「丸源」対「にく次郎」:飲食店の微妙なパクリ問題は法律的にどう扱われるか

FNNで「焼き鳥に続き、ラーメンで「似ている騒動」 仮処分申し立て」というニュースがありました。鳥貴族に訴えられた会社が運営する「にく次郎」というラーメン店のメニューや店舗が類似しているとして「丸源ラーメン」を運営する会社が差止仮処分を請求したという話です。

テレビの映像を見る限り、店の名称は全然違いますが、店構え、店員の服装、メニューのデザイン、品揃え等が類似しているように思えます。鳥二郎の件と同様、トレードドレスが明確に法律で保護されていればNGになりそうな案件ですが、日本ですと厳しいように思われます。「熟成醤油ラーメン」や「熟成肉そば」という名称を真似されたという件についても、記述的な名称の域を超えていないと思います(商標登録もされていません)ので、やはり法律的には厳しいのではないかと思います。

鳥二郎の件と同様に(商売上の道義の話は別として)日本の法律上問題にならないぎりぎりセーフの線を狙っている感じがします。

この件に限らず、飲食店間のパクリ問題は、類似店名を使用する等の完全にNGなもの、グレーなもの、ぎりぎりセーフなものと様々なケースがありますが、司法の場で争われた結果セーフとされた事例としては、和民と魚民(モンテローザ)によるものがあります(参照ニュース)。

居酒屋の店名に「x民」とつけるのは記述的ではない(少なくとも焼き鳥屋における「鳥x」よりははるかに識別性があります)と思いますし、「魚民は和民の関連店舗である」と誤認されるケースもあると思うのです(今、和民の関連店舗と思われることが本当にビジネス上のメリットになるのかという点はありますが別論)が、和解によって「魚民」の使用は問題なしとされました。

「魚民」がセーフということを考えると「鳥二郎」、「にく次郎」も法律上はセーフになりそうだというのが妥当な読みかと思います(もちろん、”画期的判決”が出る可能性はありますが)。

一般論としては、日本の司法はこの手の企業間の微妙なパクリについては米国と比較して甘いという感があります。

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