契約違反と著作権侵害の関係について

前回のエントリーに関して何となく予測できた反応がツイッターでありました(何で予測できたかと言うと、私も法律の勉強始める前はこの辺がよくわかっていなかったからであります)。

私企業の規約違反で、刑事的違法性が変わるという立論は変。その企業に「毎日歯を磨きましょう」という規約があったとする。それの違反尊守で、法律の違反尊守は言えない。「料金払ってね」と同じ事で民事の話。

この機会に説明します。

歯を磨くか磨かないかが契約違反(民事)の範疇に留まるのは、歯を磨くか磨かないかによって他人(あるいは当事者)の権利を侵害することがないからです。

では、約束が歯磨きではなく、「私の家に入らないで」というものであったらどうでしょうか?たとえば、女性のアパートに、以前同棲していて別れた男がしつこくやってくるので、男に「二度と部屋に来ません」という約束(=契約)をさせたものとします。それを無視して男が部屋に入ろうとしたら、これは約束違反(契約違反)であると同時に、住居侵入罪の疑いで警察呼ばれてもしかたがありません。つまり、民事の話に留まりません。

著作権がからむ契約はこのアパートの例に類似しています。たとえば、ソフトウェアの利用許諾に「このソフトウェアは1台のコンピュータにインストールして使用できます。」と書いてあるにもかかわらず、無視して会社中の全PCにインストールすると、これは契約違反であると同時に著作権(複製権)侵害です。故意にやれば犯罪です。

ソフトウェアの利用許諾は、「このソフトウェアをX台のコンピュータにインストールして使用する」等々の条件を守る前提の元にあなたにこのソフトの著作権(複製権)を許諾しますよ、という構成になっているので、この条件を守らない場合には複製権も許諾されず、インストール(複製の一種です)する行為が複製権侵害になるわけです。

著作権は何も手続きを取らなくても創作行為によって自動的に発生します。権利者以外の人が複製・上演・公衆送信等をしようと思うと、権利者に著作権を譲渡してもらうか許諾をもらうかするしかありません(私的使用目的複製等、特別に法律で認められている場合を除きます)。つまり、デフォ状態では他人は何もできない、許可をもらって初めて何かできるのが著作権という権利の特徴です。許可をもらわない限り、デフォでは他人の家には入れないのと同じです。

ということで、著作権がからむ契約に違反する行為をすると、契約違反に留まらず著作権侵害を構成する可能性が高いですし、故意等の条件を満たしていれば民事の世界に留まらない可能性も出てくるわけです。

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