【私的ネタ】大腸憩室炎で入院中です

先週の金曜日から大腸憩室炎で入院中です(4年ぶり3回目)。憩室炎というのは、加齢によってできる大腸のくぼみのような部分(憩室)が炎症を起こす病気です。病気の性質という点では盲腸のような感じで早めに対応すれば何の問題もないですが、こじらせて腹膜炎を併発したりするとどえらいことになるので注意が必要です。カンニング竹山がちょっと前にこの病気で入院してましたね。

50歳を越えると多くの人に憩室ができるそうなので、憩室炎のリスクは誰にでもあります。単なる食あたりかと思って病院に行くのが遅れると大変なことになることもあるので、早期の判定が重要です。

自分の経験から言うと、まず、普通の食あたりであればお腹を押すと痛みが和らぐことが多いのですが、憩室炎の場合、かえって痛くなります(特に押した状態から離した時に痛みが来ます)。また、下痢ではなく、腹が張る感じになり、吐き気がします(自分が最初にこの病気になった時は、吐き気から「腸閉塞?」と思って救急車呼んだのが幸いしました)。微熱が出ることも多いです。

治療は、絶食、安静、抗生物質です。絶食が必要ということは点滴が常に必要ということなので通常は入院するしかないですね。

現在は、別に熱が出て頭がぼ〜としたりとか、痛みで死にそうだとかいうわけではなく、単に点滴しているだけなので病院で普通に仕事しています。出願案件は電子証明書の関係で仕事場のPCからでしかできないので外出許可をもらってやってます(インターネット出願ソフトも早くクラウド対応して欲しいものです)。

このブログも病室のベッドで書いています(iPhoneのテザリング使用)。WiFiのアクセスポイントをサーチすると”xxx’s iPhone”というSSIDがいくつかあることから同じように病室でWiFi使っている人も多いようです。電波が機器に影響をーなんて話も昔はあったようですが、現在では、ほとんどの病院が(おそらく緊急病棟等をのぞき)WiFi OKになていると思われます。

どうせなら有料でもよいので病院でもWiFiのサービスを提供して欲しいものです(それとUSB充電ポート)。

ところで今回は症状が比較的軽かったので普通に外来に行ったら、即CTと血液検査で即入院(白血球跳ね上がってました)ということになりました。前回は救急車呼びましたが、10分くらいで来てくれてすぐ救急病院ディスパッチして即CT検査で確定診断(そのまま入院)です。これらすべて健康保険内ですんでしまうわけで、日本の医療制度ってすごいですよね。これがいつまで続くのかわかりませんが。

一部の方には仕事の遅滞でご迷惑をおかけするかもしれませんが、何卒よろしくお願いします。

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【小ネタ】誰もが見たことがあるアレの立体商標について

twitterで商標速報botをフォローしています。特許庁の商標公開公報をひたすらフィードするだけのボットで、おもしろいというだけでなく、クライアントの商品名に似た勝手出願が行なわれていないかの監視もできるという点で実務上の価値もあります。中の人に感謝したいです。

さて、この商標速報botのツイートから(弊所のクライアント等とは全然関係ないですが)ちょっと興味深い出願を見つけました。商願2014-45393、あの誰もが目にしたことがあるものの立体商標です。

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出願人はクイックロック・コーポレーション(米国企業)、指定商品は「第20類 袋や包装をとじるためのプラスチック製クリップ,包装用プラスチック製袋口止め具,袋用プラスチック製口止具」です。

クイックロック・コーポレーションの日本法人のサイトを見ると、これの正式名称が「クロージャー」であることがわかりました。しかも、1952年からある長い歴史を持つ商品のようです。

以前にホンダスーパーカブの立体商標の記事で書いたように、商品の形状そのままを立体商標として登録するのはハードルが高く、使用による識別性(セカンダリーミーニング)があることを立証しなければいけないのですが、このケースはどうなるのでしょうね?

