飲み会等で出願前のアイデアを他人に話さない方がよい(少なくとも来年4月までは)

最近、ベンチャー系の集まりに顔を出すことが多くなっています。そういう場(特に飲み会)では当然に自分のアイデアをある程度公開して支援者やパートナーを探すという状況があります。ここで、単なる抽象的なビジネスモデルの話であればよいですが、具体的な技術的アイデアの話をするのであれば、特許出願をしておいてからの方がよいと思います。

仮に、飲み会の場であっても、出願前に発明の内容を(機密保持契約を結んでいない)他人に話すと、新規性を喪失してしまい、特許化が不可能になります(実際に争いになるか、またそれをどう証明するかという問題はありますが)。特に、たとえば、ユーザー・インターフェース関連のアイデアのように、説明したり現物を見せてしまうとその本質が丸わかりになってしまうアイデアには注意が必要です。

「自分は特許には興味がない、アイデアは自由に使って欲しい」という考え方の人もいるかもしれません(その考え方自体は否定しません)。しかし、そのような場合でも特許出願はしておいた方がよいと思います。そうでないと、たとえば、他人があなたのアイデアを盗用して「これは自分が考えたんだよ」と標榜するかもしれません。また、あなたのアイデアを改良して出願し、特許化してしまうかもしれません(もし、そうなるとあなた自身もその改良発明を実施できなくなります)。「それでもかまいません」という聖人のような人であれば別ですが「さすがにそれはいやだ」というのであれば、やはり特許出願はしておいた方がよいと思います。アイデアをオープンにしたいのであれば、特許化して権利を押さえておいてからそれを無償でライセンスすればすむ話です。

なお、実は、この新規性関連については、特許法の改正が既に行なわれており(施行日はまだ確定していないですが来年4月が濃厚だそうです)、発明者自身の行為によって新規性を喪失しても、6か月以内に出願すれば新規性は喪失しないことになります。出願前は発明を絶対に公言しないというのは特許の入門書を読むと必ず書いてある話だと思いますが、その条件が緩和されます。たとえば、セミナー等で発表してしまった後で「これ特許化できるかも」と気づいた時にも救済されることになります。なお、発明を使った物を作って販売してしまった場合でも大丈夫です。

と言いつつ、飲み会で自分の発明について話してそれを人づてで聞いた誰かが、自分より先に出願してしまった場合、それを証明するのはなかなか困難です。「あなた、私の話を聞いて出願したでしょ?」と言っても「いや自分で考えましたよ」と言われたら、文献の証拠が残っていれば別ですが、飲み会の話レベルであればそれに反証するのは困難です。また、外国での権利取得も考えている場合には、たとえば、出願前に物を作って販売してしまったりすると権利取得が不可能になる場合もあるので、公開前に出願しておくべきという大原則は変わることはありません。

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