拙訳『オープンビジネスモデル』においてヘンリーチェスブロー教授は知財管理とビジネスモデルの整合性確保が重要であると述べています。その例として、中国におけるWindowsの不正コピーをある程度認容する趣旨の発言をしていたビルゲイツの例を挙げています。不正コピーを過剰に規制すると中国のパソコンユーザーがLinuxに流れてしまうがゆえの対応です。知的財産権を杓子定規に行使することで長期的に大きなビジネスを失って損をすることもあるということです。
ここ数日の地デジカに関する騒動を見てこの話しを思い出してしまいました。ご存じない方のために、簡単にまとめておくと以下のようなお話しです。
民放連による地デジ推進キャラ地デジカ発表(ソース) #なお、草彅の緊急代理というわけではなく前から決まっていた話のようです(草彅は総務省のキャラ、地デジカは民放連のキャラ)
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いじりやすい脱力系キャラということもあり、あっと言う間にpixiv等を中心に派生キャラ(一部萌え系)が大量に投稿される(ソース)
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民放連担当者が取材に対して、
「地デジカの著作権ですが、世にある他のキャラクターと同様、無断掲載には厳しく対応していきます。一般のブロガーの方がブログに掲載したり掲示板に載せることも、著作権の問題がありますので黙認することはしません」
「特に、二次創作キャラクターの作成や掲載につきましては、許されるものではありませんので、見つけ次第、厳しく対応していきます」
と発言(ソース)
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ネットでの批判が高まり、「アナログマ」、「恥デジカ」などの抗議(?)キャラクターも登場 ← イマココ
という状況です。
地デジの認知度向上のためのキャラクターなのですから、いじられてなんぼだと思うのですが、この民放連担当者の頭にはバズマーケティングという概念はないのでしょうか?今からでも遅くないので「過剰なエロや商用利用はご勘弁願いたいが、それ以外の利用や派生キャラについては地デジカが愛されているがゆえと考えたい」くらいの気の利いたことを言ってもらいたいものです。
これは著作権制度がどうのこうのという話しではありません。企業のビジネスモデル(というかマーケティング戦略)の話です。
訂正(09/40/30 9時頃)
上記の時系列がちょっと違ってました。「恥デジカ」の登場は、「二次キャラ断固許さない」の報道がされる前だったようです(ソース)。この時点でドメインまで取ってやるのはちょっと悪ふざけがすぎたと個人的には思います(ただ民放連も先に関連ドメイン取っておかないのはうかつにすぎるとも思いますが)。