、日本向けにサービスを提供していないのに日本国内での自動公衆送信を許諾する契約が存在する可能性は低いと思います。その場合には、Spotifyがもし日本国内で配信したとしたならば権利者の自動公衆送信権を侵害することになります(単なる契約違反ではない点に注意)ので、素直に解釈すればこのカッコ書きは適用されると考えられます。

ということで、「その事実を知りながら」(この要件の解釈にも一悶着ありそうですが)ダウンロードを行なうと、単なるマナー違反や配信業者との契約違反というレベルではなくて犯罪と解釈されてもおかしくないケースもあるかと思います。

第二に、Spotifyは部分的にP2P方式を取り入れているという点があります(参考Wikipediaエントリー)。そうなってくると聴くだけのユーザーであっても、他のユーザーに向けて自動公衆送信しているのではないかという論点が出てきます。自動公衆送信となれば、違法DLの刑事罰の要件を考慮するまでもなく、権利者の許諾がなく、故意で行なえば犯罪相当の行為です。ただ今のところ、WinnyやShare等でも一次放流で有罪とされたケースはあるもののキャッシュの中継で罪を問われたケースはないと思うので、グレーゾーンであるとは思います。

第三に、Pandoraなどのサービスですと日本からは(プロクシを介さなければ)アクセスできないのですが、Spotifyの場合は、いったん正式にユーザー登録しておけば世界中で聴ける仕組み、そして、規約になっています。つまり、アメリカ在住の人がアメリカで会員登録してその後日本に旅行に来れば日本からSpotifyを利用できます。Spotifyは「属人主義」、Pandoraなどの他のサービスは「属地主義」とでも言えるでしょうか。ということなので、日本でSpotifyを使ってDLしている人が全員契約違反や違法行為をしているとは限りません。

とは言え、代行業者を通じたりプロキシを通したりして居住国を偽って会員登録すれば契約違反ですし、場合によっては著作権侵害になり得るという点には変わりはありません。

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