ドコモLTEのブランド戦略について

前回ドコモについて書いたついでに、ちょっと時期を逸した感があるのですが、同社のLTE関連のブランド戦略について書いておきます。

元々、ドコモはLTEサービスの商標としてXi(クロッシィ)という名称を使っていました(mova→FOMAと続いてきた基本通信方式に自社独自の商標を付けるという流れです)。LTEという言葉がテッキーにすぎるので、消費者に親しみやすい名前を付けようという意図もあったと思います(とは言え、Xiという名称が親しみやすいかどうかについては議論の余地がありますが(そもそも読み方がわかりにくいですし))。

しかし、昨年の10月から「docomo LTE Xi」という名称を使うようになりました(参考記事)。Xi=LTEという認識が消費者に定着しないうちに、SBやauが特別の商標を使わずLTEそのまんまの名称を押してきたことにより、消費者から「ドコモにはLTEはないのか?」という本末転倒の疑問が聞かれるようになったことに対する苦肉の対策と思われます(参考NAVERまとめ)。個人的には最初から「docomo LTE」だけにしておいた方がよかったと思います(そう思ってる人は多いでしょう)。

そもそも、業界標準として定着しつつある規格に自社だけ特別の商標を付けて「差別化」するというのはあまり良い戦略とは思えません(Wi-FiやWiMAXに独自ブランドを付けても意味がないのと同じです)。もちろん、業界標準の上位階層に位置する自社独自サービスに独自の商標を付けて登録して保護することは全然アリです。

ブランド戦略や商標戦略に限らず知財戦略一般に言える話ですが、知財戦略を単独で進めても意味はありません。知財戦略はビジネス戦略との整合性があって初めて意味を持ちます。特に商標はそれ自身に価値があるというよりも、商標と結びついたビジネス上の価値こそが商標の価値なので(教科書では「商標に化体した業務上の信用」なんて書き方をされてます)、とりあえずこじゃれた商標を付ければ商標戦略はそれで終わりというものではない点に注意が必要です。

カテゴリー: 商標 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です