【再修正】Appleの特許事務所のポカについて(Was:米国特許庁の大ポカについて(Was:Appleの特許事務所の大ポカについて))

再追記:すみません、追記が続いてわかりにくくなってます。Appleの特許事務所大ポカ→特許事務所に落ち度はない、USPTO大ポカ→いややっぱり特許事務所のポカ(イマココ)です。

iPhone Maniaの記事に載っていた記事(元記事はPatently Apple)で、BAE Systemsという軍事車両メーカーの特許が、なぜかAppleの特許として登録されていた件のフォローです。これらの記事だとAppleの特許事務所が出願人を間違えて出願したという書きっぷりですがそのようなことはありません。

審査資料を追ったところ、出願時点からずっとBAEという正しい出願人だったのですが、最後の最後に今年の7月7日付の特許料納付のフォームで「特許証に掲載したい名前」の欄にAppleが誤記載されてました。たぶん、既存のフォームを流用するときに前の記載を直し忘れたんですね(まあ、あるあるです)。大ポカとは言えないまでもポカとは言っていいんじゃないかと思います。

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すみません。元記事の「なぜ13ヶ月も気がつかなかったか」の記載に引っ張られましたが、この件はAppleの特許事務所のミスではなく、米国特許庁のミスでした。この出願の代理人である特許事務所は、ちゃんとBAEの名義で出願していたのが、なぜか、最後の最後の登録証発行時点でAppleの名義に変わっていたということのようです。ということでこの特許事務所に落ち度はまったくありません。

iPhone Maniaの記事によると、Appleが取得したとされていた連結車両用の操舵装置に関する特許(US9409599)、実は特許事務所が出願人(Original Assignee)の記載を間違えており、AppleではなくBAE Systemsという軍事企業のものであったそうです。公開時点では、Appleは確かに電気自動車やってるけど事業と関係ないんじゃないかと不思議がられていた特許であったそうです。

この特許事務所は、特許査定後にRequest for Certificate of Correctionと呼ばれる書類を提出し、BAE SystemsをAppleにしたのは誤記(typo)なので修正してくれとの申請を行ない、受理されたようです。ずいぶん豪快な誤記ですね。たぶん、特許管理システムの選択リスト等で隣にあったものを選んでしまったんじゃないかと思います(アルファベット順ならばAppleとBAEが並んでいる可能性はあります)。

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追記:以下の話は今回の件とは直接関係なくなってしまいましたが、せっかくなので残しておきます。

日本において出願人の名前を間違えるとどうなってしまうのでしょうか?以前別件で審査官の方に電話したついでに聞いた話では、識別番号が合ってれば識別番号優先で処理されるので出願人の記載が間違っていても補正(ひょっとすると職権訂正)で対応できるようです。識別番号が間違っていた場合、また、識別番号と出願人が両方間違っていた場合は、補正で対応できるかどうかはケースバイケースだそうです。今回のように全然違う出願人で出してしまった場合はどうなるんでしょうか?名義変更で対応するしかないのでしょうか?そうなると譲渡証書に印鑑もらわないといけないので代理人的には相当はずかしい事態になってしまいますね。さらに厳密に言うと、29条の2の引用発明が同一出願人かどうかで査定に影響があるという点もややこしいです。

ところで、米国の場合は、特許査定が出てから登録証が出るまでの間に、上記のように記載事項を訂正できる機会がありますが、日本の場合は正式の運用としてはありません。以前、登録証の出願人の国籍が米国企業なのにウクライナになっていたという件がありました(特許庁担当者のUSとUKの選択間違い)。この時は、電話して修正後再送してもらいました。

追記:弊所は高級な特許管理システムは使っていませんが、書類提出前に出願番号と出願人(識別番号)は必ず指差喚呼しております。

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