当たり前の特許を無効にして1000万円の副収入

#情報商材みたいなタイトルですみません。釣りです。記事の中身はまじめです。

特許、特に直感的にわかりやすいUI特許を見て「なぜこんな当たり前のアイデアが特許になるのか」という人が見受けられます。しかし、後付け思考というかコロンブスの卵というか一度アイデアを見てしまってから考えると当たり前に見えてしまうのはよくある話です。

実際には「言われてしまうと当たり前に思えるけど実は誰もやってなかった」タイプのアイデアがもっとも強力な特許になり得ます。あたかもすぐれた音楽が「今までにないメロディなのにどこかで聴いたある」ように思えるようなものです。

しかし、本当にその特許の出願日以前に同様のアイデアが世の中に知られており、特許庁の審査プロセスで見落とされただけということもよくあります。特許の審査は特許にできる理由を見つけるプロセスではなく、特許にできない理由が見つからないことを確認するプロセス、いわば、「悪魔の証明」なのでどうしても漏れが生じます。

「このアイデア(出願の)2年前に見たわー」という人は、その証拠文献があれば、いったん成立した特許を新規性・進歩性の欠如により無効にできます(以前からありましたと口で言うだけでは不十分で文献を示す必要があります。)

裁判の場で問題になっている特許(たとえば、前述のBounce-Back特許)を無効にできれば、数億円級の金銭的な価値があります。しかし、利害関係者でもなければ、苦労して無効理由を探すインセンティブは生じないですね(公益的な観点から特許つぶしをやるEFFのPatent Bustingプロジェクトなどがありますが)。

特許を無効にするプロセスは基本的に世界中の誰か一人でも証拠文献を見つけられればよいので、本質的にクラウドソーシング(Crowdsourcing)にマッチします。クラウドソーシング方式、かつ、情報提供者への金銭的インセンティブも考慮したサービスを提供する企業に米国のArticle One Partnersがあります。

Article Oneは、特許を無効化したい企業(通常は侵害訴訟の被告側でしょう)から依頼を受け(企業名は一般ユーザーからはわかりません)、特定の特許を無効にするための情報をサイト上で広く募ります。誰かが適切な無効理由の文献を見つけて、Article Oneに提供すると依頼企業は報酬をArticle Oneに支払い、Article Oneは手数料を抜いて発見者に報酬を支払います。

企業は匿名性を維持しつつ、安価に、成功報酬に近い形で世界中の文献を調査でき、一般ユーザーは自分独自の専門知識を活用して収入を得られるというWin-Winの仕組みであると思います。

Article Oneのサイトで見ると今までに支払われた報酬総額は約3,800万ドル、トップレベルの発見者は数万ドルのオーダーで稼いでいます。

なお、日本語サイトもできています(ちょっと日本語が微妙ですが)。経験を積んだエンジニアの方(IT分野に限りません)で一昔前の技術文献に通じている方はお小遣い稼ぎにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

カテゴリー: 特許 パーマリンク

3 Responses to 当たり前の特許を無効にして1000万円の副収入

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