Yahoo!ニュース個人に自分が書いた記事の中から毎月アクセス数が多かったものを紹介していくことにしました。まずは2016年3月版です。
1位.スペインでうどん屋がUDONという商標を使えないという問題について
元Jリーガーの石塚啓次がスペインで開業していたうどんやがUDONの商標権を持つスペインの飲食店チェーンに「UDONという商標を使うな」と警告を受けたという話です。スペインの商標法でも普通名称として商標権は及ばない旨の抗弁はできそうですが、費用もないことから泣き寝入りとなったようです。何らかの形でサポートしてあげたかったですね。
本件、日刊ゲンダイでも取り上げられましたが、クールジャパンの事務局にも一応話は伝わったようです。こういうときに弁護士費用等を支援できる体制が整うとよいですね。
追記:石塚氏のブログにその後に関する記事が載っていました。やはり相手の要求を呑む形で和解ということになったそうです。JETROから連絡も来ましたが審査も必要で支援の確実性もないことから断ったそうです。これはこれでしょうがないと思います。ただ、この件は、石塚氏の店の問題だけではなく、今後日本の他のうどん店がスペインに進出する時、さらには、日本の食文化をスペインに紹介する時にも問題になり得るので、政府当局には事前に対策を考えて頂きたいものだと思います。
新商品「ペヨング」を発売したまるか食品が、「ペヨング」だけではなく「ペユング」を商標登録出願したいたこと、さらには、1991年に「ペヤング」だけではなく「ペアング」も商標登録してたいたことに関する記事です。
まるか食品に取材した報道記事によれば、他社の商標登録を防ぐための防衛的出願であるそうです。商標権は類似範囲にも及ぶのであまり意味がない(むしろ、ロゴやパッケージデザインを商標登録出願した方がよい)と思うのですが、まあ、いろいろ考えがあるということでしょう。
小規模下請けメーカー島野製作所がアップルの横暴な姿勢に反発してしかけた特許訴訟の第一審が島野側敗訴になったというニュースです。判決内容が公開されていないのでほとんど情報がないのですが、一部報道の記載から「共同出願要件」が争点になった(つまり、島野単独の発明ではなく、島野とアップルの共同発明と判断された)のではないかと推理してみました。
なお、この裁判、つい先日に島野側が控訴しています(参照ニュース)。
追記:後で気がつきましたが3月30日付で裁判所のサイトに判決文が載りました。これをベースにフォローアップ記事を書いています。
民主党の新名称について、ドクター中松氏が自分が商標権を持っている「新・民主党」の商標権を無償で許諾すると言ったとされるスポーツ新聞音報道について、そもそも「新・民主党」で商標登録できるのが疑問に感じて調べてみたところ、商標登録はされていなかった(ドクター中松氏の記憶違い)という記事です。小ネタ記事です。
なお、中松氏が、2月にドナルドトランプ氏に護身用カツラ「守り髪」を寄贈すると言った時には、ちゃんと商標登録も特許登録もされていたのですが、今回はそういうことはなかったようです。
5位.「小説家になろう」商標問題:長年使っている商標を他人が登録してしまった場合どうすればよいか?
山形県で19年の歴史を持つ講習会が、最近に同一名称で商標登録したウェブサービスに商標権侵害の警告を受けたというニュースの解説です。先使用権を主張できる典型的ケースですが、講座側が争いを避けて名前の変更をすることにしたようです(それもひとつの選択ではあります)。その後、ITmediaにフォローアップ記事が出ています。
このパターンは実はよくあり、弊所でもご相談を受けることが多くなっています。先使用権を主張できる(相手の出願時点でこちらの商標が周知になっている)のであればよいのですが、そうでない場合は対抗は困難です。やはり、保険として先に商標登録(出願)しておくのが最善の策です。
4月も真面目記事、小ネタを取り混ぜて書いていきたいと思います(どうしても小ネタ記事の方がアクセス数を稼いでしまうのですが)。