タブレットという急成長市場カテゴリーに完全に出遅れてしまった感のあるMicrosoftですが、ユーザーの立場から言うとタブレットのフォームファクターでWindowsが動くマシンが欲しいケースがあります。要するにWindows環境でしか動かないアプリケーションを使いたいケースです。
私の場合は、Band-in-a-Boxという自動伴奏/譜面作成ソフト、Transcribe!という演奏コピー用のソフトあたりが代表的です(タブレットのフォームファクターだと譜面台に載せる時に便利)。また、IEでしか動かないサービスをタブレットで使いたいというニーズもあります。典型には有斐閣の法律書閲覧サービスYDC1000などです。
この目的では今まではHPの名機TC1100を使ってたのですが、さすがにPentium M 1.2GHzだと厳しくなってきました。ということで安くて軽いWintelタブレット機を探していたのですが、結局、MSI WindPad 110Wを買いました。
このクラスだと他にAcer ICONIA TAB-W500があります。スペック的にも値段的にも似たような感じですが、ICONIAはSSDとメモリーの換装が困難らしいのとスピーカーが裏側に付いているので譜面台に載せて使用するのには向いてなさそうということで、WindPadにしてみました。
デザイン的にはそんなひどくはないのですが「イマイチ萌えない」デザインではあります。SDカードスロット、ミニHDMI、USBポート、カメラ×2、画面回転ロックスイッチなどが付いておりiPadよりは拡張性があります(なぜかミュートスイッチは付いてません)。SIMスロットも付いてますが使えるかどうかは不明。あと、マウスカーソル操作用にトラックポイントのようなものが付いてます(感度が良すぎてあまり使いやすくありません、慣れと調整の問題かもしれませんが)。
iPad2と比較すると一回り大きく、厚さは倍くらい、重さは約3割増の850グラムです。
シャットダウン状態からWindowsのブート終了まで1分半くらい、立ち上げるとファンが回り出して横から熱い排気が出てくるのがパソコンを感じさせます。スリープからの復帰はWindows7なので数秒です。
言うまでもなくタッチパネルの操作エクスペリエンスはiPadにはまったく及びません。アプリの起動はMSI独自のO-EASYというランチャーを使えば何とかなりますが、アプリに入ってからの操作はどうしようもありません。マウス前提のちまちましたUIをタッチパネルで操作するのはかなりの苦行です。静電式のタッチペンを買ってみましたがあまりエクスペリエンスは変わらないです。とにかく何か操作をしても、反応するまで一瞬間が空きますし、クリック操作が通ったかどうかがイマイチわからなくていらいらします。AppleのUIの作り込みは本当にすごいなあと思ってしまいます。
アプリの動作速度辞退はまあ許容範囲内です。Officeなどを動かすとどういう感じかわかりません。たぶんマウスとキーボードを付ければネットブック並の使い心地だと思いますが、それだとタブレットにした意味がないですね。あと、SSDが32GBしかないので大容量のアプリケーションは厳しいと思います。
使ってみて言えることは、Wintelというプラットフォームはつくづくタブレットには向いていないということであります。Windows8でタブレット向けUIが提供されるようですが、過去との互換性を維持しつつ、まともなユーザーエクスペリエンスを提供してくれるのか気になるところであります。
自分的には買ったそもそもの目的である、譜面台に載せてBand-in-a-Boxでマイナスワン演奏して練習するという用途では特に問題ないので買ってよかったとは思っているのですが、そのような特殊用途がなく一般的なタブレットとして買う人にはちょっとお勧めしにくいかと思います。