審査請求の手続きミスにおける怖い事例

裁判所サイトの知財関連判決例、たまに、手続上のミス(期限徒過等)で却下された手続の救済に関する裁判が見られます。ほとんどの場合、どんなに理屈をこねても救済されることはありません。まあ、これは出願人または代理人の瑕疵なのでどうしようもないところです。

しかし、これはちょっとかわいそうではという判決がありました。時系列としては以下のようになります。

1.PCT(外国語国際出願)の日本国内移行

2.翻訳文提出前に(国内移行と同時に)審査請求

3.出願番号通知および(2の審査請求に対する)出願番号特定通知

4.翻訳文提出

5.国際出願日から3年経過

6.2で行った審査請求が手続却下され出願は審査請求未請求によりみなし取り下げ

ここで、6の手続却下を取り消すよう特許庁を訴えたが請求棄却となったという流れです。

翻訳文提出後でないと審査請求はできないのは特許法に明確に書いてあるので、手続上の瑕疵であることは間違いないですが、これって、2に対して早目に手続却下してくれれば気付いた話ですよね(この事例では2から6まで11カ月かかっています)。しかも、2の後に出願番号通知や2の手続に対する出願番号特定通知が出ているので、2の手続が滞りなく受理されたと代理人が誤解してもおかしくありません。審査請求期間が終わってから「実はあの(11カ月前の)審査請求は不適法だったので手続却下です」と言われても困ってしまいます(現在ではあれば回復手数料を払えば救済されますが)。特許法上は間違ってないですが、もう少し融通を利かせてくれても良いのではと思います。

私も大昔に外国語国際出願の国内処理基準時前に自発補正をしてしまった時がありますが、その時は特許庁の審査官から「この補正は却下になりますので、国内処理基準時後に出し直してください」と電話が来ました。判決文によれば、審査請求についても、同様に、不適法な手続きの場合、その旨を代理人に連絡するという「行政指導」があるそうですが、このケースについては特許庁はこの「行政指導」に従わなかったことになります(法律的義務ではないのでしょうがないですが)。

まあ代理人としてはこういうこともあるということで入念にも入念な確認が必要ということでしょう。

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