特許調査:「侵害しないか」と「特許化できるか」は別の話です

特許文献を使った特許調査の目的にもいろいろあります。代表的なものは、以下のとおりです。

1.自分が作ろうとしている製品やシステムが他人の特許権を侵害しないかを確認する(クリアランス)

2.自分の発明が特許化できる可能性があるかを判断する(先行技術調査)

3.他人の特許を無効化できる証拠を探す

4.単に技術動向や特定起業の技術戦略を知る

特に、1(クリアランス)と2(先行技術調査)が混乱されるケースが多い(そして、両者が並行して行なわれることも多い)ので、ここで整理しておきます。

A.どの公報をチェックするか

クリアランスは他人の既存特許権をチェックすることになりますので特許公報(特許掲載公報)を中心にチェックすることになります。公開公報の中で拒絶されたものや審査請求を出さなかったことで強制取り下げになったものは、もう権利化されることはないのでチェックする必要はありません。ただし、まだ審査中の公開公報はいずれ特許化する可能性があるのでチェックが必要です。この時、補正によって権利範囲が変わる可能性があるので注意が必要です。明細書の記載範囲以上の権利になることはありませんが、どう補正するかは読めないことがあるのでやっかいです。なお、日本だけでビジネスを行なうのであれば、日本国内の特許だけを調べれば足ります(海外に輸出したり、ネット関連で本質的に国境がない発明の場合は海外特許(典型的には米国)も調べる必要が生じます)。

出願の進歩性・新規性は(特許文献に限らず)あらゆる公開された文献(マニュアル、学術論文、雑誌記事等)を証拠として否定され得ます。しかし、先行技術調査として、世の中にあるすべての文献をチェックするわけにはいきませんので、特許文献を中心に調査するのは効率的です。最終的に特許になっているかどうかは関係ありませんので、あらゆる公開公報が調査対象になります(なお、早期審査によって公開公報が出ないで特許公報が出ているケースもあるので、特許公報もサーチ対象に含めた方がよいです)。世界中の公開文献が特許性の否定材料になりますので、海外の公開公報も調査対象に含めるべきです(現実には米国が中心になると思いますが)。また、分野によっては、学術論文、製品カタログやマニュアル等もチェックする必要があります。

B. 公報のどこをチェックするか

クリアランスでは、「請求の範囲」(クレーム)を中心にチェックすることになります。明細書の記載にいろいろ書いてあっても権利範囲を決定するのはクレームです(ただし、クレームの解釈において明細書の記載が参酌されることはあるので明細書の記載は間接的には権利範囲に関係してきます)。クレームの内容をすべて実施しなければ特許権を侵害することはありません。たとえば、「記録媒体と入力手段と表示手段を備えた?」という書き方がしてあれば表示手段を備えていない物がその特許権を侵害することは原則としてありません。

先行技術調査は、公開されているあらゆる文献が対象なので、当然ながらクレームだけではなく明細書の記載全部(図を含む)がチェック対象になります。

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他にもいろいろ考慮点はありますが、「自分の製品(サービス)が他人の特許権を侵害しないことを確認する」と「自分の発明がまだ公開されておらず特許化できることを確認する」のは関連してはいますが独立した作業ととらえることが重要です。

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