Yahoo!ニュース個人のヒット記事(2016年4月版)

Yahoo!ニュース個人に自分が書いた記事の中から毎月アクセス数が多かったものを紹介していく定期投稿です。

1位.フランク三浦裁判に思う

2位.フランク三浦裁判の判決文が公開されました

1位と2位はともに、高級腕時計メーカーのフランク・ミューラーが提起していた審決取消訴訟でネタ商品のフランク三浦側が勝訴したという件でした。一部マス・メディアの報道では、侵害訴訟でフランク三浦側が勝訴したかのような言い方をしていましたが、これは、「フランク三浦」の商標権の有効性を争う裁判であって、侵害の話とは直接的には関係ありません。

いろいろな考え方があると思いますが、個人的見解としては、パロディ商品は本家にネタとして黙認してもらってやるのが本筋であって、商標登録して大々的に商売するというのはちょっと違うんじゃないかと思います。

3位.島野製作所対アップルの特許裁判の判決文が公開されました

「リアル下町ロケット」裁判の3月末の判決、判決文公開に時間がかかるかと思ってましたが、あっさりと公開されました。内容はストレートにアップルの非侵害(他の争点は論じず)というものでした。島野側はその後に控訴していますのでまだどうなるかわかりません。

4位.西村博之氏が2chの商標権を獲得

2ちゃんねる創立者のひろゆき氏が出願していた2chの文字商標が不服審判の後に登録されたという話です。今後、現運営との間で一悶着ありそうな気がします。なお、「2ちゃんねる」の文字商標も不服審判中でまもなく結果が明らかになる予定です。

5位STAP特許出願と佐野エンブレム商標登録出願の現状について

小保方氏を発明者の一人とするSTAP細胞関連発明の特許出願(理研は権利放棄し、ハーバード大が唯一の出願人になっています)が、出願審査未請求により取下げられた可能性が高いという小ネタ記事です。小ネタついでに昨年大騒ぎになった佐野エンブレムの商標登録出願が(取下げられてはおらず)審査中であることについても触れました。


毎月のトップ5を紹介するつもりだったのですが、今月に限り6位が興味深かったのでついでにご紹介します。

6位招致エンブレムを大会エンブレムとして使うことは本当にできないのか?(その2)

昨年の9月に書いた記事ですが、新エンブレムの発表と共にアクセスが急増しました。あの桜エンブレムが良かったのにな~と思っている人は結構多そうです。

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【実務者向け】海外代理人とのメールにおける注意点(追加)

ちょっと前に「海外代理人とのメールにおける注意点」という記事を書きましたが、もう1点大事なことを思い出したので追加です。

4. 日付は絶対に誤解されない形式で

たとえば、2016年4月5日を例に取ると、アメリカ式だと4/5/2016と書きますし、イギリス式だと5/4/2016と書きます。ヨーロッパだとだいたいイギリス式ですが、カナダ等両方使う国もあります。

特許実務で、万一、日付を読み間違えるとどえらいことになりますので、Apr-5-2016のように間違えようがない形で書くべきでしょう(まあ、ちゃんとした海外事務所ならそう書くと思いますが)。

また、PCT国内移行の翻訳文提出や審査請求のように、徒過するとリカバリーがきかない日付については、たとえば、”Apr-5-2016(firm)”といったように書くようにしています。特に翻訳文はアメリカ式で遅れても補正命令が来てそれに応答して提出すればよいみたいなつもりになっている出願人がいる可能性もある(ちゃんとした海外事務所ならそんなことはないと思いますが)の念のためでです。

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【実務者向け】海外の出願人にどうやって身元保証をすればよいのか?

通常、外内案件は海外側の信頼できる(信頼できる人に紹介してもらった)代理人経由で行なっていますが、先日、海外の個人出願人から直接依頼があって「あなたが真正の弁理士であることはどうやって証明できるのか?政府サイトで検索できるか?米国ではPatent AttorneyをUSPTOサイトで検索できるけど」と聞かれてしまいました(メールでやり取りするだけで結構な金額が動きますので不安感を持つのはわかります)。

弁理士ナビ(英語版)というのはすぐに思いつきますが、弁理士ナビのドメインはbenrishi-navi.comなので外国人にとっては政府系サイトには見えないでしょうね(サイトデザインも外国人には政府系サイトに見えないでしょう)。ついでに言うとサーチ結果に直リンも貼れないですし、検索窓でフルネームを入れると検索できないようなので(苗字で検索した後に絞り込みしないといけないみたいです)ちょっと不便です。

自分が代理した登録案件を見せればよいかもと思いましたが、J-PlatPatの英語版では代理人の事項が英語になってないですし、登録証には代理人の記載がないので無理ということがわかりました。

長期的に仕事をしてきて信頼関係を築いている海外事務所に連絡して身元保証してもらう手もありますが、ある意味、その海外事務所をバイパスした案件になるわけなのでちょっと気が引けます。

PATENTSCOPEでPCTの代理をしているエントリーでも見せるしかないかもしれません(厳密に言えば弁理士であることの証明にはなりませんが)。

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Yahoo!ニュース個人のヒット記事(2016年3月版)

Yahoo!ニュース個人に自分が書いた記事の中から毎月アクセス数が多かったものを紹介していくことにしました。まずは2016年3月版です。

1位.スペインでうどん屋がUDONという商標を使えないという問題について

元Jリーガーの石塚啓次がスペインで開業していたうどんやがUDONの商標権を持つスペインの飲食店チェーンに「UDONという商標を使うな」と警告を受けたという話です。スペインの商標法でも普通名称として商標権は及ばない旨の抗弁はできそうですが、費用もないことから泣き寝入りとなったようです。何らかの形でサポートしてあげたかったですね。

