ちょっと前に書いたエントリーで触れた米国のivi.tvというTV番組ネット再送信サービスが裁判所の命令により事業停止したとのニュースがありました(参照ニュース(英文))。
ivi.tvはTV番組をそのまんまネット上で契約者向けに再送信するサービスです。SlingBox(米国のロケフリ的商品)をホスティングする等はまったくやっておらず、TV番組をそのまんまストリーミングで配信するという大胆なビジネスモデルです。私のエントリーでも「何となくアウトな気がします」と書きましたがその通りになってしまいましたね。
なお、ivi.tvとまねきTVとの比較をしたがる人もいると思いますが、まねきTVとivi.tvは目的は似てますが、前述のとおりサービス構成がまったく違います。ivi.tvにはまねきTVのように個人でやれば合法な行為を業者が顧客の機器を預かって行なうという要素がまったくありません。米国でまねきTV類似のシステムとしては、一般にSlingBoxホスティングというサービス形態がこれに当たり、何社か営業をしています。SlingBoxホスティングが合法かどうかには議論の余地があるようですが、一応個人がやれば合法なSlingBoxの機能を、事業者が機器を預かってやっているだけという理屈が今のところ通っているようです。
ところで、ivi.tvがなぜこのように大胆なビジネスモデルを始めたかの根拠ですが、インターネット上のストリーミング配信はケーブルTVと同じであるというロジックのようです。以前のエントリーにも書きましたが、米国では、地上波TV放送をケーブルTV事業者が規定の料金を再配信することに対してTV局は禁止権を行使できません。これに関して、米国著作権法111条には、FCCのルール、規制、認可にしたがったケーブル事業者のみが再配信できる旨の規定がありますが、ivi.tvは、自分たちもFCCのルール、規制に従っているので問題ない(そもそも、ivi.tvの実体はホスティング業者なのでFCCの規制とはあまり関係ない)とのちょっと無茶な理由付けを行なっています。このロジックに対して裁判官は「論外」と結論づけています。
まだ、一審なので最終的にどうなるかわからない(とは言え、個人的にはivi.tvが勝つのは厳しいと思います)ですが、裁判の過程において、米国におけるTV番組ネット再送信のあるべき姿に対する注目が高まることを期待します。