周知のとおり、サトヤ・ナデラがマイクロソフト新CEOになるのに合わせて、ビル・ゲイツが会長職をテクノロジー・アドバイザー(技術顧問)として取締役会に留まるという人事の発表がありました(なお、スティーブ・バルマーも取締役会メンバーに残ります)。
これに関連して、米ウェブメディアのBusieness Insiderが”Kicking Bill Gates Off The Board Is The Best Thing Microsoft Can Do(ビルゲイツを取締役会から外すことがマイクロソフトができる最善の行動だ)”なんて記事を掲載しています。センセーショナルではありますが、傾聴に値するとも思うので簡単にご紹介します。
マイクロソフトは現在の業績的には申し分ないのですが将来の成長機会という観点から言うと課題山積みです。それが、バルマー退任の理由でもありますが、ゲイツも今までに大きなミスを犯してきており、古い思考にとらわれているゲイツが意思決定者の一人として残るのは、新しい思考体系に生まれ変わらなければならないマイクロソフトにとって好ましくないと記事は結論づけています。
ゲイツが取締役会からはずれるべき理由として以下が挙げられています(なぜか、原文記事では連番が4まで行ってまた3に戻ってますが単なる編集ミスと思われます。
- ゲイツが成功した世界は何年かに1回ソフトをアップグレードすればよいゆっくり進む世界だった。
- ゲイツはインターネットの市場機会をほぼ見逃した。
- Bingは成功できていない。
- オープンソース革命の機会を見逃しただけではなく、それに敵対した。
- モバイル革命を見逃した(バルマーも同罪)。
- クラウドにも出遅れた。
- バルマーがSurfaceを作るのを許してしまった。
- バルマーがSkypeを85億ドルで買うのを許してしまった。
- 後追い戦略をやめる必要がある。
- 慈善家としてすばらしい活動をしている(慈善家に専念すべき)。
ちょっと繰り返しが多いですが、要はマイクロソフトの後追い型戦略がもう通用しなくなっているということです。市場の先駆者にはならず、先駆者が市場を開拓するのを見てから、後追いで参入し、巨大な資本力で市場を「ハイジャック」する同社の戦略がうまく行っていたのはせいぜいウェブブラウザの時(対NetScape)くらいだったと思います。
この”fast follower”戦略はまさにゲイツのDNAだったと思うので、意思決定におけるゲイツの影響力を減らす必要があるという記事の主張にはうなずけるところがあります。
ところが、実際には、Bllombergの記事によれば、ゲイツの製品戦略への関与はますます大きくなるそうなのでちょっと気になるところです。
個人的には取締役会から追い出せとまでは言いませんが、もう少し名誉職的なポジションに就くべきではないかなと思っています。
ピンバック: 2014年02月05日(水)の日常 - okaz::だめにっき