高い金で買ったMotorolaの特許が無駄になりそうでGoogle涙目(たぶん)

Googleが、2012年に125億ドルという大金でMotorola Mobilityを買収した目的がその特許ポートフォリオの獲得にあったことはLarry Page自身が認めているところです。Motorola Mobilityの特許資産は約24,000件(うち、7,000件は審査中)という数としては厖大なものでした。

この特許ポートフォリオによって、AppleやMicrosoftからの特許攻撃への反撃の武器とするというのがGoogleの思惑だったわけですが、少なくとも現時点ではGoogleにとって残念な状況であると言わざるを得ません。

特に、最近の出来事でGoogleにとってダメージが大きかったのが、Microsoftに対するMotorola由来の標準必須特許(H.264とWiFi関係)に基づいたGoogleの高額なライセンス料要求(年間40億ドル)を認めず、FRAND(公平、合理的、非差別的)なライセンス料として年間180万ドル(機器1台あたり5セント程度)しか認めてくれなかったシアトル連邦地裁の判断です(参照ニュース)。これは、米国の裁判所における標準必須特許のライセンス条件に関する最初の判断であり、今後の同種の判断にも影響を与える可能性が高いです。

FOSS Patentでは「このライセンス料でMotorola買収の元を取るには7,000年かかる」とちょっとシニカルな書き方がされています。FOSS Patentの中の人(Florian Mueller氏)は、OracleとMicrosoftにコンサルティングを提供していたそうなので完全に中立的立場とは言えないですが、Googleの特許戦略のまずさを批判し続けています。GoogleにもAppleにもMicrosoftにもコンサルティングを提供していない(できることならしたいですw)私も、やはりGoogleの特許に対する見方が甘かったというのは同意せざるを得ません。

一般的な考えでは、標準必須特許は重要性が高く、長期的に確実にライセンス収益が見込めるので「良い特許」なのですが、今回のように特定企業(AppleおよびMicrosoft)にプレッシャーをかけるという点では、差し止めも禁止的に高い損害賠償も認められにくいことから有効な武器にするのは難しいです。逆に、1件でも差止めに結びつく強力な(かつ標準必須でない)特許があれば、千金の価値があることになります。

特許資産の価値算定、さらには、一般的に特許戦略というのは難しいものだと思いますが、少なくともAndroidの領域では、社内で独自の技術革新を行なって、それを特許出願しておくという基本を十分に行なってこなかったGoogleが払うツケは大きなものになると思います。

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