なお、商標が識別性を獲得しているかどうかは需要者の視点で判断されます。この商品について言えば需要者は一般消費者ではなく、パン等のメーカー、あるいは、流通業者(「クロージャー」を買っている人)になりますので、一般消費者として「特定のメーカーの商品の形状と認識していない」と思っていてもそれはあまり関係ないことになります。

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【実務者系雑談】STAP細胞特許の国内移行〆切を先延ばしにする方法

STAP細胞のPCT出願(PCT/US2013/037996)の日本への国内移行の〆切が今年の10月24日であることは以前に書きました。このタイミングを逃すと日本では特許化が不可能になります(他国ではもう少し〆切が先のケースもあります)。

小保方さんの検証実験が実際に始まるのは9月ごろかららしい(参照ニュース記事)のですが、間に合うのでしょうか。

しかし、10月24日の根拠は、最先の優先日(この場合は、米国仮出願61/637,6313の出願日)から30ヶ月ということなので、この優先権を取下げれば、国内移行の〆切日はもっと先になります(具体的には、優先権を主張されたもうひとつの仮出願61/779,533の出願日から30ヶ月後の2015年9月13日になります)。

90の2.3 優先権の主張の取下げ

a.出願人は、国際出願において第8条(1)の規定に基づいて申し立てた優先権の主張を優先日から30箇月を経過する前にいつでも、取り下げることができる。

b.出願人は、国際出願が2以上の優先権の主張を伴う場合には、それらの優先権の主張のいずれか又はすべてについて(a)に規定する権利を行使することができる。

c.取下げは、出願人の選択により国際事務局、受理官庁又は、第39条(1)の規定が適用される場合には、国際予備審査機関に対する出願人からの通告の受領の時に効力を生ずる。

d.優先権の主張の取下げが優先日について変更が生じる場合には、もとの優先日から起算した場合にまだ満了していない期間は、(e)の規定に従うことを条件として、変更の後の優先日から起算する。

e.第21条(2)(a)に定める期間については、国際事務局は、出願人、受理官庁又は国際予備審査機関により送付された取下げの通告が国際公開の技術的な準備が完了した後に国際事務局に到達した場合には、もとの優先日から起算したその期間を基礎として当該国際公開を行うことができる。

もちろん、優先日が後になることによって新規性・進歩性(および先願)を否定される可能性は高まります。

とは言っても、STAP細胞特許についてはそれ以前の問題がいろいろありそうなので国内移行の〆切を延ばせたからどうこうという話ではないのですが、テクニカルな手続上の話として書いてみました。

しかし、書いてから思いましたが、国内移行の〆切に間に合わないので優先権を取下げるという現実的ケースはあまり思いつかないですね。国内移行は書類一枚出せばすみ、翻訳文は後出しできるからです。まあ、中国等の翻訳文の後出しができない国もあるので、そういう国に対する国内移行が間に合わないとか、国際公開(最優先日から1.5年)を何らかの事情で遅らせたいとかのケースには役立つのかもしれません。

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キャバクラのJASRAC著作権使用料は米国と比べてどうなのか

毎日新聞に「キャバクラ:生演奏「著作権を侵害」 東京地裁判決」なんて記事が載ってます。

JASRACが、管理する楽曲をキャバクラ店がピアノで生演奏しているのは著作権侵害だとして、演奏の差し止めなどを求めた訴訟の判決で、東京地裁は26日、キャバクラを経営する3社に生演奏の差し止めや約1570万円の支払いなどを命じた。

ということだそうです。音楽そのものが売りであるライブハウスならまだしも、BGMとして音楽を使ってるだけでJASRACに金を払わなければいけないのはどうなのよという意見もあるかと思います。

しかし、著作権法の解釈で言うと、店で音楽を演奏するのは上演にあたりますし、非営利・無料・ノーギャラの要件はどう見ても満足されないので、著作権者(この場合はJASRAC)の許諾がいるのはしょうがないところです。

では、実際の料金はどうかというとJASRACのサイトに料金表が載ってます。上記記事によると当該キャバクラの席数は80〜120席、基本料金は1時間あたり1〜1.5万円ということでたぶん客単価3万円くらい、演奏は1日10曲以上(1時間くらい?)だそうなので、この条件で上記料金表の別表4から算出してみると、包括契約をしていれば、月額5万円強という感じです。高いと思う人はいるかもしれませんが、キャバクラ経営してるんであれば「誤差」みたいなもんだと思います。

