著作権法の標準的教科書のひとつなっている中山信弘先生の『著作権法』の第2版が出ました。ページ数は530ページから690ページへと約3割増しになっています(字の大きさは一緒です、お値段も3割増しです)。
初版発行から7年経っているわけですが、その間に著作権法をめぐる状況には大きな変化がありました。これに対応して、第2版では、基本的な構成は同じ(冒頭は初版と同じく「著作権法の憂鬱」です)であるものの、新たな論考が追加されています。たとえば、フェアユースに関する部分は初版で約4ページでしたが、今回は約9ページと倍以上のページ数が費やされています。
そもそも、初版では、中山先生は、フェアユースに対しては日本の制度にそぐわないという消極的な立場だったのが、第2版では立場を大きく変えられています。これについて、脚注(219に、
本書初版(2007)においては、フェアユース規定の導入には消極的な見解を述べていたが、本文で述べる理由のように、現在はフェアユース規定を早急に導入すべきであると言う見解に改めた。
とストレートに書かれています。学術界だけでなく弁護士として活動するようになって企業の声をより多く聞くようになり、フェアユース的な規定がないと著作権法は世の中の流れに追いつけないと考えるようになったということでしょう(これに関して大昔に書いたブログ記事)。
他にもダウンロード違法化(+刑事罰化)等々、興味深い内容が満載ですので、今週末にでも通読してみたいと思います。