クラウドビジネス戦略の3つの方向性

先日出席したHPのアナリストイベントで、HPはクラウドビジネスについて以下の3つの方向性で推進していくとの発表がありました。

1.クラウド・プロバイダーに対してシステムや運用管理ツールを販売する
2.クラウドを活用するユーザー企業のインテグレーションを支援する
3.自らがクラウド・プロバイダー事業を行なう

これは、HPに限った話ではなく、あらゆるベンダーにとって、クラウドのビジネスを行なう上で基本的枠組みであると思います。

難しい点は、この3つの戦略にはトレードオフがあるということです。クラウド・プロバイダー事業を行な顧客企業に対してシステムを販売する一方で、自社でもクラウド・プロバイダー事業を行なって「顧客と競合してしまう」ケースは不可避ではありますが、最小化すべきです。ということで、上記の3つの戦略をただ漠然と推進するのは得策ではなく、微妙なコントロールが必要となりましょう。特に、1と3の間のバランス感覚が重要です。

HPの某マネージメントとのインタビューにおいてこの「顧客と競合する」リスクについて聞いてみましたが、実際には、HPにおける3の戦略は写真共有サイトであるSnapfishなどの一般消費者向けサービスであり、エンタープライズ市場での顧客との競合はほとんどないとの答をもらいました(普段はHPのエンタープライズ事業の人々とばかり話しているので忘れがちですが、確かに言われてみればHPはワールドワイドの売り上げベースで見るとパソコンとプリンタを中心とした一般消費者向け企業と言ってもおかしくありません。)

他の企業のクラウドビジネスについて分析する場合、そして、ベンダーが自社のクラウド戦略を立案する場合には、まず、上記の3つのカテゴリーで分けて考えること、および、それらの間のトレードオフを考えることが重要です。そして、ここでも「中途半端にやるくらいなら全くやらない方がまし」のルールは当てはまると思います。

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