米セールスフォースドットコムが「『ソーシャルエンタープライズ』の商標登録申請(ママ)を取り下げる予定であることを発表した」とのプレスリリースが送られてきました。商標登録出願の取下げだけではなく、「ソーシャルエンタープライズ」という用語を自社のマーケティングで使うのもやめる予定だそうです(TechCrunchの関連記事)。
理由は、社会貢献の分野において、「ソーシャルエンタープライズ」という言葉が「営利・非営利を問わず、商業的戦略に基づき貧困撲滅や教育向上などの人道または環境上の課題解決を目指す組織」として既に定着している(定訳は「社会的企業」)ため、SFDC社が言うような「ソーシャルコンピューティングを活用している企業」というような意味で使うことは混乱を招くとの懸念に対応したものであるとされています。
確かに、(少なくとも米国においては)”Social Enterpsise”という言葉が社会貢献活動の文脈でで定着しているようなので(たとえば、ハーバードビジネススクールの間連サイト)、SFDC社の判断は賢明であったと思います。
しかし、実は「ソーシャル」という言葉が「社会貢献」と「ボトムアップのコラボレーション」という多義性を持っていることによる問題はこの話に限ったものではないと思われます。
「ソーシャルワーカー」は「ソーシャルコンピューティングを活用している労働者」ではないですし、「ソーシャルアントレプレナー」は「ソーシャルメディア間連企業を起業した人」ではないですよね。
そろそろ「ソーシャルコンピューティング」という言葉の言い換えが必要であるかもしれません。ちょっと前は(今でも?)企業内ソーシャルコンピューティングのことは「エンタープライズ2.0」と呼んだりしてましたが、これも今さらという感じなので、何かうまい言い方を考える必要があるのではないかと思います。