なぜ、賠償金額が1570万円になってしまうかは、判決文を見ないと確定はできませんが、包括契約ではなく1曲ごとで計算しているからだと思います(とは言え、仮に過去10年分とすると包括契約料金だったとしても3店で1800万円くらいになってしまいますが)。

では、米国ではどうかというと、JASRACに相当する大手著作権管理団体としてASCAPとBMIがありますので両方に料金を払う必要があります。

BMIのサイトの飲食店向け契約書の情報から、このキャバクラの条件で計算してみると、ピアノ生演奏の著作権使用料はおそらく年額400ドルくらいです(他の条件によっても変わりますがほぼこのオーダーだと思います)。ASCAPの料金がWebからはわからないのですが、仮にBMIと同じだとすると計年間800ドルで、日本の場合と比べると大部安いです。

JASRACの料金も禁止的に高いわけではないですし、客単価が低い場合には料金が下がる仕組みにはなっていますが、それでも米国よりは高いですね。

東京はライブハウスの数は結構あると思うのですが、生ピアノの演奏がある小さいバーみたいな業態が米国と比べて少ない気もします(あくまで気がするだけです定量的データをご存じの方教えてくださいな)。この辺もちょっとは関係しているのかもしれません。

追記:ちょっと思ったのですがジャズや洋楽系のライブハウスは国内楽曲をまったく演奏しなくてもやっていけると思うのでBMI/ASCAPと直接契約できる仕組みにならないもんでしょうかね?(もちろん、この場合は国内楽曲を絶対演奏しないルールにすることが必要です。客のリクエストに応えてなんてもっての外です(その客がJASRACの調査員かもしれないからです))

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「著作権特区」なんて意味がないと何回言ったらわかるのか

MSN産経ニュースに「「著作権特区整備を」 東京五輪へ文化プログラム協議」なんて記事が載ってます。

6年後の東京五輪に向け、日本文化を世界に発信するプログラムについて話し合われ、評議員からは「著作権の有無が不明で文化的に優れた作品を収集する著作権特区ミュージアムの整備を」

なんて議論があったそうです。行政が何かしなければいけないときにどこから手をつけていいかわからないので、とりえあず特区を提案するというのは良くあるパターンかと思います。

一般的に言って、特区、つまり、経済政策的な観点から地方自治体ないし政府が地域限定で実験的に特別なルールを決めることが効果的な場合もあるでしょう。たとえば、特定地域での税制優遇措置や規制緩和等です。

しかし、著作権は特区になじまないと思います(この話は以前も書きました)。著作権は基本的に私権だからです。加えて、コンテンツの流通は地域的に限定できるものではないという点もあります。

知財の中でも特許や商標は、特許庁が国民から料金を取って審査を行なうという行政(特許庁)対国民という要素があるので、まだ特区は意味があります。たとえば、地方自治体が特定地域の企業に出願料金を補助するなどです。しかし、著作権というのは、国民対国民の間の権利なので基本的には行政が口を出せる問題ではありません。

たとえば、JASRAC管理楽曲を無料で上演できる特区を作ろうとしても、JASRACは国の機関でも何でもなく、個人である作詞家・作曲家(または私企業である音楽出版社)の財産権を預かってる組織に過ぎませんのでどうしようもありません。仮に、国が秋元康氏(およびJASRAC)に依頼してお台場でのAKB48楽曲の上演には著作権を行使しないことを約束させたとしても、それは秋元氏による著作権の条件付許諾であって特区とは関係ありません(まあ、特区の定義をねじ曲げてこれも「特区」と呼んでしまうという手はあるのかもしれませんが)。

また、冒頭の「著作権の有無が不明で文化的に優れた作品を収集する著作権特区ミュージアム」の例ですが、もし美術作品の展示のことを言っているのならば、そもそも美術の著作物の屋内展示には著作権者の許諾はいりませんし、書籍のことを言っているのならば書籍の閲覧は著作権上の利用行為ではないので著作権は関係ありません。特定地域内だけで複製を許すという「特区」だとすると、その地域の外には複製物を持ち出せないのでしょうか?自由に持ち出し可能であれば特区でも何でもなくて全国的にOKにしている(つまり、著作権法を全面改正している)のと実質同じです。

「著作権特区」という無理筋を通すと、結局、箱物作りやバラマキに終わってしまう可能性が高いと思います(昔書いた関連記事)。

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