改めて説明するまでもなく、マドプロは、指定国特許庁での審査で何も問題なく登録されれば楽ちんなのですが、万一、暫定拒絶となった場合には、その国で代理人を任命して中間処理を行なわないといけないのでちょっと面倒ですし、お金もかかります。
実体的な審査に関する事項であればまだしも軽微な形式上の問題を補正するためだけに、現地代理人を使うのは不合理だなと思っていました。日本国内であれば、句読点のミスのような明らかな間違いであれば審査官が職権で補正してくれます(一応電話で確認が来ることが多いです)。
特に、米国を指定して、ロゴ商標を出願した場合、description of the markを追加せよという暫定拒絶が出ることが多いです。マドプロの出願書類(MM2)にはこれを書く欄がないので、どうすればいいんだよという感じです。
しかし、先日、USPTOからの軽微な補正を求める暫定拒絶にTelephone Response Suggestedという記載を発見しました(このパターンは初めてです)。審査官の提案通りに補正してよい旨を電話またはメールで非公式に連絡してくれれば、職権で補正すると書いてあります。
これは、USPTOの商標審査便覧(TEMP)の707に規定されている審査官補正(Examiner’s Amendment)というものです。審査官補正を出すかどうかは審査官の裁量のようです。
日本の弁理士はUSPTOへの代理人になれませんので、出願人にお願いして、審査官宛に承認のメールを打ってもらいました。出願人が法人の場合は代表者がメールする必要があるので、大企業の場合は難しいかもしれません(日本の弁理士がメールした場合、却下されるのか大目に見てもらえるのかはわかりません)。
3週間ほど時間がかかったのでちょっとあせりましたが、無事、審査官補正が反映されて、現地代理人を使うことなく登録まで導くことができました。各国特許庁からの通知のテンプレぽい部分もちゃんと最初から最後まで読むべきだなあとも思いました。