本件、日刊ゲンダイでも取り上げられましたが、クールジャパンの事務局にも一応話は伝わったようです。こういうときに弁護士費用等を支援できる体制が整うとよいですね。

追記:石塚氏のブログにその後に関する記事が載っていました。やはり相手の要求を呑む形で和解ということになったそうです。JETROから連絡も来ましたが審査も必要で支援の確実性もないことから断ったそうです。これはこれでしょうがないと思います。ただ、この件は、石塚氏の店の問題だけではなく、今後日本の他のうどん店がスペインに進出する時、さらには、日本の食文化をスペインに紹介する時にも問題になり得るので、政府当局には事前に対策を考えて頂きたいものだと思います。

2位.「ペヤング」まるか食品の謎商標登録について

新商品「ペヨング」を発売したまるか食品が、「ペヨング」だけではなく「ペユング」を商標登録出願したいたこと、さらには、1991年に「ペヤング」だけではなく「ペアング」も商標登録してたいたことに関する記事です。

まるか食品に取材した報道記事によれば、他社の商標登録を防ぐための防衛的出願であるそうです。商標権は類似範囲にも及ぶのであまり意味がない(むしろ、ロゴやパッケージデザインを商標登録出願した方がよい)と思うのですが、まあ、いろいろ考えがあるということでしょう。

3位.島野製作所対アップルの裁判で何が起きたのかを推理する

小規模下請けメーカー島野製作所がアップルの横暴な姿勢に反発してしかけた特許訴訟の第一審が島野側敗訴になったというニュースです。判決内容が公開されていないのでほとんど情報がないのですが、一部報道の記載から「共同出願要件」が争点になった(つまり、島野単独の発明ではなく、島野とアップルの共同発明と判断された)のではないかと推理してみました。

なお、この裁判、つい先日に島野側が控訴しています(参照ニュース)。

追記:後で気がつきましたが3月30日付で裁判所のサイトに判決文が載りました。これをベースにフォローアップ記事を書いています。

4位.「新・民主党」の商標登録は可能なのか?

民主党の新名称について、ドクター中松氏が自分が商標権を持っている「新・民主党」の商標権を無償で許諾すると言ったとされるスポーツ新聞音報道について、そもそも「新・民主党」で商標登録できるのが疑問に感じて調べてみたところ、商標登録はされていなかった(ドクター中松氏の記憶違い)という記事です。小ネタ記事です。

なお、中松氏が、2月にドナルドトランプ氏に護身用カツラ「守り髪」を寄贈すると言った時には、ちゃんと商標登録も特許登録もされていたのですが、今回はそういうことはなかったようです。

5位.「小説家になろう」商標問題:長年使っている商標を他人が登録してしまった場合どうすればよいか?

山形県で19年の歴史を持つ講習会が、最近に同一名称で商標登録したウェブサービスに商標権侵害の警告を受けたというニュースの解説です。先使用権を主張できる典型的ケースですが、講座側が争いを避けて名前の変更をすることにしたようです(それもひとつの選択ではあります)。その後、ITmediaにフォローアップ記事が出ています。

このパターンは実はよくあり、弊所でもご相談を受けることが多くなっています。先使用権を主張できる(相手の出願時点でこちらの商標が周知になっている)のであればよいのですが、そうでない場合は対抗は困難です。やはり、保険として先に商標登録(出願)しておくのが最善の策です。


4月も真面目記事、小ネタを取り混ぜて書いていきたいと思います(どうしても小ネタ記事の方がアクセス数を稼いでしまうのですが)。

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ランサムウェアに対抗できるファイル管理法を考える

最近、仕事用のメールアドレスにINVOICEだとかREFUNDだとかの件名の怪しいメールが大量に届いて困っています(同じような形式で一度に大量に届くのでかえって怪しいことがすぐにわかってしまいますね)。添付ファイルを開くこともなく消していけばよいのですが、間違って仕事のメールまで消してしまわないように注意するのはめんどくさいです。

どうやらこのメールはいわゆるランサムウェアらしいです(参照ニュース)。添付ファイルを実行するとPC上のファイルが暗号化されてしまい、復号鍵を得るためには金を払わなければいけないというやり口です。ビットコインの普及により、ほぼ匿名で金を受け取れることになったことがこの手口の蔓延に拍車をかけていると思います。

仕事のファイルが使えなくなるとどえらいことなので、ランサムウェアのリスクは真剣に考えなければいけません。今回のような稚拙なやり方ではなく、もっとも巧妙にランサムウェアに感染させるやり口が将来的に出てくる可能性は十分にあるからです。

現在、仕事上の重要なファイルはミラーディスク上に置くと共に、Google Driveで同期しています。Google Driveは、仕事場のPC、家の(仕事用)PC、持ち運び用ラップトップ間でファイルを同期するために使っていますが、実質的にはバックアップとしても機能することになります(仮に大地震等でPCが全滅してもGoogleのクラウドにはファイルは残っています)。

このようなやり方は、ディスク障害等の対策としては十分と思いますが、ランサムウェアにファイルを書き換えられるリスクには不十分です。Google Driveもフォルダーとしてマウントされていることから、ランサムウェアに書き換えられてしまいます。家のPCのLANケーブルを抜いて立ち上げれば前回同期した分のファイルは残っているでしょうが、最新のファイルは取り戻せませんし、万一家のPCが立ち上げぱなしになっていると、ランサムウェアに書き換えられたGoogle Drive上のファイルと同期してしまうリスクもあります。

やはり、定期的に(できれば日に数回)差分バックアップを取って、PCには直接マウントされないクラウドやNASにアーカイブすることが必要だと思いますので、今、できるだけ運用がシンプルなソリューションを探しています。良いソリューションをご存じの方、教えてください。

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