Yahoo!ニュース個人に自分が書いた記事の中から毎月アクセス数が多かったものを紹介していく定期投稿です。
1位.グーグルの人間ゴキブリホイホイ特許はベンツが40年前に通った道だった
歩行者との衝突時に粘着剤で歩行者をクルマにくっつけることで衝撃を和らげるというネタのような特許をグーグルが取得したという話です。こんな特許をグーグルが出願していたというのも驚きですが、1978年にダイムラーベンツが同様のアイデアを出願しており、グーグルは権利範囲を限定せざるを得なかったというのも驚きです。全体的には小ネタ記事ですが、斬新な発明だと思っていたが、実は大昔に出願されていて日の目を見なかっただけだったというのはよくある話です。
2位.”2ch”に加えて”2ちゃんねる”の商標権も西村博之氏のものに
西村博之氏がが、4月に”2ch”の文字商標を登録したのに続き、5月に”2ちゃんねる”の文字商標も登録したという話です。インパクトはこちらの方が大きいでしょう。なお、先に出願した”2ちゃんねる”の方が、なぜ後になって登録されたかですが、西村氏が特許庁からの補正指令を受け取っていなかったことによる審査の遅延の問題が大きいです。
なお、西村氏はWIPOに2ch.netのドメイン名紛争調停を申立てています。”2ch.net”の商標権に基づくものと思われますが、不正の目的の立証が困難ではないかと思います。
中国企業による皮革製品(18類)を指定したIPHONEの文字商標登録に対してAppleが無効審判を請求したが棄却となったというニュースです。これによってこの中国企業がスマフォ用の革製ケースをIPHONEという商標で販売することにお墨付きが出てしまいました。出願時点でのiPhoneの中国国内でも著名性を立証できなかったことが理由です。海外の著名商標の保護が薄い中国の商標制度も問題ですが、手広く防衛的に出願しておかなかったApple側にも手抜かりがあったと言えるでしょう。
4位. ローリングストーンズにはドナルドトランプ氏に楽曲の使用中止を命じる権利があるのか
ドナルドトランプ氏が選挙キャンペーンでローリングストーンズの楽曲を使用したことに対してストーンズ側が使用中止を求めたというニュースです。結論は、音楽出版社や著作権管理団体(ASCAP)経由で著作権処理をしていても、パブリシティ権等の観点から作詞家・作曲家の直接許諾が必要であり、その許諾を得ていないのなら訴えられてもしょうがないというものです(ASCAPのガイドラインによる)。なお、日本でも、選挙活動での楽曲使用は著作者側の直接許諾が必要というのがJASRACのルールです。選挙での楽曲使用は人格権へのかかわりが大きいので当然と言えるでしょう。
5位.ハーバード大がSTAP特許出願に審査請求:日本でも実体審査開始
てっきり出願審査未請求により取下になったと思っていたSTAP細胞に関する特許出願に(現在は唯一の出願人となっている)ハーバード大(ブリガムアンドウィメンズ病院)が審査請求を出していたという話です。正直、意外です。書類上のつじつまは合っているものの、その書類の信憑性が怪しいことが報道等から明らかという出願を特許庁はどう扱うのでしょうか?なお、フォローアップ記事「STAP出願は特許化されてしまうのか?」も是非ご覧下さい。
5位以下も興味深かったのでついでにご紹介します。
6位.JASRAC対ファンキー末吉氏の地裁判決文が公開されました
末吉氏側の敗訴に近いです。JASRAC管理楽曲の演奏行為が認定された上で、利用料を払うか払わないかの問題なのでしょうがないと言えましょう。
「フランク三浦」の登録商標に対する無効審判の審決取消訴訟が上告されたという話です。勘違いしている人は結構多そうですが、登録商標の有効性を争う裁判であって、パロディ時計の販売の是非を争う裁判(商標権侵害訴訟)ではありません。