ロイターの報道によりますと、中国のProview Technology(唯冠科技)と米Appleの間のiPad商標権問題(関連過去エントリー)が、Appleが6000万ドル(約48億円)をProview側にに支払うことで和解したようです。
繰り返しますが、これは中国でよくある商標ゴロ事件ではなく、Proview Technologyがずっと昔からiPadの商標権を所有していたのをApple側が適切に購入(またはライセンス契約)していなかったことによる問題です。
Proview Technologyは破産しており、iPadの商標権も債権者である銀行側に移転しているようなので、最終的には金で解決することになるのは当然と考えられていましたが、結構な金額になりましたね(以前にAppleが富士通米国子会社からiPadの商標権を買った時の金額は推定400万ドル(参照Wikipediaエントリー)だったので一桁以上違うことになります)。
なんでこんな金額になってしまうかというと商標権は所有権に近い権利で、持っている人が圧倒的に有利だからです。土地の持ち主が相場の10倍じゃないと売らないよと言うのがその人の自由なのと同じです。どうしてもその土地が欲しい人は言い値を払うしかありません(土地収容等の例外的ケースもありますが)。
一般に商標権に関するトラブルは動く金額が大きいですが、取得は10万円くらいからでできてしまいますので、特にグローバルでビジネスを展開する企業にとっては、とりあえず商標登録出願をしておくのは安い保険と言えるかと思います。
追加: 絶妙のタイミングで出た東洋経済の記事によりますと、日本のインターフォーン・メーカー、アイホンのAppleに対する商標ライセンス料は年間1億円と推定できるようです。
追加(12\07/03 18:00): WSJの記事によりますと、Proviewの米国支社は米裁判所で20億ドルを請求していたたそうなので、Appleにとってはかなり「割安」で和解できたとの見方もあるようです。